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全てを一新したLARGOリブランディングを振り返る【Insight Magazine】

こんにちは、シフトブレイン “Insight Magazine”です。

“Insight Magazine”とは、成果物のビジュアルや写真、動画だけでは伝えきれないプロジェクトの内側に焦点を当て、掘り下げていくマガジンです。
実際にクライアントやパートナーを招き、シフトブレインのメンバーとプロジェクトの紆余曲折やその後の効果・影響についてお話しいただきます。

今回は、美容室や飲食店、オフィスの空間デザインを行う株式会社LARGO(以下敬称略:LARGO)と共にプロジェクトを振り返ります。

株式会社LARGO
東京都を中心に全国各地の美容室・サロン・飲食店・病院・オフィス・クリニックなど店舗の空間デザインを行うデザインスタジオ。ジャンルを問わず様々な分野の空間をプロデュースしています。


プロジェクト概要

本プロジェクトはコーポレートサイトのリニューアルを機に、ロゴや名刺、封筒、ファイル、領収書、会社パンフレットなどのツール類を全て一新しました。サイト内で使われている動画も含めて、シフトブレインがトータルでディレクション、制作を行っています。

2019年にリニューアルしたコーポレートサイトは、Awwwards「Site Of The Day」、CSS Design Awards「Website Of The Day」、さらにFWAにて「FWA Of the Day」とWEBの世界3大アワードを受賞。また、国際的デザイン賞である「Red Dot Award」も受賞しました。

リブランディングから3年以上経過した今、代表の辰巳 亮さんを迎えて当時のプロジェクトの様子や想い、その後の反響について改めて振り返りつつお話いただきました。

1.見た目だけではなく本質を捉えたい

——シフトブレインにご依頼いただいた経緯や当時感じられていた課題を教えていただけますか?

辰巳 亮さん(以下、辰巳さん):当時はいつか百貨店やヒルズに入ってるようなお店の空間デザインをやらせてもらいたいなっていう夢はありつつも、どんな仕事も受けて経営を安定させることに重点を置いていました。要するに目先の短期的な売上をめがけて走ってたんです。売上が安定してくると、LARGOがどんな会社でどう見られていきたいのかを考え始めるようになって。たくさんの人にLARGOを知ってもらうために、うちらしいWebサイトを作らなきゃいけないと思ったのが依頼のきっかけになります。

Client: 辰巳 亮さん
(LARGO 代表取締役)

辰巳さん:うちは過去にWebサイトで失敗している経緯があったので、当時は僕が言っていることを整理してくれて、さらにデザインも良いという基準で制作会社を探していました。うちの業界は相見積もりを取るのが当たり前だったので、その癖もあって15社ほどに電話をしましたね。そのなかの1社がシフトブレインでした。自社サイトも素晴らしく動きがあってこだわられているなと思って。でも、シフトブレインは相見積もりは受けていなかったんですよね。

加藤 琢磨(以下、加藤):シフトブレインでは基本的に受けていませんね。本質的な課題をクリエイティブで解決するのがうちのバリューだと考えているので、課題を理解しないままでは見積もり自体が作れないためです。

加藤 琢磨
(シフトブレイン CEO)

辰巳さん:まだ御社には決まっていない段階でしたが、加藤さんに来社いただいて相見積もりの交渉をしました。どうにか相見積もりでやってもらえないかと相談したんですが、それでも受けてもらえませんでした。「なんで!?」ってその時は思いましたね。だって、どういうものを作り上げてくるかわからない会社と契約するなんて、こっちが圧倒的に不利じゃないですか。

加藤 :初回のお打ち合わせで制作の流れはご説明していますが、発注いただく時点では目に見えるものはないですしね。
シフトブレインではどのプロジェクトにおいても、制作フェーズの前に2-3ヶ月のヒアリングや調査を行い、企画のプロセスを挟んでようやく作るものが決まってきます。この前段のプロセスの稼働費用については見積もりを算出することはできますが、全体の見積もりを作ることが難しいのです。とはいえ、ご予算の都合もあるのとは思うので、これまでの実績から金額感をお伝えするようにしています。

辰巳さん:せめてざっくりしたデザイン案を作ってもらえないかっていう相談もしましたけど、それも断られました。他社は、完成サイトの雰囲気がわかるようなトップページは作りますって言ってくれていたんですが......。

加藤:前段のプロセスを踏んでいない状況では、完成後のイメージをお作りすることはできないとお伝えしましたね(笑)。

辰巳さん:御社は作らないって言っているけど、うちは発注したいと思っている。どうすればいいんだと(笑)。その後、加藤さんから前段の整理が必要という説明を改めて受けて「まあそりゃそうだよな」と納得しました。最終的には言葉まわりも含めて自分の頭の中を整理してくれる点と、見てくれのWebデザインだけじゃないっていう点、要するにブランディングですよね。それらをやってくれるんだなってことを知って、依頼することに決めました。

成果物がわからないまま発注するのは怖さもありましたが、自分でブランディングに取り組んできた今となっては、何もない状態で発注をさせたシフトブレンもブランディングの賜物で、それもある意味での力だったんだなと思っています。僕は着実に進めていくタイプなんで、目に見えないものに費用をかけることは絶対しないんです。でもその時はそれに賭けた。だから自分でもちょっと不思議な感じです。

加藤:うちにご依頼いただいた決め手は、何だったんでしょうか?

辰巳さん:整理をしてもらえるという点です。Webサイトを作る本質は、LARGOがどんな会社なのかを知らせるためですよね。僕自身の考えをわかりやすく伝えるには文章を書くしか方法がないと思っていました。でも実際に書いてみると、キャッチーなフレーズってなかなか出てこないですし、ぐるぐる回っちゃって自分でも整理がつかない状況だったんです。シフトブレインではその辺りの整理から始めるのを大切にしていると聞いて「あ、これだ」って思いました。 加藤さんの「まずはそこから一緒に考えましょう。」という言葉、それが決め手だったんです。全然知らない領域でしたし、そういった仕事自体にも興味があったので「勉強のためにも1回やってみたい」っていう思いもありましたね。

辰巳さん:それまでは「かっこいいものを作ったらいいでしょ」っていう気持ちが先行していたんですけど、それだけじゃダメで。何か人の心にグサッとくるような本質を持っていないと、LARGOが何者なのかを分かってもらえないと感じていました。たとえ同じものができたとしても前段に意味のある本質があることが大事なのかもしれない。もし会社をそういう風に表現できたら自分も納得がいくし、人にも伝えられて、社員にも伝えられる。これは一石二鳥だなって。Webデザインの前に、そっちの方が大事だなって思ったんです。
過去に失敗した経験がトラウマにもなっていて、自分が希望する見てくれだけを作っても同じことの二の舞になってしまう。だから、今度は違う角度から作っていかないといけないなと。

加藤:その後悔があったから、シフトブレインを選んでいただけたんですね。

2.求めたのはシフトブレインが紐解くLARGOらしさ

——前段の整理は、どのように進めていきましたか?

加藤:始めは辰巳さんご自身の歴史から追っていきましたね。タグラインやロゴを制作する前に、2ヶ月くらいかけて整理を行いました。

辰巳さん:うちのターゲットやペルソナとかも考えていただいて「ああ、こういうふうに固めてくんだな」と思いました。その時は整理の期間がちょっと長く感じていましたけど、いきなり確信には辿り着けないので、あらゆる角度から周りを固めていって確信に迫っていくんだなと。これだよね、っていうところを見つけるまでにはあのぐらいの期間が必要だったのかなって、今は思います。

西山 ジョン(以下、ジョン):辰巳さんの学生時代の話や以前勤められていた会社のことなど色々と聞かせていただきましたね。

西山 ジョン
(シフトブレイン Planning Director / Copy Writer)

辰巳さん:ジョンさんの仕事は素晴らしくて、このような能力を持った方とは初めて会いました。結局こういうことだよなというフレーズや、ちょっと洒落っ気があって......でもおしゃれに決めすぎてなくて、ぐさっと伝わってくるっていう感じの文章。僕も聞いて感動するぐらい「ああ、こういう職業の人っているんだな」 と思いました。自分の長くてまとまりのない文章も、まとめてくれるのがジョンさんだと思って信じて......自分が思いつくことをとにかく書いた覚えがあります。

——ロゴ制作やWebデザインについてはいかがでしたか?

辰巳さん:ロゴが決まるまでには何回かやりとりがあって、こちらも時間がかかった記憶があります。
その時に小さいトラブルもありました。ロゴに関しては僕の好きな雰囲気を伝えていたので、それをシフトブレインに紐解いてもらいアレンジしてもらうのを期待していたんです。ただ、最初のロゴ案はその期待に応えるものではありませんでした。続くWebデザインも同様で、デザイナーの鎌田さんには「シフトブレインに頼んだ意味を考えてください」と伝えました。これは仕事のスタンスの違いだと思っていますが......僕は昔、お客さんに寄り添って情報をヒアリングして、うちなりのアレンジをして成果物を出すべきだと思っていたんです。だけど、その頃にはデザインする側にも主体性があっていいんじゃないかと思い始めていて......良くも悪くも強気というか(笑)。デザイン先行で、ぶっ飛んでいて誰が見ても「おっ」って驚きのあるような革新的なことやってほしかったんですよね。なので「もっと動きを入れてください」など、希望を伝えてディスカッションもしつつ最終的に今のデザインになりました。

ジョン:最初は確かにそうでしたね。デザインに関しては僕も領域外なんで、当時は辰巳さんと鎌田の間でしか分かり合えないところがあるんだろうなという風に見ていました。ですが、鎌田もロゴを大胆に使う方向性に着地した後、それ以降は『vakel(バケル)(※)』の時も含めて辰巳さんとツーカーになっていきましたよね。あの時がブレイクスルーとなったポイントだったと思います。

vakel(バケル):LARGOのセカンドライン。美容室の空間デザインを定額制にし、業界初となる料金設定の可視化を実現したサービスです。シフトブレインではブランドのネーミング、ロゴ、サービスサイトの制作を担当しました。

辰巳さん:デザインの方向性が決まってからは「おっ」と驚くようなデザインになりましたよね。当時は鎌田さんも大変だったろうなと思います。僕も同じようなことをお客さんに言われた経験がありますし、嫌な客できついだろうなって。でも、そういうお客さんに成長させてもらうことの方が多いんですよね。

加藤:彼自身にとっても、ターニングポイントになった瞬間でしたね。

▼LARGOデザイン制作裏側のインタビュー(外部サイト:URAGAWA


3.そして指名依頼が絶えない状況へ

——最終的にはコーポレートサイトは大胆な動きのあるデザインとなりました。リニューアル後になにか変化はありましたか?

辰巳さん:僕はWebサイトが完成したら、すぐにWeb経由の問い合わせが増えると思っていたのですが、実際は違いました。1年経っても問い合わせは増えず、『LARGO』と検索しても同じ名前のブランドや企業が多く上位にWebサイトがでてこない.....そうなると焦りはじめますよね。なので、SEOの検索順位もあげたいし改修もしたいんだけれども、加藤さんには「改修はできる限り対応しますが、やれる範囲に限界があります。なぜなら、フェラーリを作ったからです。」と言われまして 。

加藤:僕がLARGOさんのサイトをフェラーリに例えたのは、簡単に組み替えられる大衆的なものではなくLARGOさんらしさを追求した完全オリジナルのものだったからですね。

辰巳さん:当時は「フェラーリを作ったってどういう意味!?」ってなったんですけど(笑)、自分が求めてたデザインって結局そういうことだったんだなっていうのは後になって理解しました。

Webサイトを制作していた時、会社の基本姿勢は『バランスが取れたいい頃合いのデザイン会社』という、そこまで振り切れていない立ち位置だったんですよね。僕がそう言っていたんで、シフトブレインの皆さんも否定はしないんですけど、その姿勢を中途半端だと思われているのは伝わってきていました。だけど、ビジネスなんで売り続けていかなきゃいけないし、空間はお客さんと一緒に作り上げていくもので、うちがやってることはアートを提供することじゃない。ちゃんと理詰めして、金額も合わせていって.....そういったバランスの取れたデザインを目指していたんです。

でもWebサイトが今のような雰囲気になったことで、当時の会社とサイトが見合っていなくて、ズレが生じていたんだと思います。自分たちのデザインのあり方や取り組み方をちゃんと見据えて、現状と将来なりたい姿の整理がついた一方で、経営とのバランスも考えると気持ちはまだ振り切れずにいました。

辰巳さん:ただ、もうWebサイトは作ってしまったので、とにかく目の前のお客さんに対して信念をもって対応して、空間が持つ力や自分達を信じて丁寧に、誠実に、取り組むことを続けました。SEOにも取り組んで記事広告でWebサイトへ誘導したり......。しばらくは売上が大きく増えたわけではなかったんですが、だんだんと会社がWebサイトに追いついたかなって思った時に......電話やメールでの問い合わせが突然増えたんです。内容もこれまでとは違って「LARGOにやってもらいたい」という指名の依頼に変わって。そこからは、毎月依頼を受けきれず断ることもあるくらいの状況で今まで来ています。

当時は半信半疑ながらもWebサイトに追いつけるように前に進んでいましたが、今では面白いことにWebサイトに引っ張り上げてもらったなという感覚です。Webサイトを先行してあのぐらい大胆にやっていなかったら、今こうなってなかったかもしれない。すごくいいきっかけになりました。

加藤:公開当初は社名である「ラルゴ」の検索ワードは競合が多く、リニューアルしたサイトが新規のドメインだったこともあって、検索結果の上位に表示されるのが難しい状況でした。公開後にサイトが多くのアワードを受賞したり、ブックマークサイトからのリンクも多く張られたことで、SEOの評価もあがっていったんですよね。振り切ったデザインのサイトだったからこそ、時間はかかりましたが最終的に競合の多い「ラルゴ」の検索ワードで1位をとることができ、サイトからのお問合せに繋がったのだと思います。

ジョン:リニューアル前と比べて打ち出すメッセージも変わりましたよね。「程よい価格帯でちゃんと作ります」から「こんなものを作るぞ!」になりましたが、それに伴ってクライアントの属性も変わったりしましたか?

辰巳さん:お客さんはうちの会社がどんな想いで作っているかについては、リニューアル前後に関わらずあまり気にされていなかったと思います。お客さんからしたら成果物や費用、うちがいいものを作れるかどうかのほうが気になるところですよね。そんな中でも以前から、LARGOとしてやりたいことが表現できそうな物件やお客さん、面白そうだなと感じる案件に対しては、実は利率を下げてでもやらせてもらっていました。そうやってリニューアル前から実績紹介できるような案件は受けていたので、お客さんは当時のラルゴの変化をあまり意識することはなかったと思います。

実績紹介はこちらからご覧いただけます。

ジョン:さきほど「サイトに引っ張ってもらった」とおっしゃいましたが、ブランディングによってサイト上で「うちはこういうことをやります」という対外的な約束をすることは、社内にも影響を及ぼすと思います。会社の姿勢に対して、社内の方もそれをちゃんと体現しなければと考えると思うんです。もしその際に何か社内に対して具体的に行われたことがあったら教えていただきたいです。

辰巳さん:スタッフからしてみても、いつの間にか今の状態になっていたという感じではあると思います。
していることと言えば、僕は全部の現場を見に行くんですけど......スタッフには仕上がったものに対してダサいかダサくないかをはっきり伝えるようにしています。デザインに関しては目に見えない感覚的なところもあるので具体的に言いにくいんですが「うちが作ったって言いたくない」という点ではちゃんと伝えて、作り替えてもらうこともあって。純粋に利益も関係なく、駆け引きやブランディングも抜きで「LARGOに頼んで良かった」って言ってもらって、それをみんなにも感じてもらえるようにしたいんです。スタッフからしたらうるさく感じるかもしれないけど、常に大事にしてるのはお客さんの立場になって、自分が相手だったらどう思う?ってことなので。

その判断基準が1番正解で、基準を満たさない場合はLARGOを信頼して依頼をいただいている以上はうちが変えるべきだと思ってやっています。御社にも「シフトブレインに頼んだ意味を考えてください」と言ったように、僕自身もLARGOに依頼された意味を自問自答しながら作り続けてきたという感じですね。

ジョン:それをお聞きすると、ブランディングが成功するかどうかはクライアント側の努力次第でもあるんだなと感じました。僕らはあくまできっかけでしかなくて、辰巳さんがそこまで覚悟をもってやってなかったら、やっぱり今のような結果には繋がっていなかったと思います。

辰巳さん:うん、本当にそう思います。作ってもらったものに自分たちが追いつこうとしないと「この会社、サイトではこう言ってるけど全然違うよね」ってなっちゃいますもんね。

ただ、コーポレートサイトができて自分の頭の中は整理できても、社員に伝えることはまた別問題です。最近別途で会社資料の制作を依頼しましたがあのような資料は絶対必要ですし、ブランディング後に入社した社員にもちゃんと伝えるためには、セットで提供いただけたら完璧だと思います。
社長の僕とシフトブレインの自己満で終わらせないようにするためには、その次は何が必要なのか......そこまでケアをしてもらえると最高ですね。

今年新たに制作した社内向けの会社資料(非公開)

4.リブランディングで叶った理想の環境

——リブランディングの結果、当初感じられていた課題感は解決できましたか?

辰巳さん:実は今回の裏テーマに『内装設計や空間デザインを一生の仕事にしてもらいたい』という想いがありました。この仕事って夜中までやって工事も大変っていうイメージがあって、女性はライフイベントを機にほぼ辞めてしまいます。20代ですごく頑張ったのにその財産を手放してしまうんです。
僕はみんなにこの仕事と長く付き合ってもらいたいので、土日は絶対休みにしたいし家族との時間も大切にしてほしいと思っていました。今はサイト経由で指名のお問合せが増えて相見積もりなどの営業活動をしなくなったので、スタッフの仕事も1〜2ヶ月前から決めることができ無駄な作業がなくなりました。早く帰りたい時には帰って、やるときはやる。そんな感じで今はもうみんな18時〜20時には帰宅しています。それが実現できたことが1番嬉しかったですね。

加藤:なるほど。今までは見込みがわからなかったところが、LARGOさん側でリソースやスケジュールをある程度コントロールできるようになったんですね。

辰巳さん:そうです。毎月サイト経由で平均15件ほど新規のお問合せがくるので、すごく助かっています。ブランディングの大切さを勉強させてもらって数年かけて結果も出たので、本当にシフトブレインに頼んでよかったなって思っています。

加藤:ありがとうございます。嬉しいです。

辰巳さん:ただ、感想としては待ってる間は本当に怖かったです。世間に知ってもらうためには、1〜2年じゃ伝わらないし、うちのことはそこまで見てくれてないんだなという現実にも当たりました。飛び技を使ったりSEOを頑張っても、ブランディングは成り立たないので、ひたすら地に足をつけて作り上げていくしかないんだなって。売上も上がらないなかで信念を持ちながらやり続けるって、怖いし勇気がいることでした。 利益だけを求めてたら絶対できなかったので、自分のプライドもあったのかもしれないですね。最終的には、信じて待ってよかったです。

5.ブランディングにゴールはない

——今回のリブランディングを経た感想や、これから新たに取り組もうと考えていることがあれば教えてください。

辰巳さん:3年ほどブランディングに取り組んできて、今では当初目標にしていたような企業からもお声がけいただくようになりました。ですが、感覚的には「気づけばそうなっていた」という感じ。目標だと思っていたものがいつの間にか通過点になっていて、目標はゴールではなかったと気づいたんです。どんな案件をやるかやらないかではなく、ひたすら空間の持つ可能性を信じ続けて僕らが体現・表現し続けることが目標だったんだなって今は思っています。

一方で、これからも色々なブランドの空間を手掛けていきたいので、そのために今後は会社だけじゃなく『空間に携わっている人』という自分自身のブランディングにも取り組んでいこうと考えています。僕の人となりをわかってもらうことは、次のステップに進むために必要なことだと思うので。

——最後にシフトブレインとのプロジェクトを振り返り、今後ブランディングを検討されている方に向けて、お伝えすべき心構えなどがあれば教えてください。

辰巳さん:ブランディングは、自分たちの社会的意義を考えたいという想いや信念がなければ取り組むのは難しいと思います。そうでなければ、ブランディング自体が価値のないものになってしまう。これから個の時代とますます言われていく中で、自分たちが何者かということを意識していかないと埋もれてしまうし、長期的に考えると意識して取り組んでいかなければいけないことですね。今は良くてもそのうち壁に打ち当たっちゃうだろうし、一度挫折して八方塞がりな人たちにとってはより必要なものだと思います。

加藤:ラルゴのブランディングに留まらず、2021年にはセカンドライン『vakel』の新規立ち上げをお手伝いさせていただいたのもとても光栄でした。

辰巳さん:僕の感覚的には、LARGOにとってシフトブレインは単なるWebデザイン会社じゃないというか。
『vakel』もブランディング後に増えた案件の受け皿となるサービスとして、一緒に作っていった感じです。これまでの付き合いからうちの本質を知っているのはシフトブレインしかいないんで、話も早いですしね。そうなると、自ずとずっと付き合っていって一緒に成長していく......社外取締役みたいな、今はそんな感じに思っています。

制作物

コーポレートサイト
・サイト内動画
・ロゴ
・名刺
・封筒
・ファイル
・領収書
・会社パンフレット

【制作期間】
 約1年(2018年5月〜2019年4月)
【担当領域】
 ・全体企画 
 ・コピーライティング
 ・ロゴデザイン
 ・Webサイト制作
 ・動画ディレクション
 ・関連ツールデザイン

制作クレジット

Producer: Sunao Nakamura
Project Manager: Masakazu Tsuru
Design Director: Keitaro Suzuki
Planning Director, Copy Writer: John Nishiyama
Art Director, Senior Designer: Ryohei Kamada
Logo Designer: Hiroki Miyamoto
Front-end Developer: Junichi Nishiyama, Wonguen Heo
Back-end Developer: Hiroaki Yasutomo 
Photographer, Video: Kengo Tsutsumi (nanakumo)
Printing: Yuji Hamanaka (Magical Press)


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Photographer: TAKAGI Ari
Interview,Text: SAKA Mihoko