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IT古典良書を読み解く《第4回》採用面接ゲリラガイド

    第4回 Joel on Software(ジョエル オン ソフトウェア) -その4- 「採用面接ゲリラガイド」

Googleの面接

こんにちは。スクラムマスターの伊藤です。

「ピアノ調律師は世界中に何人いる?」「富士山を動かすにはどうしたらよいと思いますか?」といった質問がGoogleの面接では聞かれると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。それに対する回答例の本まで出版されていたそうですが、そんな本を買った人は間違いなく不採用だと思いますが(そもそも面接までもいけないかと…)。

社会人であれば、面接を必ず経験し、今は面接をする立場という方もいるでしょう。今回は採用面接の話です。Joelはこれについて別に1冊の本を出すほど熟知しているようです。IT業界での採用面接は一体どうあるべきなのか。紐解いていきましょう。面接をする側で話は進みますが、面接を受ける側にも、ためになるうえ、Google面接の謎まで解き明かされます。

引用: Joel on Software
171ページ「第20章 採用面接ゲリラガイド」
(原文)- The Guerrilla Guide to Interviewing (version 3.0)
(日本語アーカイブ)- ゲリラ的雇用面接のすすめ (残念ながらversion 1.0の翻訳で古いです)

《よもやま話》

筆者もいろいろな面接を受けてきました。いきなりプログラミングを書かせる会社もありました。悪い意味で印象に残っている面接官が、何かにつけて自慢しマウントをとってくる人がいました。プロジェクトの経験を聞かれて、「○人規模のプロジェクトでした」と答えると、「俺は○人月のプロジェクト管理をしたことがある」といちいち自慢してくるので「そうですか。それは、すごいですね」という謎の相槌が必要でした。幸いにも(?)不採用でした。

頭が良く、物事を成し遂げる

「頭が良くて、物事を成し遂げる」さぁ、繰り返しましょう。「頭が良く、物事を成し遂げる」これがJoelのいう、求める人材です。

本章の冒頭には、テロリストの要求が7日でFortranコンパイラを3人のチームで作成しろというもので、リーダーがそれに必要なものを問われるうちに誰を付けてくれるのかということが一番重要ということになりました。そこでリーダーは「チームでウマが合わなければ、一緒に仕事はできません。それにFortranコンパイラを1週間で自分で書けるようなスーパースタープログラマーなんて一握りしかいませんが、6ヶ月あってもスタートアップバナーを表示するコードも書けないようなプログラマはたくさんいるんです!」と我々、技術者の気持ちを代弁します。(※自分でというのはコピペではないという意味も含まれているかと)

ここで行き当たったことは、ソフトウェアプロジェクトにとって最も重要なのは人材だとみんなリップサービスでは言うけれど、そのために何ができるかとなると誰にもよく分からない。適格な人を雇うことができることで、適格かどうか判断するポイントが「頭が良くて、物事を成し遂げる」です。どういった人がNGで、どういった質問で判断していくのか紐解いていきましょう。

不採用 不採用 不採用

面接を受ける側とすれば、不採用になることは悲しいことですが、アンマッチで採用されてしまうことは双方に悲劇を生むかもしれません。Joelは面接の終わりに鋭い決断をする準備ができていないければならないと言っています。「採用不採用か」これ以外はないとのこと。

「採用するけど、私のチーム以外に」→ 不採用
私のチームで働けるほど頭が良くないが、向こうの負け犬チームとならうまくやっていけるかもしれないと言っているようなもので無礼。

「私のチームである特定のタスクをこなせるけど、別のチームではうまくいかない」
「特定の分野がすごく優れていてるけど、他のことは何も学ぶことができない」 → 不採用
ITの世界では、物事が非常に早く頻繁に変わるため、どのようなタスクでもうまくこなせる人間が必要。個人的には、特定分野のスペシャリストが必要な場合は、スーパー派遣を依頼するのがよいかと考えます(これはこれで争奪戦ですが…)。

「いいかもしれないけど。分からない」「採用してもいいけど、不安なのは…」→ 不採用
どっちつかずのものは、機械的にNoにして構わないとのことです。
では一体どうやって、「頭が良くて、物事を成し遂げる」人を採用すればいいのでしょうか。

具体的な質問

いよいよ核心部に入ってきました。Joelが面接するときの典型的プランは以下の通りだそうです。
1. イントロダクション
2. 候補者がかかわった最近のプロジェクトについての質問
3. 無理な質問
4. プログラミングの質問(採用する職種の内容で読み替えて良いかと)
5. それで満足か聞く
6. 質問は?

頭が良くて、物事を成し遂げる」人を見極める手法を紐解いていきましょう。

1. イントロダクション
こちらは、候補者をリラックスさせるための時間。簡単な雑談、面接官の自己紹介や今後の進め方。興味があるのは答えではなく問題をどうやって解くかという話で候補者をリラックスさせる。

2. 最近のプロジェクトにつての質問
情熱的
頭の良い人は、やっているプロジェクトに対して情熱的になるとのことです。悪い候補者は全然熱くならない。情熱的かどうかは、話しているとき、ついつい面接ということを忘れてしまう兆候があるそうです。

物事を説明できる

プロジェクトを説明する時、普通の人が理解できるような言葉で説明できない人をJoelは不採用にしたそうです。「ちょっと練習だと思って、私の祖母でも分かるように説明してもらえないかな」と言いましょう。頭の良い人ならば、それができるはずですし、言われるまでもなく行っているかもしれません。

それであなたは何をしたの?
チームで取り組んだプロジェクトであれば、プロジェクトの問題などに対して「それであなたは何をしたの?」と聞くそうです。物事を成し遂げる人なのかどうかを知る唯一の方法は、その人が物事を成し遂げてきたかどうかを見ることです。

3. 無理な質問
お待たせしました。ついにGoogle面接の謎が明かされます。Joelは「ワシントンモニュメントの重さは何トンか?」「ロサンゼルスにガソリンスタンドはいくつになるのか?」「ニューヨークに何人のピアノ調律士がいるのか?」といった答えようがない質問をして、それにどう対処するかを見るそうです。

頭の良い候補者ならば、知識を試そうとしているのではないと気付き、ちょっとした計算をして一生懸命答えを出そうとするでしょう。「そうですね、ロスの人口を700万人として、自動車が1人当たり2.5台あるとすると…」良い兆候です! 結果は全然正しくなくて構わないのです。ここで、重要なのは、問題に真剣に取り組むということです。
よって、冒頭で書いた通り、こういったGoogle面接に答えを準備しておく、対策本を買うといったことをしている候補者は不採用にするのが正しそうです。

4. プログラミングの質問
ここがある意味、一番重要です。Joelはマジシャンを雇うのにマジックを見せてもらわないことなんてないのに、プログラマはコードを書くこともなく、面接担当者が良さそうだからといった理由で雇われることが多いといっています。
その場で、10行ぐらいでできる簡単な関数をプログラミングしてホワイトボードなどに書いてもらうようにすることで、「頭が良くて、物事を成し遂げる」人かを見極めているそうです。
プログラマを採用するときはプログラミングですが、他の職種でも応用が利きそうです。

5. それで満足か聞く
これは4と連続しているのですが、書いたコードには多少のバグがあることがほとんどで、それ自体は悪いことではなく、この問で考えそれに気付けるかを確認します。

6. 質問は?
日本の面接でも、最後に質問はありますかと聞かれることが多いかと思います。Joelはここでは既に心を決めているので、知的な質問を期待したりはしておらず、何を聞こうと気にかけないそうです。
大事なことは最後に、会社と仕事の売り込みをしておくことと言っています。これは、候補者が来てくれる、来てくれない、採用・不採用に関わらず、この会社を好きになり、良い印象をもちながら帰って欲しいからです。採用しない場合でも、ファンになって帰ってもらうことが重要です。

《よもやま話》

Google面接で行われるという無理な質問は有名になりすぎてしまい、最近はそういった質問をしないようになったそうです。ただ本質的には似たような(問題に真剣に取り組み、物事を成し遂げることができるか)質問は必ずあるかと思います。

SHIFTの面接

ここまで読まれて、面接をする方も、される方も大変だなという感想が多いのではないのでしょうか。

最後に、弊社の採用面接について話させてください。弊社は品質保証の会社であるため、まず候補者にテスト実行やテスト設計の適正があるかCAT検定(猫ではないです。あしからず)というWebテストを受けてもらっています。まさに、プログラミングの質問と同義かと思っています。
このブログでは割愛したのですが、Joelは書類選考・電話面接、6人以上と面接し、1/3が反対ならば不採用といった効率化についても触れられていました。

弊社では、候補者の同意の上で面接の内容を録画させていただき、あとでその内容を別の人に見てもらうことで面接の回数を少なくしています。
また、このコロナ禍ですのでオンライン面接を行っています。興味のある方は、このブログを参考にぜひともご応募のほどお待ちしています。

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執筆者プロフィール:伊藤慶紀
大手SIerにて業務用アプリケーションの開発に従事。
ウォーターフォールは何故炎上するのか疑問を感じ、アジャイルに目覚め、
一時期、休職してアメリカに語学留学。
Facebookの勢いを目の当たりにしたのち、帰国後、クラウド関連のサービス・プロダクト企画・立ち上げを行う。
その後、ベンチャーに転職し、個人向けアプリ・WebサービスのPM、社内システム刷新など様々なプロジェクト経験を経てSHIFTに入社。
趣味は将棋、ドライブ、ラーメン、読書など

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