Naoki28_№18

🇫🇷TEMPURA
AUTOPORTRAITS DE TOKYO

フランスで年4回発行される日本文化を紹介する雑誌“TEMPURA”で連載中のインタビュー記事
“AUTOPORTRAITS DE TOKYO”＝”東京に住む人たちのセルフポートレート”を日本語訳したものをnoteに記録しています。

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TEMPURA_№18 / 2024.7

Naoki 28
JOUEUR PROFESSIONNEL DE STREET FIGHTER

Photo / Text : Ayaka Shida

大阪の高槻市出身です。“もけ”という名前で格闘ゲームのプロゲーマーをしています。
名前の由来は、たまたま目に入った遊戯王カードから。
保育園の頃からゲームを始めて、格闘ゲームを始めたのは小学1年生、6才の時です。
おばあちゃんの家に行った帰り道、もらったお小遣いで兄とゲームセンターに行くのが週末の恒例行事でした。
僕が中学生の時、ゲームのオンライン文化が普及し始めて、それが合っていたのか、その頃から本当に強くなっていったと思います。

プロゲーマーになろうと決めたのは大学生の時。
実はずっとゲームをすることに後ろめたさを感じていて、友達にも話したことがなかったんです。でも、やっぱりゲームをしているときが一番楽しかった。
母にも「ゲームばかりしてないで」と言われていましたが、最終的にプロになる背中を押してくれたのは母でした。
22歳の時、EVOという世界的に有名な大会に初出場し、5位に入賞しました。
それがきっかけでチームからスカウトされ、プロになりました。そのことで自信がつき、友達にも打ち明けられるようになったんです。
そして、そのタイミングで上京しました。
東京は好きです。ゲームするための環境が整っているし、ゲーム仲間もたくさんいるから。

僕のプレースタイルの特徴は“攻め”です。
緊張する場面でも、いつも通り攻めることができる。
これは、意識して人一倍練習していることと、どこか達観していることが影響していると思います。どこかで、勝負だから負けることもある、と思う自分がいる感じです。
格闘ゲームにはテクニックと心理戦という2つの大きな要素があります。
僕はゲームそのものに向き合うタイプのゲームをずっとやってきたので、テクニック面は強くなることが得意な方だと思う。心理戦の強化は今後の課題です。

プレースタイルとは反対に、性格は内気なところがあります。そんな風には見えないと言われますが……。
弱気な部分があるのを見せたくなくて、本当の自分を隠して周りに合わせたり、取り繕ったりする癖があるんです。かつて真剣にゲームをすることにコンプレックスを感じ、隠していたのも、この性格が原因だと思います。
今、トップで活躍されているプロゲーマーの先輩たちは、本当の自分を魅力的に見せるのが上手だと思います。僕はまだその部分が弱いし、何よりまだ大きな大会で優勝したことがない。
最近は2位が多いんです。
決勝戦まで進めていることは、優勝へのイメージがしやすくなるので悲観していませんが、やっぱり1番になりたい。
僕の目標は、強さを以て説得力のあるプレイヤーになること。そして、それがゲームや自分を知ってもらうきっかけになったらうれしいです。

幸せですね。自分と向き合えるこの仕事は自分に合っていると思うし、人にも恵まれています。
この仕事は、今でこそ子供のなりたい職業ランキングで上位に入る仕事ですが、最初からそうだったわけではないです。
だからこそ、今ゲームに集中できる環境を与えてもらっていることに感謝していますし、1日のうちのできる限りの時間をゲームのために費やしています。

この業界が、プロゲーマーを目指す新しい世代の人たちが参入しやすい大きな業界になることを願っています。そのためにも、強くてかっこいい姿を見せたいです。

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ここから編集後記🐈‍⬛
インタビューに至った経緯や私個人の意見を書いてます。
編集後記と言いながら、ほとんど私の日記みたいになってて公開するのがなんとなく恥ずかしいから
最新号・公開した方がいいなと思うもの以外は最低金額で有料設定にしてます🙃

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プロゲーマーのなおきくんです。

もけさんと呼んでいます😇

日本のeスポーツ元年と言われているのが2018年みたいですが
私にとって初めてのeスポーツ大会はEVOJapan2020でした。
記事内のここで☟

22歳の時、EVOという世界的に有名な大会に初出場し、5位に入賞しました。
それがきっかけでチームからスカウトされ、プロになりました。

もけさんが話してくれたEVOの日本版です。（よね？）
今回のインタビューは、今年の4月に開催されたEVOJapan2024の試合の合間にお願いしました。貴重な時間をくださって本当にありがとうございました🙇‍♀️

トラくん（№12）☟

の時と同じように、その場で取材交渉したので
断られるのを覚悟していたから、受けてくれて本当にありがたかったです……！
この癖やめないと本当に😞

初めての大会から4年後の同じ大会でプロの方にインタビューできたことは、個人的にとても嬉しいことでした。

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ゲームをやらない私が彼らを撮影するようになった最初のきっかけは仕事ですが、
ここまで追いかけるようになった理由のひとつは、当時の私が何を撮ればいいのかわからなくなっていたからだと思います。

eスポーツを知るまでの数年間、世の中の全部が似たようなものばかりでつまらないなと思っていました。
ずっと写真をやってきたから、できるだけたくさんのものを見ようとしてきたけど、その頃は何を見ても新鮮さを感じられなくなっていて、
たとえば、最新技術を使った◯◯とか、新しく建ったビル、現代アートなども
全部どこかで見たようなものばかりだなと思って過ごしていたから、
ライフワークとして新しいテーマで写真を撮ろうと思った時に、何にも魅力を感じられなくなっていたことに気がついて、何を撮りたいのかわからなくなってしまっていました。そういう時期に出会ったのがゲームの世界でした。

薄暗い会場の中にモニターの青い光に照らされた人たちがたくさん座ってて、その人たちはみんな膝や机に大きい箱みたいなものを置いて、真剣な顔をしてる🤔
こんな景色は今まで見たことがなくて、深海の底で暮らす知らない生態系を見ているような気持ちになったのを覚えています。
その時から今までずっと、（私にとって）不思議な世界にいる生き物たちに魅了され続けていて、彼らを撮影することは私のライフワークになりました📸

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私をこの世界に引き込んでくれたのは、この編集後記でもたびたび登場するゲームライターの岡安さんという方なのですが、私はいつも岡安さんについて現場にいきます🐈
この方が格闘ゲーム好きなので、私も必然的に格闘ゲームの現場に行くことが多くなります。

格闘ゲームのプロゲーマーとして有名なのは、梅原さんやときどさんという方かなと思います。
私が初めてメディアの仕事で撮影させてもらったプロはときどさんでした。

今、トップで活躍されているプロゲーマーの先輩たちは、本当の自分を魅力的に見せるのが上手だと思います。

もけさんが記事内で話してくれたような今トップで活躍されている方々は、ゲームに関係ないビジネス誌やスポーツ誌などにも登場することがあります。
それはeスポーツというものが社会に浸透してきている証拠だと思うし、彼らは本当に個性的で、魅力的😇なのですが
だからこそ、そうやってメディアに出る方はいつも決まってしまっている気がしていました。

でも、そういう方々だけがこの世界を作っているのではなくて、歴史もあるし、
私が見てきたたった4年の間にも、たくさんの若い選手が次々に台頭し活躍されていますし、彼らもとっても魅力的です。
だから、今回のインタビューでは、伝説みたいな方々よりも、もう少し若い世代がいいね☺︎と編集長のEmilと話して、何人か候補を出した末、もけさんにお願いすることになりました。

もけさんの存在は数年前から知っていて、年上のお兄さんたちと楽しそうにしているのをよく見かけていたから、失礼ながら、何事にも卒がない器用な方なのかな〜と思ってたのですが
昨年末に開催された大会で活躍されている姿を見て、もしかしたら、飄々として見える見た目と中身が全然違う人なのかもしれないと思っていた時だったので、おもしろそうと思って候補にあげました。
そして、当時の彼の戦績が、2位が続いていたことに“未完成なものの美しさ”を好むEmilも反応したのかもしれません。

プレースタイルとは反対に、性格は内気なところがあります。そんな風には見えないと言われますが……。
弱気な部分があるのを見せたくなくて、本当の自分を隠して周りに合わせたり、取り繕ったりする癖があるんです。かつて真剣にゲームをすることにコンプレックスを感じ、隠していたのも、この性格が原因だと思います。

もけさんが話してくれたこの部分が、彼の魅力のベースになっているんだなと思いました。
本当の自分を隠すのがすごく上手なんだろうし、それがしんどい時もあるのかもしれないけど、今の彼の姿は、本人が隠してるつもりの本当の自分がちゃんとにじみ出てるかっこいい姿だと思うけどな😇
これまでの全部がちゃんと彼の魅力になっているように思います。

もけさんはもちろん、他のプロの方もそうなんだけど、頑張ることをばかにしないところが好きです。
努力は美しいものだとよく言うけど、頑張ってる時って本人からしたらやっぱりあんまりかっこよくないですよ。
もちろんこちら側から見てたらめちゃくちゃかっこいいけど、本人は何か納得してないから頑張ってるはず。
みじめな時もあるし、見せたくないものだと思う。
頑張って、かっこよくなった時にはじめて美談になるだけ。
自分がそれを知ってるから、自分以外の人が頑張ることもばかにしないように見えます。誰かのかっこわるいところを見ないふりできるし、それぞれの時間を自然に尊重するのが上手ですごい👏
そして、きっと悔しい思いも、嬉しい思いも、どちらとも言えない思いも、いろんな気持ちをたくさん味わっている人たちだから、心が豊かな人が多いです。

彼らが素敵に見えるのはこういうところで、ゲームを知らない私が伝えられることがあるとしたら、こういう部分だとも思っています。
これからも、この興味深い生き物たちの観察記録📸を続けられたら嬉しいな。

№18は、もけさんもまさこさん☟も

信念を持って誠実に生きてる感じが共通していて、素敵な回になったなと思います。

おふたりともありがとうございました😇

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