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きっかけは山登り。アートディレクターがつくるエナジーバー / SIDE PROJECT 『SOCIUS』 〜コンセプトメイキング編〜


シフトブレインは、ブランディングとデジタル領域のクリエイティブを強みとする制作会社です。いわずもがな、クリエイティブへの好奇心が旺盛で、「いいモノを作りたい」という欲求が止まらないクリエイターの集まり。

弊社では、そんなスタッフたちがクライアントワークではなかなか実現できないアイデア、クリエイティブをふんだんに入れることのできる「社内プロジェクト」が不定期に走っています。クライアントワークと同じくらい、もしくはそれに負けないくらいの熱のこもったモノが出来上がりそうなので、note内に新たに「社内プロジェクト」マガジンを加え、そのプロセスや考え方をお伝えしていけたらと思っています。

第一弾はエナジーバーブランド「SOCIUS(ソキウス)」について。
この社内プロジェクトを手がけるアートディレクターの藤吉へのインタビューを通じて、全貌を明らかにしていきます。(インタビュー・文:広報 松沢香織)

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プロジェクト立ち上がりの背景

きっかけは、弊社に在籍していたデザイナーの及川が、アートディレクター藤吉の奥様である藤吉陽子さん主宰の焼き菓子ブランド『O-Kitchen』へあるお願いをしたことでした。

「山登りの時にサクッと食べることができるエナジーバーを作ってくれませんか...?」

山登りが趣味の及川は、コンパクトに携帯でき、かつ、しっかりカロリーのとれる食べものがあったらいいな、と思い藤吉に相談したのでした。

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(O-Kitchenのイラストは全て藤吉が手掛けています)

藤吉はO-Kitchenのアートディレクションをしています。早速そのお題を持ち帰って陽子さんに話すと、陽子さんはそれがどんなものを指しているのか、すぐにピンときたのだそう。というのも、偶然にも数年前、陽子さんが食のカルチャーの視察目的でアメリカ西海岸はサンフランシスコを訪れたとき、多くのアウトドアショップでエナジーバーがたくさん売っているのを見かけていたからなんです。

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陽子さんが訪れたアウトドアショップ

そんな理由でイメージが沸いた陽子さんは、すぐにエナジーバーの試作品を作ってくれました。

藤吉:試しに作ったものを味見してみたら「あれ、全然市販よりO-Kitchenの方がおいしいじゃん」ってなって(笑)。市販のものよりもっとおいしそうなものが作れそうと思ったので、O-Kitchenで及川さんからのオーダーを正式に受けることに決めました。


フレーバーの試作と選定

すぐに本腰を入れてエナジーバーの制作をスタート。まずはどんな味のものを作るか、決めるところからです。

藤吉:山登り中にポケットに入ってて、 ちょっとずつ食べれるものというオーダーだったので、グラノーラをぎゅっと固めたもの、ナッツぎっしりのもの。そこにチョコがけやドライフルーツを入れたもの....。奥さんと相談しながらそれぞれの食材の比率を考えて、5つのフレーバーのサンプルを作りました。


実際にO-Kitchenで試作してみたエナジーバーのレシピを、特別に少しご紹介。

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スタッフやスタッフの家族に配られた試作段階のエナジーバー

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陽子さんもオフィスで試食のセッティングをしてくださいました
(隣は HEO COFFEE 店主 兼 Developerの許)

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試作したエナジーバーをスタッフに食べ比べてもらった上で感想を聞き、最終的に3つのフレーバーに決定しました。

エナジーバーのブランディング

シフトブレインには「社員がやりたいことを実現させたい」というCEO加藤の思いから派生した、「虎企画」という社内公募があります。

シフトブレインにいる2人の虎(CEO、CTOのこと)をプレゼンテーションで ”唸らせ”、納得させることができたら、資金を援助してもらえプロジェクト化できる、という制度です。

及川と藤吉がこのプロジェクトを立ち上げた当初は、オウンドプロジェクトとして会社とは別枠で進める予定でしたが、時を同じくして虎企画がスタート。それならば、と2人は虎企画へのプレゼンテーションを視野に、3種類のフレーバーの名前やコンセプトをしっかり定めることにしました。

まずはO-Kitchenのエナジーバーを作るにあたり、競合になり得るプロダクトを調査したところ、パタゴニアをはじめとしたいくつかの会社がエナジーバーを制作していることがわかりました。

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PatagoniaのOrganic Fruit + Almond Bars
引用:Patagonia webサイト

藤吉:「虎」に出資してもらうためにもしっかりしたブランディングが必要だったから。例えば、みんなに身近なエナジーバーとして、カロリーメイトがあるでしょ?そういうメジャーなものからスタートアップのような小さなグラノーラやさんがつくっているものまで色々調べました。

金額的には大企業が出してるような価格では難しそうだなというのはあって。 O-Kitchenのエナジーバーも味は全然美味しいから、ポジションとしては一番左をカロリーメイトとして、他社が中間、一番右に僕らの作るエナジーバーがあるという感じでいこう、と決めたんです。


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エナジーバーのポジショニングマップ


わくわくするエナジーバーの名前の秘密

ブランディングの方向性が決まった後、それぞれのフレーバーには少しこだわった名前が付けられました。

藤吉:及川さんと「ネーミングは山登りきっかけのエナジーバーだから『山』に由来する名前がいいんじゃない?」「それ楽しいね!」と盛り上がって、山の名前にちなみ、その山で採れる素材を使って、グラノーラバーにすることにしました。

例えば、「Yatsugatake Granola Bar」 は 本当に八ヶ岳付近で採れるハチミツを使ってる。あと「Himaraya Florentin」はちょっと塩味きかしてるんだけど、それはヒマラヤ産のピンクの岩塩。 最後の「MontBabel Dried Fruits Bar」はカナダの山の名前。カナダのメープルシロップを使ったナッツとドライフルーツがぎゅーっと詰まってる重い質感で、制作を進めました。


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ユニークで、聞くだけで早く食べてみたくなるようなかわいい名前。
このネーミングセンスに、藤吉と及川のほんわかしたキャラクターが表れている気がします(2人は姿形や雰囲気がなんだか似ているんです)。

藤吉及川

左が及川、右が藤吉です(過去の社内イベント写真より)


ブランド名「SOCIUS」の由来

フレーバーの名前が決まったあとは、このエナジーバーブランドのコンセプトをうまくくくれて、しっかり訴求のできる肝心の「ブランドネーム」をどうするか...。どうやら藤吉と及川が話し合う中で出てきた言葉がキーワードとなったようです。

それは「Keep Climbing」。

藤吉:「Keep Climbing(直訳:登り続ける)」は自分のブランドアーキテクチャを考えた時にでてきた言葉で、もともと自分の中にあったもの。これって生き方の姿勢そのもので、「何事もimprove(改善)していく、右肩上がりに上を目指していく」ていう自分自身の志が投影されています。

今回エナジーバーを繰り返し試作していく中で、「Keep Climbing」は個人としてだけでなくこのプロジェクトのコンセプトワードとしてもふさわしいんじゃないかと思って。

さらに虎企画に参加したことで会社としての目線も必要になったわけだけど、「Keep Climbing」はシフトブレインとしての行動指針にもなるべきじゃないか。「Improveしていく」ことって、このプロジェクトのはじまりとなった山登りでも、会社でチコチコデザインすることでも、全く同じだなと思ったんだよね。

藤吉個人の言葉が、エナジーバーの試作を通じて会社としての姿勢までを包括するコンセプトワードにまで広がりをみせたのでした。

ではブランドネームである「SOCIUS」はどこからきたのでしょうか。

藤吉:「Keep Climbing」するために必要なのは、仲間とか、環境とかの
相棒」。
相棒ってきびだんごみたいに、持ってれば心強くて自分を鼓舞してくれる。このエナジーバーも、食べてくれる人にとってのそんな存在になれたらいいなという意味を込めて、「相棒」という意味を込められる言葉を探すことにしました。ただのエナジーバーだけど、その名前をつけることで輝いて見えるとも思って。


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ここで藤吉の秘密兵器、「ネーミング辞典」が登場。さまざまな単語が各国の言語で検索できる、見ているだけでも面白い辞典です。

この辞典で「相棒」を表す語感の良い言葉を探し、「SOCIUS」というブランドネームが決まったのでした。

ネーミング辞典
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ネーミング辞典には4言語での表記が。ここから「SOCIUS」が誕生

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ついにエナジーバーの味のラインナップ、コンセプト、ブランドネームがFIX!

次の記事では、記事の随所に見え隠れしているエナジーバーの「パッケージデザイン」についてご紹介します。お楽しみに。

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