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十和田市現代美術館(その1)

先日、雪の降る中、十和田市現代美術館を訪問しました。前のnoteの蔦温泉の翌日です。
十和田市現代美術館は「十和田市現代美術館は、アートによる「新たな体験」を提供し、未来の創造へ橋渡しをする美術館となることを目指します。」というビジョンを掲げています。新たな体験って何なんだろうなと思いながら観た展示されている作品をいくつか紹介していきます。

スタンディング・ウーマン(ロン・ミュエク)

バランスの妙

入館して最初の作品と思われそうですが、実は受付の部屋の床に作品は展開されています。それはさておき、まずはこの作品がいきなり現れて度肝を抜かれます。

この作品は高さ4mもあり、見上げて対峙することから始まります。
作品の顔の向きと目線がずれているので、顔を合わせた後に作品の周りを歩くと、作品の目線が先回りしてこちらを見つめているように思えます。そのせいか、いろんな角度からこの作品を鑑賞すると、様々な表情が見えるように思えてしまいます。
しかしながら、作品は表情を変えているわけではありません。こちらがそう感じとれてしまうだけです。つまり、こちらの見方が変わっているから、相手の表情が変わっているように見えるだけなのです。作品だけではなく、人間に対しても我々はそのような錯覚を起こしているのでしょう。ただ、この作品が上から目線であることは疑いようもないことですが。

この作品の大きさと展示されている部屋の大きさ、そして壁にある窓の大きさと鑑賞する人のバランスが絶妙です。通常の美術館は作品を運び入れ、作品のみを鑑賞するものですが、この美術館の作品とは、展示されている部屋も含め、鑑賞している人までもがその作品を構成しているようです。言ってみれば、鑑賞する人が作品に参加することによってはじめて作品が完成するのかもしれません。これがもしかしたら美術館の言う「新たな体験」なのかもしれません。

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