記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

No.138 「ラグナクリムゾン」第68話備忘録

 ようやく7月末からの出張ラッシュが終了し, 体調もだんだん回復してきたので, 延び延びになっていた備忘録を書く. 

1. 巻頭カラーより

 恐らくアニメ放送開始ということもあり, 巻頭カラー. 前回の巻頭カラーは2022年9月号だった気がするから, 約1年ぶりのカラー. あの時は翼の血族編が完結して, レオサイドの話が始まった回だったから, なんだかんだ新章が始まってもう1年経つことになる. この1年アッという間だったし, あの頃はまだアニメに仄かに期待を抱いていたなぁ…

 で, カラーでルオシーに赤が入っていることに驚いた. Chinese taste だから赤か, 黄色だと思っていたけど, まぁ, そうか. で, 表紙は左から順に

コウ・テンラン, バグラム, シグマリオ, グレストノウァク, ギルゼア

で, これの並びに意味は無さそう. 一応,

「``桐生君''は竜王じゃない」

という点は若干引っかかるが, バンコは(少なくともこの時点では) open ではないから仕方ないのか. 

2. 銀彗星をめぐって

 前回の第67話備忘録


というよりそもそも竜陣営にとって, 銀彗星への認識がどうなっているかがわからない. 関心がないのか, それともなんらかの脅威と思っているのか? 脅威ならば, 破壊するか, 奪おうとするのか? あるいは「竜は銀彗星に干渉できない」等の制約があるとすれば, 封じてしまうとか?

 それを言うならば, そもそも銀彗星は unique なのか(今回初めて見つかったのか)? それとも今回見つかったのは銀彗星のカケラで, 別のカケラはちょこちょこ前から見つかっていたし, 何なら太陽神教と竜陣営で以前からその取り合いをしているのか? 仮に今回初めて見つかったならば, この数百年一体何をしていたのか? 今, 見つかったのは偶然なのか(以前の世界では見つからなかったのか)?

と書いたが, これについてはゾン様(「ドン!」ならぬ「ゾン!」がもう定型なのね)もといオルゴールが

「この時期にあの場所から銀彗星の破片が見つかった事などない
血族がこちらを釣ろうとしている」

と明言している.

 ここで注目すべきは, 発言内容の然りながら

・クリムゾン様がオルゴールの姿で
・アイクを筆頭とする銀装兵団の生き残りの皆さんの目の前
・かつ月面基地で発言している

点である. コレ, アイク達にはなんと説明しているのか? オルゴールはクリシュ・ウァイス(第65話の備忘録

https://note.com/shibushibuyanyan/n/nbd7a5b0a4d0a?magazine_key=mebcebc981e06

で指摘したように, 結局これは「クリシュ・ヴァイス」の誤植なのか? それともアイク達にはこれで通すのか)の滅竜導士としての顔で, 預言のカラクリもタイムリープであることをアイク達に明かしているのか. 仮にそうだとすると, クリムゾン様は銀装兵団の生き残り達を相当(それこそラグナ級)に信用していることになる. 件の「銀器鎧」の``実験台''としての``必要経費''として割り切っているだけにしては, かなり踏み込んだ対応をしている感じがする. 

 第二部「太陽神教編」に入ってから感じているのだが, クリムゾンが少し変わったような気がする. 実際, ラグナの扱いにしても, 第一部よりも(色々懲りて?)踏み込んだり, 歩み寄る努力を色々している描写が増えている. 「それがラグナだけに留まらない」という, より踏み込んだ変化の描写と理解すべきだと思う. 

 で, クリムゾンの知らない未来かつ罠の可能性ということで, 打ったテが

「(スライムと)まだ復活しきっていない(シッポもといヘビが戻っていない素のアホなままの)キメラをラグナにつける」

というのは少し消極的なようにも思う(突発的な総力戦を想定するにしてはやや戦力が足りない?). 他にまだ隠し玉があるのか, それとも何か事情があってこれ以上のテが打てなかったのか(らしくないぞ, クリムゾン), どちらなのかは現段階では判断ができない. 

3. 『銀の歴史』について

 で(リニアモーターカーで?), ルギア銀鉱脈に行く道すがら, 牢獄の聖女ニム・ハムニムより『銀の歴史』について語られる. これはまず


そもそもだけど今現在私達が銀と呼ぶ金属はほんの数百年前までこの世に存在していなかったのよ~

正確には銀という名の金属は存在していたのだけどそれは銀気を発さないただの貴金属だった
金なんかと同じね~

今では『クズ銀』と呼ばれて無価値なものの代名詞になっているわね

『銀気を発する金属』の見た目が『貴金属の銀』とそっくりだったの

だから貴金属の銀から名前を奪って銀と呼ばれるようになったのよ~

というもので, これから更に


では銀気を発する銀はいつどのようにして誕生したのかしら
はい ルオシーちゃん

と話を振られたルオシーが


聖典にはこう記されています
『遥か昔 偉大なる主が竜を滅ぼすために宙より銀の星を降らせた』
『輝く奇跡 銀彗星』
『翼の王・咆哮の王が滅せられ 骨の王が封じられた』
『それより以降 世界各地より竜を凍らせる気を発する金属が出土するようになった
これすなわち神銀(しんぎん)
主が人にお与えになった滅竜の武器である
(注:ここの括弧』が閉じられていないのは誤植? それとも誤植ではなく, 聖典にまだこの節の続きが何かあるということを示す伏線? 後で単行本収録時の修正状況により判断すべし)

と応えている. 

 これらは第33話でラグナの回想として語られていた内容や, 第41話でスターリア語っていた内容と概ね一致するが, 気になる点もいくつかある. 一つ目は第33話のラグナの回想と少し内容が食い違っている(ように感じる?)点である. あの時のラグナの回想はこうだ:


昔 誰かが言っていた 誰だったか クリムゾン? 違ったような

元々銀は他と変わらないただの金属だった

竜には『気』がない
この世のあらゆるものに流れている気が竜には流れていない
代わりに『魔力』が流れている

魔力はこの世のものじゃない
外から来た
世界を変化させる外からの力

だから『銀気』が生まれた

魔力による変化に抵抗するために世界が用意した魔力を停止させる力

汝 滅竜を志すならば 銀気を極めよ!

 捉え方にもよるだろうが, たとえばラグナの回想では『クズ銀』と『神銀』の区別がなされていないようにも感じる. 仮にそうであった場合, 「昔 誰かが言っていた」の誰かがルオシーではない可能性も出てくる. あるいは聖典とそこには記されていない(秘匿された)情報ということで, 太陽神教と決別したかもしれない未来ルオシーが, どこで情報をアップデートしてラグナに伝えた(つまり「聖典には秘密がある」という伏線)という風にも読める. 

 そもそもラグナがこれらの情報に「へ~」と言って驚いていること自体が奇妙なのである. 何故ならば未来でルオシーと共にいたことがあった死神ラグナにとって, この情報は当然既知のものであって然るべきだからだ. とするとそこには何らかの齟齬が生じているはずで, 私はこれを聖典が秘匿, 隠蔽している何らかの情報, あるいは世界の真相に由来するものではないかと考えている. 

 二つ目はやはり

翼の王・咆哮の王が滅せられ 骨の王が封じられた

の行である. これを聞いたラグナとスライムは, クリムゾンに銀彗星が当たるギャグ描写をイメージしているが, 実際はどうだったのか? 現実にクリムゾンは滅せられてはいないし, となると(恐らく初代)咆哮の王(レクス?)や骨の王バンコも聖典通りにはなっていない可能性も十分にある.

 また逆に聖典の記述を信じるならば, このイベントがあったのは, 少なくとも『神銀』が現れるよりも前の, 数百年前の出来事であることもわかる. とすると, 咆哮の血族はともかく, 翼の血族はアルテマティアが翼の王になったのは太陽暦448-56年なので, 長らく(数百年間!)空位だったことになる. 無論, アルテマティアが二代目ではない可能性もあるが, ボルギウスの発言や, 第63話

https://note.com/shibushibuyanyan/n/n0f34e6e8f019


の咆哮の血族に関するクリムゾンファイルの記述(アルテマティアと同じく代替えした二代目)に則るならば, 素直にアルテマティアを二代目と考えるのが自然であろう. 

 となるとバグラムが咆哮の二代目になったのもいつか気になる. ゲヘナホールでの戦闘の描写を見る限りでは, 少なくともアルテマティアがカルラ19835号だった太陽暦446年以前からゲヘナホールに引きこもっていたようなので, アルテマティアよりは年上そうではあるが, どれくらい上かは今のところわからない. 

4. ニム・ハムニムと不幸体質

 で, 『銀の歴史』についての意味深な講釈が終わったと思えば, 恋バナを通り越していきなり結婚と来た. まぁ, かくいう私も牢獄の聖女に負けず劣らず(いや流石に負けるが)お見合いはして, 大体直ちに破談になるクチだから(ちなみに相手を不幸にしているわけではない, 多分), 諸々わからなくはない. しかし正直, 小林大樹のこの tweet 

を観た瞬間に

『ああ, きっと彼女は酷い目に合ってしまうに違いない…』

と悟っていたから, 

『この上条(神上)さんの如き不幸体質のカミングアウトも, まぁ悲惨な目に合う伏線なんだろうな』

とか思ってページをめくっていったら, まさか話を跨ぐことなくこの始末… こんなのってないぺこじゃん…

 とまぁ, 一見ギャグ(?)描写にも思えるのだが, とりあえず気になる点を二つ. 一つ, 彼女の不幸体質の根源は何か? 流石に「お見合い99人」のエピソードは, 個人の不幸体質だけでは片付けられない何か(それこそ「幻想殺し」のような)がある感じがする. つまり彼女はまだ死亡したわけではなくて, まだ出番があるかもしれない(カルラもいるし, 最悪時間を戻せばいいはず?). 二つ, 何故彼女は(聖典の記述を信ずるならば)数百年前に封印された不滅竜バンコのことを知っていたのか(そもそも彼女はいくつだ?)? 封印されているバンコを太陽神教が数百年管轄してきたのか(だから知っていた?)? 

 ついでにもう一つ言っておくならば, これがシグマリオに命じられた``桐生君''が行った咆哮の血族への支援策か否かは気になる. これで終わりでこれ以上の手出しを桐生君は(今回は)してこないのか? あるいはこういう形の支援や工作がアリだとすると, 昔からの疑問にも一つ肯定的な可能性が出てくる. それは

『ドナピエルーの「銀のヒヨコ」に押し入った強盗も, アルテマティアをレーゼにけしかけるために行われた, シグマリオの工作だったのではないか?』(つまりアレは偶然ではなく「世界魔法」のために仕組まれた手順だったのではないか?)

ということである. シグマリオや「世界魔法」等が明かされた今となっては, コレはそれなりに可能性が高い説だとは思うが, この辺の真相が明かされるのはまだまだ先になるだろう. 

この記事が参加している募集

#マンガ感想文

20,138件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?