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泣いた分だけ湯船にお湯を溜めてみる

私ったら随分泣き虫になってしまったらしい。

仕事で失敗したら、
去った友達を思い出しては、
昔買っていた犬を思い出しては、
寂しくなっては…
泣いている毎日。

今日ももれなく帰り道は泣いていた。

「こういう時もある。」
さすがにこんな日々が続くと、そう思えるようになってくる。
涙が出てしまって、またマイナス思考の無限ループになってしまっている時って「どうにもならない!」ってこともちゃんとわかっている。
だからこそできる限り自分に優しくしようと努めてみるのだ。


いつまでもうずくまっていても仕方ない。
泣いていること自体は良いデトックスだと思うし、こういう時だってある。
でも、明日も仕事なのだから…とにかくシャワー浴びなきゃ。

そう思って、私は立ち上がりバスルームに向かった。
ふと母親の言葉を思い出した。

こういう時はちゃんとお風呂はいって、早く寝なさい。

お風呂…
一人暮らしをしていると、湯船を全くもって使わない。
なんだか今日はとても泣きたい気分みたいだし…
「自分に贅沢してみちゃおっかな!」
そんな気持ちで私は湯船にお湯を溜めてみることにした。

久しぶりのお風呂に入りながら、ひたすらぼーっとした。
何か考えているようで何も考えない時間…気持ちよかった。
私は、さっきまで何をそんなに泣いていたのかわからなくなっていた。
「そういえばアイディアが湧いてくる場所もお風呂が多かったなあ」
「大好きな映画の主人公も落ち込んだ時はお風呂に入っていたなあ」
とか思いながら、私は長風呂した。


湯船は使わなければ、ただの無駄なスペースっぽい。
だけど一度お湯を入れてみると、
"自分だけの居場所"っぽいものが出来上がることに気づいた。
すっぽり入る、自分だけの温かいスペース。

そういえば、部屋を決める時に不動産屋さんが、

あまり使わなくても、浴槽は自分の身体が入るものにした方が良いよ

とアドバイスしてくれたことを思い出した。
こういう時のためなんだな。

さっきはたくさん目から水を流していたみたいだけど、
今たくさんの温かい水に浸かっている自分…。

今度から泣いた分だけ湯船にお湯を溜めてみようかな

そう思った。
お風呂に入ったからといって、泣いていた原因となることの根本的な解決になるわけではない。だけど、一瞬でも気持ちが晴れたのだ。
どんなに辛くても、泣きたくても、
気持ちよく寝て、素敵な朝を迎えれば気分が晴れる時だってある。
そのために私は今度からお風呂に入ろうと決心した。

今度は近くの銭湯に行ってみようかな。
行ける範囲で1人で温泉に行ってみるのもありだな。

湯船にお湯を溜めてみたら、ワクワクすることが増えていた。



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