見出し画像

はじめての心療内科/精神科 ~メンタル疾患体験談~(#7:休職中の過ごし方③ 行動療法篇 「改札をくぐるだけで脚が震えた」)

(14)行動療法(リハビリ)開始。 「改札をくぐるだけで脚が震えた」

私の症状とそのメカニズム

私の当時の症状は、
①安静にしている時でも、喉の圧迫感、喉の詰まりを感じる。
②食事がとれない。外食ができない。
(=家以外の場所で食べると喉が引き締まる。)
③バスや電車などすぐにトイレに行けない状態、逃げられない状態が怖くなる。

これらのうち、投薬により①は改善していきました。
しかし②と③は投薬では改善しないと思われ、行動療法で改善するほか無いと思われました。

②や③の原因について、産業医の先生の見解は「脳が危険な場所/行為であると誤って学習してしまっている為、その行為をしたりその場所へ行くと反応が出てしまう。」というものでした。

なので、少しずつその場所や行為を行って慣らしていきながら、特に危険なことが起きずに安全であるという体験/状態を脳にさせ脳に学習し直させることとで回復させていくという理屈でした。いわゆる行動療法です。

まずは「家で安静にしている分には特に問題無い」という状態まで回復させた後、主治医の先生にも相談の上、行動療法を開始しました。

まずは改札をくぐるところから

かのデカルトは「困難は分割せよ」と方法序説の中で語ったらしいです。
(すみません、原著は読んでいないので、少し違うかもしれませんが趣旨は同じということで。。。)

という訳で達成したい行動を分割し、スモールステップ法で行動療法を試みました。

まずは電車に乗るよりもっと手前の段階、「改札をくぐる」からスタートしました。
健康な人からすれば、何を言っているのか理解できないと思います。

しかし当時は駅前に行くことだけでもドキドキしたり喉が圧迫されたり、呼吸が早くなったりしていました。

サラリーマンや学生、お爺さん。
老若男女が当たり前に通りすがっていきます。
私から見れば、まるで遠い世界のことのようで、羨ましく思えました。

「大丈夫、大丈夫。」
自分に言い聞かせて改札をくぐりました。
ドキドキして足が震えました。
それでも何食わぬ顔で平然を装いながら雑踏の中に溶け込んでいきました。何とかホームに上がりました。
既に呼吸が早くなっていたので一旦ホームのベンチに座りました。
少しすると電車がやってきました。
しかし恐怖で乗ることはできず、見送りました。
結局、駅員に改札を退場したい旨を伝えて、
電車に乗らないまま駅を離れました・・・。

そういうことを何回か繰り返していきました。
改札をくぐっても問題無い状態まできたら、次は電車の中に入り、座る。
そして発車間際にドアが閉じる前に出る。

それもクリアーしたら、ようやく、電車のドアが閉まるまで中にいました。「もうどうにでもなれ!」という勢いで電車に乗りました。
ドアが閉まったら、「次にドアが開くまで出られないんだ」と認識して、急にゾッとしました。
「でも、一区間1~2分だ。きっと大丈夫。」
そして電車が動き出し・・・。

「あれ、1分ってこんなに長かったっけ?」

と思いながらもとにかく外の景色を観たりしてやり過ごしました。
「次は〇〇、次は〇〇です。」
というアナウンスを聞くと安心感が出てきて、
ようやく一区間を乗り切りました。

このようなスモールステップ法で段階的に行動療法/リハビリをしていきました。

(15)行動療法 食事篇

電車に乗れない以外にも、課題がありました。それは食事です。

自宅で、少量ならば食事が出来るようになっていきましたが、外食がいまだできませんでした。

「外食=危険」 と脳が学習してしまったのだと思います。

なので外食もスモールステップ法でリハビリしていきました。

まずは、飲み物からスタート。

カフェでコーヒーを飲んでみる。
飲んだあと、喉がギューッと引き締まるのを感じました。

そして、一か月~二か月かけて、「飲み物なら大丈夫」という状態まで持っていきました。

その後、公園でお弁当を食べる

ということにチャレンジしました。

飲食店内で食べるよりも、公園なら吐いてしまっても比較的大丈夫だという自分なりの理屈があったので、心理的ハードルが低かったのです。

これも数か月かけて食べられるようにしていき・・・。
その後、飲食店で食べることにチャレンジするようになりました。

まずは、ハンバーガー一個から・・・。

ハンバーガーなら、途中で食べられなくなっても持ち帰ってしまえば良いので、ハードルが低かったです。

その後は、牛丼の小盛り。
松屋は食券制なので、気持ち悪くなったらそのまますぐに退出できるので、松屋で練習・・・。
すぐに外に出られるようにしておきたい心理があるんですよね。。
以上のようにスモールステップに分割して、ゆっ~くり時間をかけて、
元通りの行動ができるように修正していきました。

もし同じような症状に悩む方がいらっしゃいましたら、焦らず、段階的に、時間をかけて慣らしていくというスタンスで良いと思います。

焦ってまた脳に危険な体験として学習させてしまうとかえって逆効果になると想像します。(専門家ではないので断言できませんが、)

そして、主治医の先生にも相談しながらリハビリしてください。
自分の理論だけで判断は禁物です。。

という訳で大変な時間と労力をかけて元の生活を取り戻していきました。。
月並みですが、健康って尊いですね。。しみじみ。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?