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その思い込みに揺さぶりをかけたい

ここ数年大学で一コマだけ教えているんだけれど、春から一斉オンライン化になったことで、準備の荷重が増えてて、たった一コマなのにレポートのコメント返しがザクザク溜まっていくの、自業自得よね(汗)。大学の授業用システムがなぜか今日は調子悪く、返しかけのコメントがなんどもエラーになって、んぐぐぐ、ってなってる(はあ)。

それでも、この授業にはわたしなりの思いや、信念があってやっている。

対象は女子大の心理学科の2年生約50人。とても素直でまじめな良い子たち。そしてある意味「社会から与えられし役割を鏡のように体現している」なと毎年思っている。彼女らが20年の人生で植え付けられた「これが普通」に揺さぶりかけるのは、この授業の裏テーマのようなもの。

これはキャリアカウンセリング、について学ぶ授業なので、キャリア理論の基礎を学び、カウンセリング技法の基礎を学び、と知識を習得してもらう必要がある。でも、それだけじゃ理解できないので、わたしがあちこちで接したり聞いたりした事例をミックスしながら、具体的に考えてもらう時間を多く作っていて、その中で、毎年この授業後半にぶつける事例がある。

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28歳の女性クライアント、専門商社で責任ある仕事を任され始めたばかりで、ようやく自分の企画が動かせるようになっているタイミング。別の会社で働く同世代の男性との結婚が決まった矢先、彼が大阪に転勤することになった。彼の会社は全国転勤があり、この先も名古屋に戻ってこれるかどうかははっきりしない。彼女の会社は大阪支社もあるが、すぐには異動が難しい。いずれは子どもも生みたい気持ちもあるが、仕事もやっと成果が出始めたところでもっと頑張りたい。彼は彼女の仕事への意欲は知っていて応援してくれている。でも、この先どうすればいいのだろうか。

…というジレンマいっぱいの(あるあるな)事例。

学生たちが学んだ知識を活かして、いろんなアイデアを書いてくる。ぱっと見はよく考えられているし、彼女の気持ちも大切にしながら知恵を出している。4年くらい前には「今は仕事を辞めて結婚生活と子育てに頑張るとき」みたいな小姑様なことを言う学生がかなりいて、頭の中で?が飛び交ったんだけど(笑)、今年はそんなことは誰も書いてこなかった。↓のように。
・とりあえず行けるとこまで仕事がんばる課題引き延ばし作戦
・結婚してついていって、新しい仕事見つけよう、キミならできる作戦
・別居結婚したらいいじゃないか作戦
・もう一度大阪転勤お願い大作戦   などなどが主な提案だったね。
(一応提案の背景をキャリア理論でも説明されているよ。ラジオ人生相談じゃないからね・笑)

それでも一つ大きく欠けている&見えてない視点があるよね、というのが毎年のわたしからの指摘事項。読んでいる賢明なみなさんはわかるかな?

そう。
「男性の側が仕事を変わる可能性」を検討に入れるという視点。
彼女自身の思いをぶつけて、相手とともに一緒にこの課題をどう解決するか、どう2人の人生を作っていくのかを当事者として対等に考える、という視点がぬけてない?ということ。

それを学生にぶつけたところ、みな、本当に真摯に受け止めてくれて
「考えてもみなかったです。女性の側で考えることだと疑いもしなかった」と言うコメントが全員から寄せられた。そりゃそうなんだろうな。

現実社会はきっと、大半は女性の課題だと考えて、落としどころを決断しているのだろう。けれどね、彼は「彼女の仕事の意欲をしっていて応援している」のだよ。応援ってなんだ?どうやって応援してくれるんだ?「(自分に不具合がない範囲でなら)好きに仕事したらいいよ」っていうのは、ほんとの応援じゃないよね(笑)。

実際には男性側が結婚を機に仕事を変える事例、働き方を見直す事例、ずっと別居で行く事例、国家公務員の夫婦のようにお互いに転勤しまくる事例だってある。夫婦でいるってことは「やめるときもすこやかなるときも」生涯お互いを支えあうのだからして、そんなスタートから勝手に片方の課題にしちゃだめに決まっている、よね(笑)

学生たちはわたしがコメントで「男性の側の課題でもあるのに、そこをまったくクライアントに伝えないのはどうかな?」って言われて、相当にびっくりする。そして「ほんとに思い込んでました」と素直に伝えてくれる。だからってすぐに何かが変わるわけじゃない。でも、そうやってゆさぶられることは、つまりは「男性が基本的に稼いでくれるもの」って思い込みにも疑いの目を持つことだからね。

支援する人は自分の中にある「無意識のバイアス」にいかに自覚的であるか、が常に問われている。でも、専門家と名乗る人たちの無意識のバイアスに苦しめられている人は少なくない。心理学を学ぶ彼女たちが、そうであってはならないし、彼女たち自身が持つ(20年の人生の中で得てきた)無意識のバイアスにも、気が付くような揺さぶりをかけていくのは、若い人に接する仕事をするものの、使命だと思っている。ほんとは、こういう話、共学のところで教えていかないとねえ。今の若い人たちはこういうことに対して頭柔らかいので期待大なのだよ♡

ちなみに職場で育児と仕事の両立支援…が女性の課題だの女性の応援だのっていうのも、全部同じことなんで。子育て中の女性、じゃなく子育て中の社員に対する一定の配慮は男女問わず、だから、そこんとこお忘れなく(ということはまた別の機会に)

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