【人材育成】未経験者を対象とした効率的教育法
新年度が始まり、新卒・中途を問わず新しい人材が部署に増えた方も多いでしょう。
私の部署にも3人(新卒1人・中途2人)入社し5月から部署に配属され、業務に馴染んでもらうためてんてこまいの日々です。
このnoteアカウントは『新卒マーケターを想定した育成が全記事読了後に完了している』というコンセプトでやっていますが、実際育成が開始されるとこのnoteだけではてんでうまくいきません。
※そもそも『全て読む』という行動自体が育成においてナンセンスでした。
そこで、今回は『人材育成』をテーマにまとめていきます。
今回は私の頭の整理も含みますが、少しでもお役に立てる内容があれば嬉しいです。
※本文中のリンクを踏むと、その用語を検索できます。
例:IS
前準備編 - ロジックツリーが頭の中にあるか確認
マーケターをやっていくにあたり、必ず持っておくべきものはロジックツリーです。
【確認方法】
A1系統の答えを出せる→ロジックツリーが頭にある
A2系統の答えが出る→ロジックツリーがまだ頭にない(先に枝葉に目が行く)
ロジックツリーがなかった場合、まず大目標から考え、少しずつ分解する考え方のトレーニングを先に行いましょう。
【育成カリキュラム例】
①「世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく」を読み、100-150文字程度で要約
※以下はアマゾンのリンクです。アフィリエイトに参加していませんので、私に収益は一切入りません。ご安心を。
→「問題解決の方法」「ロジックツリーに言及する内容」が出てくれば②へ
→出てこなかった場合は以下課題を指定
「本書に書かれている問題解決の方法を150字以内で要約」
→再作成にてロジックツリーに言及する内容があれば②へ
→出てこなかった場合は以下課題を指定・再提出後②へ
マインドマップツール(Xmindなど)で「1年後に仕事の成果を最大化」するロジックツリーをアウトプット
前準備編 - 社内での決まり事共有
社内で使っている用語の意味について、以下内容について重点的にすり合わせてください。
【基本用語】
どこのサイトでもいいですが、私は以下コラムをよく渡しています。
以降、社内の決まり事の例です。
例)美容整形クリニックの広告運用
【リード】
例)A社では、「カウンセリング予約した人の数」を「リード数」と定義しています。ただし、当日来なかった人はその数から除外されます。
【週次レポート】
例)A社では「月~日曜日」という括りで週次レポートを書いています。
【全体目標】
例)クライアント様が目指されているのは、「実際に施術した人の数」≒「契約数」の最大化です。
カウンセリング予約数(リード数)→来店数→契約数(→施術数)というフローを必ず踏みます。
【個人目標】
例)あなたに任せるのは「リード数」の最大化です。以降の来店数などはいったん無視して、「リード数」の最大化を目指してまずは運用してみてください。
上記は例ですが、最低限定義が必要なものはこれくらいかなと思います。
(商材理解は別途行う)
これら用語・決まりごとが整理できたらレポーティングの準備が完了です。
実践編 - レポート初稿の提出
以下条件を渡して、実際に広告レポートを書かせてみましょう。
・期間(例:2023年3月1日から31日までの一か月間)
・チャネル(例:Google広告の「一般KWキャンペーン」
・個人目標(例:「リード数を最大化すること」を軸に)
・納期(例:3時間で納品してください。15時までに提出してください)
・提出後、確認を待つ間に進めるタスク
ここで重要なのは、チャネルを絞って渡すことです。
Google検索広告全体で、Yahoo!含め検索広告全体で、と渡すと初学者には難しく設定の把握だけでも時間がかかってしまう場合があります。
また作成量自体が多いことで、根本的な部分が間違っていた場合全てが却下されてしまうこともあり、モチベーションの低下に繋がります。
さらに提出後、上長であるあなたはすぐに確認できることは少ないと思います。
その確認を待っている間手持ち無沙汰にならないように、「終わった後はこれを進めてください」と必ず指定して言い添えましょう。
確認待ちに与えるタスク例
・パソコンショートカットの習得
※なんでもいいが、私は以下をよく指定
・3Cフレームワーク習得
※なんでもいいが、私が指定するのは以下形式
①以下記事を読み、3Cを理解
②担当商材について3Cを使って分解
③まとめたものを私に提出
・4Pフレームワーク習得
※なんでもいいが、私が指定するのは以下形式
①以下記事を読み、4Pを理解
②担当商材について4Pを使って分解
③まとめたものを私に提出
・メリットとベネフィットの違い理解
※なんでもいいが、私が指定するのは以下形式
①以下記事を読み、違いを理解
②担当商材についてメリット/ベネフィットをそれぞれアウトプット
③作成したものを私に提出
・ペルソナの理解
※なんでもいいが、私が指定するのは以下形式
①以下記事を読み、違いを理解
②担当商材についてメリット/ベネフィットをそれぞれアウトプット
③作成したものを私に提出
・AIDMA/AISASフレームワーク習得
※なんでもいいが、私が指定するのは以下形式
①以下記事を読み、2つのフレームワークを理解
②担当商材についてフレームワークを使って2枚分LPを作成
③作成したものを私に提出
実践編 - レポートの添削・再提出
レポートの初稿を確認し、以下の観点でフィードバック(以下FBと記載)します。
【レポートの構成】
大結論:
要因:
詳細な要因:
上記基本構成が守れているか確認する。
以下、記載例。
※全て空想で作った例で、数字など構成以外の部分は適当です。
①結論として「良いのか悪いのか」
数字の羅列に直接的に意味はありません。
クライアント様が最も知りたいのは「結局いいの?悪いの?」ということです。
まずはそれを最初にお伝えする必要があります。
②KPIとして渡されている指標とその関連指標
次に、「良いのは分かったけど、どれくらい良いの?」を提供します。
必ず「成長率」と、「実数値」どちらも記載します。
どちらがクライアント様にとってわかりやすいか、時と場でどちらの指標を見るか変わることがあるためです。
③良く/悪くなった要因
最後に、「なんで良く/悪くなったの?」をお伝えします。
この時も「結論ファースト」の構成は崩さないように意識します。
結論:要因はCVRが10%アップしたからです。
→(どのくらい良くなったかの指標)
→(上記詳細①部分)なぜCVRがアップしたのか
また、なぜか?の理由をお伝えした後は「これからどうするのか?」も必ず言い添えます。
ここに来月の施策や提案事項が入るため、ボリュームは最も大きくなるでしょう。
増額やクリエイティブ制作費用が追加で必要な場合はここでクライアント様を説得していく必要があります。
※レポート記載の文量が多くなりすぎる場合は、提案資料のみ別添資料化した方がいいでしょう。
【メインで扱う指標】
メインで扱う指標が本筋と外れていないかを確認します。
「前準備編 - ロジックツリーが頭の中にあるか」でも再三確認しましたが、実際のレポーティングでもしっかりとこのロジックツリーに沿っているかチェックします。
例えば、以下のように帰ってきた場合は再度ロジックツリーの確認が必要です。
なぜならば、CTRとは確かに要因にはなり得るもののかなり枝葉の部分になるためです。
例えば、『CPCが下がり同予算でクリック数を伸ばすことができた』が大要因でその背景に『CTRの10%アップがあった(→広告ランクがあがり、CPCが下がった)』ことはあり得ます。
しかし、『単純にCTRが上がったことでCV数が伸びる』ことは直接的に繋がりません。
ここで確認すべきなのは以下内容です。
①の場合はレポートの書き方部分でアドバイスを行います。
例「要因としてCVに繋がりやすい、大きい指標からみていくんだよ」
例「CTRにたどり着くまでの道のりを、順序立ててレポートにも記載してみよう。」
→再提出後、内容を確認
②の場合はロジックツリーのインプットを再度行いましょう。
例「マインドマップツール(Xmindなど)で、「リード数の成果を最大化」するロジックツリーをアウトプットしてみよう」
→ロジックツリーを提出後、1から再度レポートを作成
【見逃している指標がないか】
例えば、『CPCが下がった』を大要因に挙げていて、その背景にCTRのアップがあるとしている場合を取り上げます。
CPCが下がった要因は以下の通り3パターンに分けられます。
・自社要因:CTRアップ、LPの利便性アップ、KWと広告の関連性アップ
・他社要因:入札している競合が減った、他社がCPCを下げた
・市場要因:KWを検索している人が増えた
CTRアップの要因以外の項目をちゃんと確認しているか?
その他の項目について見逃しはないか?
マーケターとして独り立ちするまでは、これらをマネージャーが確認する必要があります。
レポーティングについてはこれら再提出・FB・再提出・FB…を繰り返してあげることで、少しずつ初学者の中に情報やパターンが蓄積されていき徐々にレポートや施策提案のクオリティが上がっていきます。
質問回答編 - レポート作成中に生まれた疑問
入ったばかりの社員からは、あらゆる角度から(ほとんど)際限なく質問や疑問が出てくるでしょう。
それは積極性があるからこその行動で、指導者として喜ぶべきことです。
一方で、1つ1つ回答するのでは時間が足りません。
ここではカテゴリを3つに分けて、それら疑問の解消・回答を効率化していきます。
①用語やファネルの概念などマーケティング基礎
ある程度まとまったものは(ありがたいことに)インターネットにありえないくらい転がっています。
これらを指導者の中でストックしておき、質問された内容に近い記事を都度投げてあげましょう。
例)マーケティングファネルって何ですか?
→A. 以下記事を読んで理解してみましょう
これは私の趣味ですが、以下のマーケティングコラムにはいい記事が落ちていることが多いです。
※それらいずれかの関係者ではありません。
(私のnoteにこれほどまでの網羅性はありませんが、ゆくゆくは『このnoteの中から部下に共有するものを探す』ようなことができたらいいな…)
②担当商材についての質問
その担当商材が新規商材出ない限り、前任のメモやまとまった内容がどこかにあるはずです。
在ればそれを、無ければ最初にそれら資料の作成を指示する必要があります。
【渡す内容の例】
・サービス資料/パンフレット
・サービス比較サイト/口コミサイト
・競合一覧
・商材ユーザーの分析(※顧客情報にアクセスできるなら)
・クライアント様の考え方(目指す方向)
・クライアント様に実施したヒアリングのログ
③過去施策についての質問
これを聞いてくる人間はかなり将来は有望な人間だと思います(個人の感想です)。
マーケターならば必ず作っているであろうリリースノート(いつ、だれが、どんな施策を行い、どんな結果だったかまとめたシート)を渡してあげましょう。
ない場合、必ずその瞬間からリリースノートを作成してください。
または、週次レポート等に施策をまとめて掲載している場合はそれも渡してあげましょう。
(補足)育成する対象が複数の場合
Aさん,Bさん,Cさんを受けもっている場合、過去にAさんに聞いてきた内容をBさんが聞いてくることもあるでしょう。
その場合、積極的にAさんにBさんへの説明を依頼することがオススメです。
以下のようなメリットがあります。
・チームメンバー間の連携が強化される
・自分の工数を削減できる
・教える側の知識レベルがどんなものか把握できる
・説明する側の知識が定着する/理解が深まる
・教えている側から新しい部分の質問が出たとき、A,Bまとめてその部分の説明を実施できる
探せば他にもメリットはあるでしょう。
とにかくオススメです。
一点、説明する側が誤って理解しており教えられる側をミスリードするケースもあります。
やりとりする声が聞こえる位置に自分がいられるように、サイレントで調整をする必要があるでしょう。
【サマリー】
①ロジックツリーが頭にあるか確認
②社内での決まり事共有
③レポート提出にチャレンジ
④FBに基づいてレポートを再提出
③④は無限に繰り返しましょう。
FBする時のポイントをこのnoteで整理しておくことで、FBにかける工数も削減できます。(→実践編 - レポートの添削・再提出を参照)
質問は無限に出てくるでしょう。
それらに1つ1つ対応するのではなく、
・インターネット上の記事
・過去作成したまとめシート
・リリースノート
を活用して、読ませて回答・インプットを完了させる方法を確立しましょう。
また、育成対象が複数いる場合は(過去教えたことであれば)互いに教え合うことを促すのがよいでしょう。
長くなりましたが今回のnoteは以上です。
感想や次記事のリクエスト、育成についてのアドバイスなどコメントいただけますと嬉しいです。
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