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Russians / Sting

What might save us, me, and you
is if the Russians love their children, too.
Stingが米ソ冷戦の欺瞞を歌ったRussiansはこの歌詞で終わります。全体に重苦しい空気の中、Stingのボーカルが魂を揺さぶります。

 リリースは1985年。1979年のソ連のアフガニスタン侵攻に端を発した新冷戦の時期です。初めてこの曲を聴いた時、歌詞の重みが迫ってきてつらかったのを憶えています。「フルシチョフがおまえらを葬ってやる(bury you)と言ってる」、「オッペンハイマーの死のおもちゃ(核兵器のこと)から子どもをどうやって守ればいいんだろう」なんて歌詞が並んでましたから。

 でも何度か聴くうちに、いちばん大事な部分は繰り返し歌に出てくる「ロシア人だって子どもたちを愛しているはずさ*」だと思うようになりました。「考え方や政治的立場は違うけど、我々は同じ人間、権力者の虚言、妄言に惑わされるのはやめよう」と訴えかけているのでしょう。冷戦終結後、過去のものとなったはずですが、今また現在形となってしまいました。この歌の意味を改めてじっくり噛みしめようと思います。

 動画はStingがモスクワで歌ったRussiansです。また、こんな日が来ることを祈りましょう。

地図の出展 : 2001 Ukraine Census

*歌詞は直訳すると「我々が救われるのは、ロシア人が子どもたちを愛しているかどうかにかかっている」となり、否定的に捉える考えもありますが、私はこれを「ロシア人も子どもたちを愛してる同じ人間なはず」という希望を込めた意味だと考えています。Sting自身もインタビューで、「ロシアの子供たち向けのテレビ番組を見て、ロシア人は私たちと同じように子どもたちを愛していると言わなければいけないと感じた」といったことを述べています。

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