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短辺紙文「DJミックス」

電子反復音楽、「テクノ」といわれる音楽は、やっぱり愉しい。反復する、電子音の音楽。ミニマル。

そういう反復調子の曲と曲を、途切れないように、曲と曲を混ぜ合わせながら次々と繋いでいって、何時間でも浸っていられる最少で最大の反復音楽を、慎重に構成していく。DJミックス。

延々と聴いていると、気分が良くなってきて、眠くなります。踊りと陶酔の音楽というよりも、テクノ音楽には、もの憂げなところがあって、わたしには、痛みを逸らす没頭の音楽にも感じられます。

テクノ音楽は、波と、うねり。波と、うねりの、音楽。

テクノ音楽を鳴らし続けながら、茶の間で横になっていると、うとうとしてきて、そのうちに眠っています。

眠って夢をみるときに、訪れたクラブがありました。「ファブリック」という名でした。イギリスのロンドンにある「fabric」、スペインのマドリッドにある「fabrik」、イタリアのミラノにある「fabrique」、同じ名で広く知られたクラブがあるけれど、それとは無縁の、架空の場所。夢のなかだけの、ごく小さなクラブ。

フロアは、こぢんまりとしているのに、妙に高い天井。見上げると、アパートのベランダのような窮屈な露台が、壁面に設えてあります。ファブリックの運営者が言うには、そこは関係者だけが利用できる、立ち見の観覧スペース。たしかに、いくつかの人影が見えます。

フロアの隅に木製の小さな机があって、簡素な機材が設置されています。その机がDJブース。ブースの前には、短髪で地味な軽装の、神経質そうな男が立っています。彼がDJをするのだと思います。話しかけようとして、やっぱり、やめました。

音が鳴り出すまで、わたしは、じっと、待っています。

音楽が、なにもかもを解決してくれるわけではないのだけれど。どんな気分も救ってくれるわけではないのだけれど。音が鳴ってくれれば、もう、それで。

-オワリ-   文・写真/スカーラ主人

テクノ模様。たとえば。

リッチー・ホウティンさん。

モニカ・クルーゼさん。

ケン・イシイさん。

sometimes, I play DJ mix at home.
I hope you enjoy Techno in your room. Life goes mix.
テクノ音楽、家で聴く。

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