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USJを劇的に変えた、たった1つの考え方!?

こんにちは。しばゆうです。
今回は、USJが低迷していた時にマーケティングの力でV字回復に導いた森岡さんの1冊。

マーケティングの考え方は、マーケターだけのものではなく、「全ての仕事の成功確率をグンっと上げることができる」素晴らしい考え方なのです。本記事ではマーケティングの基本的な考え方、仕事の成功確率を遥かにあげる考え方を皆様にお伝えできればと思います。

それではイッテミヨウ!!!

マーケティングとは?

マーケティングって聞き馴染みはあるけど定義って聞かれたら分からない人も少なくないと思います。マーケティングの定義を著者の森岡さんは以下のように定義しています。

マーケティングとは「売れる仕組みを作ること」

よく営業と間違えられることが多いマーケティングですが、営業は「商品を売るのが仕事」に対して、マーケティングは「商品を売れるようにするのが仕事」であり、全く違う仕事であることがわかります。

では、具体的に売れる仕組みを作るためにどうしたら良いのか??
答えは消費者と商品の接点をコントロールすることで売れる仕組みを作れます。コントロールするべき消費者との接点は主に3つあります。

①消費者の頭の中をコントロールする
②店頭をコントロールする
③商品の使用体験をコントロールする

1つづつ説明していきます。

①消費者の頭の中をコントロールする
皆さんは「吉野屋」と聞いてどんなイメージを持ちますか??

「オレンジ色の看板、牛丼屋さん、はやい・うまい・やすい、、、」思い浮かんだ物があなたの頭の中の吉野家のイメージです。

この消費者の頭の中にあるブランドに対するイメージのことを「ブランド・エクイティ」といいます。そしてブランド・エクイティを築くための一連の活動を「ブランディング」といいます。

「マーケティングの仕事」=「自社ブランドを売れるようにすること」=「消費者の頭の中をコントロールすること」=「ブランド・エクイティを築くこと」=「ブランディング」なのです。

吉野家のように消費者の頭の中にすぐ想起されるブランド・エクイティを築けているのは、とても強いブランドの場合です。

②店頭をコントロールする                       
皆様にもこのような経験はないでしょうか?
「自分が欲しいと思った商品を買おうと店頭に足を運んだけれど、店頭で別のブランドが安く山積みにされていて、思わずその商品を買ってしまった。」

つまり、消費者の頭の中に十分な認知と有利なブランドエクイティーを築けていたとしても、その商品が必ずしも購入に結びつかない場合があります。

これが店頭を制さなければいけない理由なのです。店頭では競合のブランドの熾烈な棚争いが繰り広げられているのです!

店頭を制する3つのポイントがあります。

配荷率:店頭で自社ブランドが扱われている割合
山積:棚の外で商品を目立たせるプロモーション
価格:中長期的にブランドを発展させるための価格設定  

特にこの中で1番重要なが価格設定です。
「え!!安ければイイじゃん??」と思う方もいるかと思います。

確かに安ければたくさん売れます。が!その反面大きな問題も生じてしまいます。

まず、自社ブランドが安っぽいブランドという認知をされてしまいます。皆さんも安すぎるとなんだか不安になったり購買意欲も下がってしまいますよね?あの現象が起きてしまうのです。

そして、競合ブランドが現れた時に、もっと値引きしないと売れなくなってしまうのです。もっと値引きをすれば自ずと企業の売り上げも落ちることになります。安ければいいという問題ではないのです。

③商品の使用体験をコントロールする
消費者の頭の中を制し、店頭も制することができれば売れる確率は拡大に上がります。

しかしこのままでは売れる仕組みが作れたとはとても言い難いです。マーケティングは中長期の成功が大事で商品の使用体験をコントロールできなければ成功角度は低いのです。

消費者の初回購入をトライアルといい、2回目以降の購入をリピートと言います。リピートする確率をリピート率といいリピート率を上げることが中長期の成功の鍵になってきます。このリピート率に最も大きな影響を与えるのが商品の使用体験なのです。

ではマーケターはなにをすればいいのか?
商品やサービスの研究開発に対して、消費者が喜ぶ物を予めちゃんと作ること。

つまり消費者視点で優れた商品やサービスをちゃんと作らせることがマーケターの宿命なのです。消費者を大きく落胆させる商品ならばブランド価値を毀損するので世に出さない方がマシです。


USJを劇的に変えたたった1つの考え方

著者の森岡さんがUSJを変えたのはたった1つ。
それは、、、

「消費者視点の会社に変わっただけ。」

この変化がV字回復の最大の原動力だったのです!!!

消費者視点とは消費者の方を向いて消費者のために働くこと。会社側のどんな事情もどんな善意も消費者価値に繋がらないのであれば一切意味がない。そういった腹を括った意思決定できる会社が消費者視点の会社


この考え方によってUSJのターゲットが変わりました。従来のUSJのコンセプトが「映画ファンだけのテーマパーク」だったので、客層の幅が狭く、集客難に陥っていました。

そこからUSJのブランドを「映画の専門店」から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へ脱皮させることでアニメやゲームなどの多くのジャンルのブランドを投入しました。

そうすることでターゲット層の幅を広げ、より多くの人から愛されるテーマパークへと進化したのです。

最近だとスーパー・ニンテンドー・ワールドのようなマリオシリーズを始めとする任天堂の作品を題材としたエリアが開設されたのもこのコンセプトのおかげです。ジョーズは知らなくてもスーパーマリオを知らない人は少ないのではないでしょうか。


戦略的思考能力

この章では実際に仕事の成功確率を遥かにあげる考え方についてお伝えしていきたいと思います。

マーケターになるための最も大切なスキルは「戦略的思考能力」と著者は語っています。この戦略的思考能力はマーケターだけでなくを身につけることで仕事の効率が遥かに上がる考え方なのです!!戦略的思考能力を身につけることのメリットは2つあります。

➀仕事の成果が抜群に上がる
➁説得力が激増する

戦略性を身につけることで今まで無駄に過ごしていた時間が無くなり、大事なことに集中的に時間を使えるようになります。その結果成果を加速させます。

また上司や同僚に対して戦略的に話すことで「なるほど!」という納得感を持たせて話をすることができ、あなたのやりたいことができる可能性がグンっと上がるのです。

それでは戦略とは一体なんのことなのでしょうか?

戦略とは目的を達成するための資源を配分する「選択」のこと

つまり目的(達成したいこと)に対して、資源(カネ、ヒト、モノ、情報、時間、知的財産)を何に集中的に配分するのかを選択することです。

この考え方こそが戦略的思考能力の核となる「選択と集中」という考え方です。選択と集中の考え方がどれくらい大事なのかを図を用いながら説明します。

100人の軍隊と80人の軍隊が戦ったとしたらあなたはどちらが勝つと思いますか??一見100人の軍隊が圧倒的に有利だと思いますが実際はそうとも限らないのです。 

上記のように100人の軍隊が20人ずつ5つに割って攻めて来たとします。80人の部隊も同じく5つに割って戦ったら結果は一目瞭然で「5対0」となり、100人の軍隊が一方的に勝つことになります。

しかし資源を選択と集中することで下記の画像のように、「2対3」で80人の軍隊が100人の軍隊に勝利を収めることができてしまうのです!数的有利は必ずしも勝利を保証するものではないのです!!

つまり、限られた経営資源で勝てるラインに届くよう集中させることが大事なのです。

やることを選ぶということは、同時にやらないことを選ぶということ。これが戦略の核となる「選択と集中」という考え方なのです。

戦略的思考とは目的を達成するために資源を配分する選択のことと前述しました。ここでもう1つ考えなければいけないことがあります。それは「戦術」です。

戦術とは戦略を実行するための具体的なプランのこと

戦略的思考とは必ず「目的➡︎戦略➡︎戦術」と下方展開していきます。目的と戦略は消費者からは実際に見えにくく、消費者が目にするもののほとんどが戦術です。

戦術が弱いとどれほど良い戦略でも実現せずに終わってしまうのです。
では具体的に目的と戦略と戦術の違いを例文を出してお伝えします。

「よし頑張って痩せよう(A)! 自分は運動する時間がなかなか取れないから、食事制限でカロリーをコントロール(B)しよう。毎晩の夕食を全て野菜ジュースに変えるぞ(C)

上記の例文だと目的がA、戦略がB、戦術がCになります。文脈の中で最上位概念が「目的」になっていて、目的に直結しているのが「戦略」。その戦略をより具体的に実行する施策が「戦術」となります。重要なことは「目的➡︎戦略➡︎戦術」の順番で考えることです。

マーケティングでは戦略的思考が下記のように当てはまります。

目標:OBJECTIVE
戦略:WHAT(何を売るのか)
戦術:HOW(どうやって売るのか?)

それでは戦略と戦術はどちらが大切なのでしょうか?結論から言うと戦略の方が戦術より圧倒的に大事です。

例えば僕が大阪のUSJから千葉にあるディズニーランドへ行くとします。

戦略が良ければ千葉のディズニーランドへと正しい方向へ進みます。戦術もよければ飛行機(早く行ける)、新幹線(便利で快適)で、目的である千葉のディズニーランドへ到着というミッションは達成できます。

しかし、戦略が悪いとどうなるでしょう。
千葉のディズニーランドではなく、香港のディスニーランドへと真逆の方向へ進んでしまうことになります。

そして最悪なのが、戦略が悪く戦術が強いときです。この場合、真逆の香港のディズニーランドに向かって飛行機で飛んで行ってしまうことになります。気がついたときには目的から猛烈に離れてしまい、リカバリーが難しくなってしまいます。

企業にとって「どう戦うか(戦術)」の前に「どこで戦うか(戦略)」を正しく見定めることが何よりも重要なのです。「戦略が強いと正しい方向へ進み、戦術が強いと遠くまで飛べる」ということなのです。


戦略を考える上でのフレームワークがあります。

Selective(選択):やることやらないことを明確に区別できているか
Sufficient(十分):経営資源がその戦局での勝利に十分であるか
Sustainable(継続):短期的ではなく中長期で継続できるか
Synchronized(整合性):自社の特徴(強み/弱み)を有利に活用できているか

上記の4Sを満たしていると良い戦略と言えます。そして、4Sを満たしてかつ相手と自分の特徴の差を利用している戦略こそが美しい戦略なのです。

マーケティングフレームワーク

最後にマーケティングの課題に取り組むにあたっての、基本となる考え方の型についてお伝えしたいと思います。

マーケティングフレームワークでは「目的(OBJECTIVE)➡︎目標(WHO)➡︎戦略(WHAT)➡︎戦術(HOW)」と、目的に近いところから順番に考えて決めます。

が!目的から考える前にもう一つ考えなければいけないことがあります。それが戦況分析です。

戦況分析とは自社が戦う市場構造を理解し、見方につけるためにする分析のことです。戦況分析を怠ると確実に失敗します。失敗を避けるための具体的な分析の仕方が「5C分析」です。

         5C分析

①Comany(自社の経営資源、強み・弱みの理解)
②Consumer(消費者の理解)
③Customer(流通など中間顧客の理解)
④Competitor(競合他社の理解)
⑤Community(ビジネスを取り巻く地域社会の理解)



自社を取り巻く戦況分析を進めながら、最初にするべき仕事は目的の設定です。適切な目的には3つの要素があります。

①実現可能性(高すぎず低すぎない目的)
②シンプルさ(誰もがわかりやすい目的)
③魅力的(周りが共感してくれる目的)


目的を明確にしたら次は、目的を満たすターゲット(目標)として誰(WHO)を狙うのかを決めます。その前に一旦米国のコメディアンの名言を紹介します。

「私は成功のカギというものはわからないが、失敗のカギは知っている。それは全ての人を喜ばせようとすることだ。」

これこそがWHOの真髄です。限られたリソースを消費者全体に投下すれば、一人当たりのリソースは薄くなってしまいます。一人当たりのリソースを十分にするようにターゲットを選ぶ必要があるのです。

ターゲットには2種類あります。

①戦略ターゲット
ブランドがマーケティング予算を必ず投下する最も大きなくくりのこと
②コアターゲット
戦略ターゲットの中で、更にマーケティング予算を集中投資するターゲット消費者のくくりのこと。


戦略ターゲットの外にいる消費者は完全に捨てることを意味し、戦略ターゲットの中のコアターゲットは最も手厚くマーケティング予算を使用する消費者グループとなります。

コアターゲットの見つけ方の6つの切り口はこちらです。

①ペネトレーション
自ブランドの浸透率を伸ばすために必要な未開拓の消費者グループ

②ロイヤルティ
既存顧客で年間の自ブランドの消費量が多いグループ

③コンサンプション
既存顧客で1回あたりの消費量が多いグループ

④システム
既存顧客で使用商品の種類を増やせる可能性のあるグループ

⑤パーチェス・サイクル
既存顧客で購入頻度を上げれそうなグループ

⑥ブランド・スイッチ
競合ブランド使用者で自社ブランドに変更の可能性が高いグループ


これらのコアターゲットが明確に定まったら、コアターゲットの消費者インサイトを見つける必要があります。

消費者インサイトとは「消費者の隠された真実」のことですインサイトを衝かれることで消費者は自社ブランドのベネフィット(商品便益)を大幅に理解し、欲しくなったりするのです

インサイトには2種類あります。

①マインド・オープニング・インサイト
消費者の認識を大きく変えるインサイトのこと

例を挙げましょう。P&Gの洗濯用洗剤「アリエール」の話です。「除菌ができるアリエール」という新バージョンを発売したのですが、さっぱり売れませんでした。

何故なら消費者が衣服に菌がいるという認識がなかったので除菌するメリットを感じませんでした。

そこで、P&Gのマーケターはマインド・オープニング・インサイトを見つけて衝いてきました。「部屋干しの衣類からニオイがするのは衣服にたくさん菌がついているから」というインサイトです。

このインサイトによって消費者は「あ!ニオイがするのは服に菌がついているからなのか!」という除菌のメリットを一発で感じ、除菌ができるアリエールは一気にシェアを伸ばしました。


②ハート・オープニング・インサイト
消費者の感情を大きく動かすインサイトのこと

例を挙げましょう。2010年のUSJのクリスマスイベントの話です。当時は「昼はこんなに楽しめて、夜にはこんなことも楽しめます。」というありがちなCMでした。

そこから親の切ない深層心理をえぐるハート・オープニング・インサイトを衝いたのです。綺麗な言葉で表現すると「子供と本気で楽しめるクリスマスはあと何回もない。」というメッセージのCMです。

もっとわかりやすく表現すると「あなたのあどけない可愛い娘は、すぐに大きくなって、親とクリスマスなんて一緒に過ごしたがらなくなりますよ。」という親心のインサイトを衝いたのです。

これにより親は「今年のクリスマスは貴重な一回なんだ!」と認識します。それによりクリスマスシーズンの集客効果は前年に対して倍増したそうです。


ターゲット(WHO)が決まったらブランドを購入する根源的な理由であるWHAT(何を売るか)を選択します

「人々は4分の1インチのドリルを欲しいのではない。人々が欲しいのは4分の1インチの穴である。」

消費者が欲しいのは、ドリルという工具ではなくドリルを使って得られる「穴」なのです!この「穴」こそが消費者が感じる根源的な価値のことです。このことをベネフィットと言います。


じゃあこのベネフィットをどう届けるか。それがHOW(どうやって売るのか)です。

一般的にHOWを整理した「マーケティング・ミックス」を理解していきましょう。

Product(製品)
Price(価格)
Place(流通)
Promotion(プロモーション)

深く理解した消費者の視点からHOWを判断してくことが大事です。

最後に

マーケティングとは売れる仕組みを作りその根源的な考え方に戦略思考があると前述してきました。戦略思考こそが、仕事の成功確率を遥かにあげる考え方です!

また、マーケティングフレームワークに関しても製品やサービスに限らず「自分」という商品をどの市場(領域)で戦い、世の中で活躍し続けられるかを考える際にも使える考え方です。

今回の記事を読んでいただいた皆様には是非参考にしていただき成功確率を上げていければと思います。

最後までご拝読ありがとうございました。
また次回もよろしくお願いいたします!!

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