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難題を抱える財産管理は弁護士と共同で〈法定後見〉

Cさん 女性 鎌倉市在住
法定後見支援歴4年  
享年89歳
 
地域包括支援センターからの相談  
息子と2人で自営業を営んでいた女性。数年前からアルツハイマー認知症を発症し寝たきりだった。息子が心臓病で急死し、自宅にひとり取り残された。本人の施設入所、息子と本人が残した借財の整理、ゴミ屋敷状態の自宅の整理、亡くなった息子の相続など課題山積。関われる親族がいないので後見人についてもらわなければならない。
      
本人の状況
Cさんは要介護5。重度の認知症でコミュニケーションは困難だが、突発的な発語はあり、嫌なことにはしっかり拒否反応を見せる。後見人が選任されることを条件に特別擁護老人ホームが入所を受け入れる。店舗兼自宅は足の踏み場もないほどのゴミ屋敷状態。庭木も伸び放題で近隣からの苦情も出ている。財産はあるようだが商売上の借金もあるようで請求書の山。鎌倉市長申立でやすらぎと弁護士が共同で後見人になることに。
 
後見開始後の支援
・やすらぎは本人の特別擁護老人ホームの入所を支援。通院サポート、入院手続き等に対応する。
・弁護士が財産管理を行うが、多忙な弁護士に代わり弁護士の指示を受けながら自宅家財の処分(売却できる物と処分する物の仕分け立ち会い、庭木の伐採や家回りの清掃手配等)、近隣への対応などを担う。
弁護士は財産管理事務(相続、負債の整理、自宅売却、本人の保有財産の確定等)終了後、後見人を辞任。やすらぎ単独の後見になる。
本人は特養で手厚い介護を受け穏やかに生活していたが、誤嚥性肺炎施設スタッフに看取られながら逝去。
 
担当者の想い
私は、被支援者の信頼を得ることを大事にして、寄り添いながら支援していきたいとおもっています。しかし、現実的には思うようにいかないことも多々あります。
Cさんは発語も無く精神的に不安定な方だったのでどうやって接点を見つけるべきか思案しましたが、先ずは、声かけから始め、時間をかけて距離を少しずつ縮めるようにしたところ、ある時、心を開いてくれる瞬間がありました。その時の喜びを今も覚えています。
後見開始時には財産管理は弁護士が担当したので安心して支援することができましたが、うず高く積もった埃に埋もれた家財の山、天井まで重なる衣類、走り回るゴキブリ……そんなゴミ屋敷状態の自宅に足を踏み入れたときは一瞬足がすくみました。でも弁護士、やすらぎのメンバー、地域包括支援センターの方たちなどの協力を得ながら私自身の持ち前の突破力で無事処理できたときの達成感は格別でした。