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人事のための面接ハンドブック① いい“空気”のつくり方

一人の人事として、これまでに何千人と面接をしてきたこともあって、企業の採用担当の方からよく「北川くん、面接どうやってるの?」と聞かれます。

面接の目的は、応募者の魅力をしっかり引き出しつつ、自社からのリクエストをきちんと伝えること、そしてお互いが「一緒に働きたい!」と思える相手と出会うことです。これを達成するには、確かに現場で細やかな“仕掛け”をしていく必要があります。

そこで、この短編連載『人事のための面接ハンドブック』では、僕自身が実際に使っているいろんなノウハウを、人事担当の方に向けて紹介していこうと思います。

面接を決める「開始5分の空気感」

今回は、面接を始めるときの「空気づくり」の話。

この前提として認識しておきたいのは、面接に来る人は、“全員緊張している”ということです。良い企業であればあるほど、応募者は本気で働きたいと思って来てくれるので、みんな「ボロが出ないようにしよう」と考えます。

何ならミスしないよう暗記して来る人もいますよね。でも、暗記内容をただしゃべってもらっても、正直何も意味がありません(笑)。面接は結局のところ、「対話」を通じてお互いを伝え合う行為だからです。

なので、まずその張りつめた緊張をほぐしてあげる。「ここの企業なら、素の自分を出しても大丈夫かも…」みたいな空気感を、最初の5分でどれだけつくれるかが、面接の成否を分けると思っています。

緊張をほぐしながら、目的を伝える

僕は面接の冒頭で、まず相手に積極的に話しかけて、緊張を崩しにいきます。

関係ない雑談をしていったり、「今日朝からこんな失敗しちゃってね」みたいな話をして弱みを見せたり、まずはこちらから素の自分を見せる。とにかく、「余計なことを言ったら落とされそう」って雰囲気を、極力ゼロにすることが大事です。

あとは詳しく相手の話を聞く前に、面接の意図と目的を、「今日はこんな感じでお互い話をして過ごせればいいと思ってます」ぐらいの温度感で伝えます

「今お互いが完璧である必要は全くないし、むしろ『一緒に成長をしていきたい』と思ってるからこそ、僕らも新しい人を採用するんです」

「こっちの良い面も悪い面もちゃんと伝えるので、遠慮なくしゃべってほしい」

そんな言葉を伝えることで、応募者も本音でしゃべれるようになる。安心できる空気感を生んで初めて、相手の本当の魅力を引き出すことができると思っています。

(——第2回「うまく自己紹介をしゃべってもらうには」に続きます)


北川雄士/Yuji Kitagawa

滋賀県彦根市生まれ。株式会社いろあわせ代表取締役。
広告代理店、ITベンチャー企業の人事部門責任者の経験を経て、2014年にフリーの人事として独立。これまでに数千人の面接を経て来た。2015年末にUターン。ひと・もの・まちを“掛け合わせ”、それぞれが持ついろや魅力を大切にしたいとの想いで、株式会社いろあわせを設立。現在『しがと、しごと。』をはじめ、行政や地元企業と共に地域発の採用の仕組みや場づくり・まちづくりを積極的に実践中。(TwitterFacebook

(編集:佐々木将史

しがと、じんじ。について

“滋賀ではたらく魅力を再発見する”『しがと、しごと。』プロジェクトの一環で運営される、ローカルで採用活動に取り組む人事担当者のコミュニティです。

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