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ビール粕をめぐる試行錯誤
ご縁でビール製造時の副産物「ビールかす(麦芽粕)」をいただいたので、いろいろしらべてつくってみたよー。というお話。
ビール粕ってなんだ?
Kyoto Beer Labは京都でクラフトビールを製造販売している小さなブリュワー。仕込み時にビールかすが出るとのことで、ビール粕をいただきました。
kyoto beer labというところから麦芽粕というものをいただいた。謎食材。これをなにかにしてみよう。わくわく
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 22, 2021
前知識がまったくなかったので、勝手にビール粕は酒粕の仲間で使い方も酒粕同様にできるものだとイメージしていたのですが、調べてみるとどうやら全く違うのですね。
知らなかったこと① ビール粕に酵母はいない
>>>引用.アサヒビール
ビール作りは麦芽(大麦を発芽させ乾燥させたもの:モルト)を砕いてお湯で煮込み、大麦のデンプンと麦芽の酵素アミラーゼが反応して麦芽糖をつくる。この糖をイーストなどの酵母に食べさせると発酵してお酒になる。というのがざっくりな流れ。
麦芽は大麦自身のデンプンをアミラーゼで糖化して成長するための養分にしようとする。その状態で乾燥させて成長を止める。粉砕してお湯でお粥状態にする。絞ると糖の多い麦汁と麦芽粕になる。。。 ふむふむ。
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 22, 2021
なのでここでいうビール粕は糖液をつくるために麦芽を煮出して絞った絞りかすにあたる。酵母を加えられる前なのでアルコールは含まれていない。
知らなかったこと② 基本的に人の食用とされていない
あと食べる前提でもらっていたのでレシピを探したものの、ヒットしたのは”あの”ビール粕を粉にして食用にした〜。とか、人も食べれる犬用クッキーといった記事。
もうすこし掘り下げてみるとどうやら基本的に飼料(モルトフィード)や堆肥として活用されている。 >>>引用. モルトフィードについて
栄養素などを見てみると十分栄養価があるものなのに。ビールの国ドイツでは歴史的にに廃棄物は農家に販売され、農家は動物の飼料や作物の肥料として使用されているとのこと。(現代では若干変化あり)
人が食べる必要がないくらい飢饉がなかったのかな?疑問は残る。(確かに食糧輸出量すごい。。。)
ビール粕を活用する
いただいたビール粕はしぼりたてのほかほか。パンのような匂い。少し離れるとチョコレートみたいにも感じるよい香り。おいしそう。
食べてみるともそもそして味はしない。もみ殻も結構入っているのでかみきれない硬い繊維が口に残る。ビール粕は足が早いらしく、要冷蔵で1週間以内で使い切るほうが良いとのこと。まずは保存するために2つ試してみる。
①乾燥保存:140度、180度のオーブンで乾燥。フライパンで煎って乾燥。
②発酵保存:500gに対して20gのドライイーストを入れて発酵。
乾燥保存
乾燥はわりと時間がかかる。特に量が多いとなおさら。
140度でたまにかき混ぜながら乾燥させる。熱をかけたせいでパンのような芳香がとんでしまった。
180度で乾燥させたら時間は短縮できたが、水分が飛んだとき麦芽糖がカラメル化してこげてしまった。見極めがむずかしい。
フライパンでは弱火で炒ってみても麦芽糖が焦げやすい。乾き切る頃にはほうじ茶っぽい香りになった。
全体的に香りが失われたけど乾燥してさらさらなので使い勝手はよい。もうすこし細かく挽く方法を考えたいなぁ。(フードプロセッサーではモミを粉にできなかった)手間は結構かかる。
発酵保存
ビール粕にイースト入れたらドブロクみたいに発酵してお酒になったりしないかなと淡い期待をしながら粕500g、水250g、ドライイースト5gを混ぜ、フードプロセッサーでできるだけ繊維を刻んで発酵させる。
一晩で気泡が出ていてパンのように発酵していた。お酒の香りはそこまでしなかったのでその日はそのまま冷蔵庫へ。パン種として待機してもらおう。
パンを焼く
ビール粕(spent grain)のレシピを調べてみるとわりとBaking(パンやクッキーなど)が多い。たしかに小麦でも全粒粉があるし、フスマに当たるものがビール粕だと思えば当たり前に食べられそうな気がする。
ということで全粒粉カンパーニュをつくる。カンパーニュの模様って発酵させる器の模様だったのね、なんて気づきがありながらも無事完成。香りも表面のカリカリも内側のもちもちもすごくいい感じ。初カンパーニュとしてはすごいええやん!
と思って試食してみると。。。
モミの繊維が予想以上にきつい。フードプロセッサー1分くらいではまだダリない様子。
もちもちの生地を食べると口に繊維が残る。表面のカリカリはか美味くいただけるので次はカリッとした食べ物にしてみよう。
ビスコッティを焼く
気を取り直してビスコッティにしてみる。使ったのはイーストと混ぜた種。
麦芽粕でビスコッティ焼いた。うまい。これは良いぞ。 pic.twitter.com/fR2YlxG7Le
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 28, 2021
普通に美味しい。たまに繊維が口に残るけど十分よいのでは。発酵保存から作れるのは運用しやすそう。
おつまみようにベーコンや枝豆を入れたものをつくったみたけど、ベーコンが先に焦げてしまったので別のものを検討しないとな、というところで今回いただいていたビール粕(発酵保存)が終了。検討はまた次回。
味噌にしてみる
いい資料発見。モルトフィードの成分表。乾燥したものでタンパク質22%はなかなかアツい https://t.co/FTkqwPPARv
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 22, 2021
タンパク質多いということは、大豆に追加して味噌みたいな調味料もつくれるのでは。。。
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 22, 2021
まめの成分表 日本豆類協会https://t.co/IcRlsXez8T (いろんな協会があるんだなぁ。。。
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 24, 2021
茹で大豆 水分65.4%、タンパク質14.8%、脂質9.8%、灰分1.6%。
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 24, 2021
麦芽粕 水分63.4%、タンパク質8.2% , 脂質4.1%、灰分4.7%、粗繊維6.7% むむむ。。。
前回味噌を乾燥豆:米麹を1:1でつくったので、比較用に乾燥麦芽粕:米麹を1:1で作ってみるか。あとは茹で大豆を冷凍してたから大豆:麦芽粕:米麹0.5:0.5:1もためしにやってみよう。
麦芽粕が割と高タンパクなので味噌化してみる試み。とりあえず仕込みが完了。こないだ作った味噌と割合を揃えているので3か月後に比較できたらいいなぁ。 pic.twitter.com/XNFUdubStm
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 24, 2021
食品成分データベースというものがあるのか。便利。
— Sho Hirakawa (@Sho0214) January 25, 2021
https://t.co/wM7r0dsDxThttps://t.co/AUGmpy8Upc
大豆(乾)とおから(乾)の栄養素を比べるとおからになって炭水化物の割合が増えてるの面白い。麦芽粕と合わせるとちょうど栄養素を埋め合ったりして。。。
というところまでが今日までの進捗です。味噌についてはそのうちまたレポートします。もうねよう。
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