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ジャニーズ事務所の性加害問題について/メリー喜多川の罪

 ジャニー喜多川の蛮行を止めることができた唯一の人間は、姉のメリーである。調査委員会が「弟の行動を止めることを断念し、対外的には徹底的な隠蔽を図った」と言っていた通りだ。

 「あなた、いい加減にしなさいよ」とちょこちょこ注意はしていたようだが、喜多川は「わかった、わかった」と聞き流していたという。メリーは「いつか大変なことになる」と心配していたそうだが、本気になれば止められたはずである。

 寝込みを毎回襲うとか、少年たちと小部屋で一緒に寝るのを禁止するとか、やり方はいくらでもあったはずだ。どうして本気で止めなかったのか。それは「喜多川家再興のため」 ジャニーとメリーの父親は真言宗米国別院の僧侶で、プロ野球チームのマネージャーも務める地元の名士。それなりの生活をしていた。

 それが戦争と日系人強制収用で多くを失い、喜多川家は没落した。メリーは、傾いた家が弟の才覚によって潤っていくことを喜んでいたのである。喜多川家に富を蓄積していくことがメリーの望みだった。これが、娘のジュリーが株を100%所有している理由である。
 
 先日、TBSの報道特集が、(ジャニオタと蔑称で呼ばれる)ジャニーズファン数人をスタジオに招いて、記者会見の感想などを聞いていた。急いで集めたから仕方ないが、ほとんどがSMAPのファンで完全な人選ミス。

 真面目なジャーナリストは、アイドルやジャニーズのことなど知らないので無理もないが。SMAPのファンは、再結成という幻想を追いかけている層で、今やファンの中心ではない。ま、いいけど。で、その中に一人、嵐のファンだという若い中国人男性がいた。「嵐がいたからこそ日本に留学してきた」とか。

 これは重要なエピソードである。というのは、嵐は日本の良さを象徴するアイドルとして、アジアで高い人気を得ているからだ。日本人は、世界で成功しているKpop風でなければ相手にされないと思っている。でも、そんなことはない。それこそ偏見で、日本人が知らない日本の良さというのもある。

 日本人は日本文化を軽視するのが得意だ。スタイルが良くて華やかな洋犬が入ってくると、日本人は在来犬を見下し、石を投げ撲殺して消滅寸前に追い込んだ。

 長い間、日本列島で共に災害を乗り越えて生きてきた在来犬は、明治維新後、わずか30年ほどで町からも村からも姿を消したのだった。その現状に衝撃を受けた少数の人々の大変な努力によって、今日に血がつながったのである。
 
 そういう例は枚挙にいとまがない。最近では家でお茶を淹れる文化が消滅、茶道と日常生活は完全に切り離された。キリンの生茶は「家では淹れられない味」を宣伝文句にしている。もはや誰もそれを疑問に思わない。

 で、これから(ジャニタレと蔑称で呼ばれる)ジャニーズタレントの出番は減るだろう。音楽番組でもドラマでも。当然の流れだ。しかし、ジャニーズだから出していて、今度はジャニーズだから出さないというのは、同じ発想の裏表ではないだろうか。

 敗戦時に、今まで鬼畜米英・天皇陛下万歳だった人が一晩でアメリカ万歳になり、昔から民主主義者だったかのように振る舞ったのと少し似ていないか。ジャニーズだろうとなかろうと、良いと思えばテレビに出せばいいし、そう思わなければ出さなければいい。

 自分の目で見て考えて判断するべきだ。それなのに面倒だから忖度し、時流が変われば一切出さないというのでは、ただ大勢に逆らわずに流されているだけ。今後は、日本のアイドル界が壊滅してKpop一色になるかもしれない。それが「民意」なら仕方ないか。

 ヤンキーの更正の道だったLDH(EXILE系)にも頑張ってもらいたいけれど、最近はアイデンティティを捨ててイケメンメークに走り、Kpop風になった。顔がバラバラなのが日本製アイドルのいいところなのに、もったいない。日本人の遺伝子って実はすごく多様なのである。

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