第四葉「枯れた恋と残ったもの」

PLOT
私は白詰双葉。
私はあるきっかけから彼、苜蓿(うまごやし)幸ニと付き合いはじめた。
彼と、クローバーがあるホーリー・ツリーの丘に向かうべく、フェリーに乗り、半日かけて『天島』に上陸した。
私たちは森を越え、山を越え、神木が見えた。
そんな時、彼が急に倒れる。
急いで病院に行くも、時はすでに遅し。
その後、私は…。

STORY
「枯れた恋と残ったもの」
あれから、何日経ったんだろ。

あの日から彼のことは忘れることは出来なかった。

私は、この現実から逃げるように、高校に行かなくなり、引きこもる生活になっていった。

葬式、あったんだろうな。幸ちゃん、行かなかったから怒ってるかな?

もうすぐ卒業式かな?

「幸ちゃんと…一緒に…証書…もらいたかったな。」と止まっていた涙が再び出る。

「幸ちゃん…会いたいよ…。」

トントントンとドアを叩く音がする。
「親かな?」と思いながら無視をする。

「…双葉さん?」と知らない声が聞こえる。
顔をあげ、
「だ…れ…?」
「幸ニの…母です。あなたと…話がしたいの。」と幸ちゃん母。
私は驚き、急いで部屋のドアを開ける。
顔が見えると同時に、私はひたすら謝る。
「すみません、すみません…。」
すると、私は幸ちゃん母の温かさに包まれる。
「自分を責めないで…。あなたは何も悪くないの。誰も悪くないの。…もう、いいのよ。もう。」と涙声で幸ちゃん母が言う。

ーお互い落ち着きを取り戻した頃。
「双葉ちゃん。…今日はあなたにお願いがあって来たの。」と幸ちゃん母。
「お願い…?」
「うん、それがね…。」

ー翌日。
私は朝早く、とある場所へ出かけた。
その場所に着いた時には、もう太陽が沈もうとしていた。
「幸ちゃん。必ず、持っていくからね。」と探し出す私。
そして、太陽から月へとかわり、ライトを使い、探し続ける。

ー太陽が茜色に輝く頃。
「幸ちゃんママ!」と私。
「見つかったのね、上がって!」
「はいっ!」
「こっちに来て、顔見せてあげて。」
私は仏壇の前にいき、ちーんと2回鳴らし、手を合わせて黙想する。
「来たよ、幸ちゃん…。幸ちゃんのこと、見送れなくて、ごめんね。」

「私、幸ちゃんのかわりにあの丘で見つけてきたよ、四つ葉のクローバー。」とクローバーを出す私。

そう、私は一昨日幸ちゃんママに頼まれて、もう一度『天島』へ行き、四つ葉のクローバーを探し出したのだった。

その後、あの日の想いにふけり、幸ニ宅を後にした。
私は星空の下、四葉町を歩く。
「これから、どうしよっかな…。高校続けるにしても、もう戻りにくいな…。こうなったら、中退するか。」
『ダメっ!』と耳元で声がする。
「キャッ!」と驚き、しゃがむ。
「な、なに?」とそっと振り向くと、そこには見覚えのある男性が立っていた。
「よっ、双葉!」
「こ、幸ちゃんっ!?」
「おぅ。」の言葉と同時に私は幸ちゃんの方へと動き出していた。
しかし、幸ちゃんの体を掴むことはできなかった。

「双葉にお願いがあるんだ。」
「…お願い?」
「あぁ、とても辛いお願いなんだが…。」
「…何?」
「これからは、俺との思い出とか俺に対すること、全部忘れて…」
「ヤダ。」
「全部断ち切って…」
「無理。」
「…前向きに楽しんでほしい。」
「…私のこと、嫌いなの?」
「……ああ、嫌いだ。」
「え…。」
「…人を疑わない、純粋な双葉なんか嫌いだ。」
「や、やめ…」
「人のことなのに、自分のことのように慰めてくれる双葉なんか…」
幸ニの言葉を遮り、抱きつく双葉。
何故かその時、一瞬だけ幸ちゃんの肌に触れた感じがした。
「わかったから…。もう言わないで…。私、頑張ってみる。」
「…がんばれ、双葉。上から応援してるからな!」

ー翌日。
私はあの後、幸ちゃんを笑顔で見送った。
その夜、幸ちゃんの願い通り、幸ちゃんに関する全てのものを処分した。
…いや、全てじゃないか。幸ちゃんに会うきっかけとなった四つ葉のクローバーを栞にして置いている。

実を言うと、私は幼稚園児の頃から、会っていた。
私と幸ちゃんは同じ幼稚園、同じ組だった。けど、特に接点はなかった。小学生になる前日、両親は事故によってあの世に行った。
この事で隣町のおじさんのところに行くことになり、拒むこともできずに幸ちゃんと離れ離れになってしまった。
当の本人はなんも覚えてないのか、全くの初対面として出会ったけど…。
そして、今日は卒業式。
さっぱりした気持ちで、私は家を後にした。

学校の校門前に近づくと、自然と足が重くなった。
『…やっぱり、無理か…。』と振り向きかけた時。
「あれ、双葉ちゃん?」と誰かが呼ぶ声が聞こえる。
声の方を向くと、同級生たちがいた。
「よかった!」と抱きついてくる同級生の友人。
「…みんな、ありがとう。」と涙声になる双葉。
「まだ、泣くの早いよ。」と冗談っぽく笑う友人たち。
「一緒に入る?」と同級生の1人。
「うんっ!」と手を繋いで入った。
校門に入ると、久しぶりに学校の空気を感じた。突如、頭に冷たい感触を感じた。
空を見上げると、雪が降り始めていた。
そういえば今年、雪見てなかったな。
私にとって、この雪が今年の最初で最後の雪となった。
そして、この日が私の新しい人生の幕開けとなったのだった。

Leaf is growing by destiny.
And, leaf dies with destiny.
So, those are this name life....

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