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渋谷のラジオの惑星(小原信治)火曜21:00〜

2024年7月30日(火)21:00-21:50放送
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パーソナリティー 小原信治(放送作家)
神奈川県栽培漁業協会専務理事 今井利為さん
「海苔がまた高くなった」 小原さんの奥様の一言をきっかけに
今海で何が起きているのか、お話を伺いました。

今井先生は水産学博士。 かつては水産試験場にて、真鯛の放流効果、赤ウニの生産技術開発をされていました、栽培漁業の専門家です。栽培漁業は計画的に魚を増やそうと造った言葉で、養殖は個人の囲いの中で成長させて市場に出荷する養殖とは違い、卵から稚魚に育てて、海に放流するサイクルです。

高度経済成長期から、沿岸を埋め立てて工業地帯にしたところ、魚やエビが育つ場所がなくなってしまいました。相模湾では、海苔となる海藻「アマモ」の減少が問題になっています。 アマモは浅い海に育ちます。その中でエビ・カニ類が育ち、大きな魚たちから稚魚を守り、海水の温度を保ち、二酸化炭素を固定して酸素を排出する。海の中の森の役割を果たしています。それが2015年頃から急速に減少し、海の砂漠化が進んでいます。海苔は再び高級品になり、国民食だったおにぎりから海苔が消えるかもしれません。

広範囲では、黒潮のルートが変わっていることも獲れる魚を大きく変えています。魚介類自体が減少したり、漁の方法が変わったり、名物や旬が変わって価格が合わなくなり漁が成り立たず、廃業する人も出てきました。

これらはすべて私たちが環境を変えたせいです。
温室効果ガス問題とは、地球全体に羽毛布団がかかっている状態を指します。このおかげで気温・水温が上昇し、水温の低い状態が保てず、生物の生息領域を変えてしまっているのです。私たち自身も猛暑や災害で被害を受けています。
この問題を解消するために、私たちは主な原因であるCO2の排出を減らさなければいけません。排出の権利をお金で買う取引は逃げで、何の環境改善もしていません。

CO2以外にも、陸から流されるプラスチックごみ、有機溶剤などの有害な液体も、海の生物を変えています。 1ナノグラムの有機溶剤濃度(プールの中に目薬一滴を垂らすほど)が、アワビの生殖に関わる性質をおかしくしてしまうのです。

我々をいっとき幸せにしてくれた便利さが次の世代につけを回しています。
人間は労力をかけなければいけません。
今手にしている便利さが長い目で見て幸せにつながるのか見直しましょう。
何かを手に入れるとき、別の何かを失っていることを自覚しましょう。

小原さんが毎日見ている海 私たちがさまざまに恩恵を受けている海で、信じられないことが起きていることが分かり、大切なお話が伺えました。

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