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選ばれざる者の退屈と不満我にあり。Dilettante。オノマトペ大臣と共に「KѦИՏ…

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選ばれざる者の退屈と不満我にあり。Dilettante。オノマトペ大臣と共に「KѦИՏΔᎥ ʃØʗΛʟ関西ソーカル」主宰。寺山修司(職業としての)

最近の記事

注文の多いサウナ

上方落語台本大賞&池田社会人落語コンテスト落選作 甲「いや〜楽しかったなあ」 乙「今日もいい汗かきましたね」 甲「そや、最後にもうサウナにいってもう一汗かかへんか?」 乙「いいですね!僕最近サウナにハマってるんですよ」 甲「お〜最近なんやら若いこの間でもサウナが流行ってるってようきくもんな。なんやサウナーとかいうて」 乙「そうなんですよ。そういえば、この近くに僕の行きつけのサウナがあるんです。もしよかったら行きませんか?」 甲「おお、そうなんか!じゃあいこうやないか」 ー

    • 花はグレートマザーなのか?〜「おおかみこどもの雨と雪」評

      「おおかみこどもの雨と雪」は2012年似公開された細田守監督による劇場版長編映画第2作。そして現在において細田守の最高傑作である。 細田守作品というのは、公開されるやいなや賛否が分かれる事が多い。その一因として、氏の作品における「一面性」がある。彼のアニメーションにおいて影がなくフラットに描かれる登場人物のように、作品に登場する人物や場所には、予め「意味」と「価値」が前提としてあり、まるでそれ以外の価値観を認めないかのようにある意味押し付けがましく感じてしまうことも多い。例

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      • シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖読解:「福音書」としてのエヴァンゲリオン

        序「シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖」を初日に観てきました。作品の細かい感想は後ほどに書くとして、観ながら思ったのは、エヴァンゲリオンとは、文字通り「福音Evangelium」についての話だったということでした。今回、「福音」という部分に着目することで、エヴァンゲリオンを観てきた皆さんの思考の一助となれば、まあ当時雨後の筍のように出た「謎本・考察本」の類だと思って読んでいただきたい。 福音書とは~旧劇場版から福音書とは「新約聖書」のなかに描かれた、イエス・キリストの言行を記

        • プロデューサーはピラミッドを建てたい〜第一回:世阿弥のサスティナブル戦略

          現在も残っている偉大な芸術家、また現在活躍しているアーティストたちから、そのプロデュース術を分析する連載。第一回は、今また注目されている能の大成者、世阿弥について。 僕は大学入学から足掛け10年以上を京都で過ごした。京都に暮らしたことで様々な経験は深夜12時を過ぎてから友達を呼び出して自転車でラーメンを食べに行くといった些細なことまで今の自分を形作っている自覚があるが、特に大事であったのは場所それぞれに歴史が残っており、その記憶がまた街を形作っているという感覚は、山を削って

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          「花束みたいな恋をした」に仕掛けられた坂元裕二の「罠」について

          ※本作は作品およびある作品の決定的なネタバレを含みます 「最高の離婚」「カルテット」などの近作のドラマ脚本によってほとんど神格化に近い評価を得ている坂元裕二脚本による映画である本作。 簡単にあらすじを説明しておこう。東京の大学に通っている麦は、あまりキャンパスの中では存在感がないがイラストレーターの夢をぼんやりと持ちながら自分の趣味の世界に浸って生活していた。一方絹も、ラーメンブログをやりつつ大学生活を過ごしているとき、二人は出会う。ファミレスで趣味を語り合いお互いをわかり

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          少し暇そうにしてるキャラを連れ出したい〜ハルヒ・あまちゃん・まどかマギカ

          (本作は2016年に「invert. vol.2」のために寄稿した文章の再掲です) えっと、神野龍一です。以前twitterで「キャラの事を語りたい!」とつぶやいていたらinvertに寄稿させていただくことになりました。よろしくです。ちなみに、これは相手にファミレスで語りかけているような文体を用いて書いていくので、こういう語り方になっています。 ということで僕はキャラについて語ります。今、例えばイオンモールの中に入っているヴィレバンなんかに行くと、「ジバニャン」のぬいぐるみ

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          平成ケータイ三国志

          時は平成の世。世紀をまたいだこの時代は、電話という通信手段が地面から解き放たれ、国営企業であった電電公社が解体した乱世。我こそが天下を獲らんとする猛者が跋扈する時代でありました。そして世はドコモ、AU、softbankの三国に別れ、互いにしのぎを削り合う、三国時代に突入したします。これこそ世に云う、「平成ケータイ三国時代」と申します。 血で血を洗う戦国時代の動乱の中、最初に天下に名乗りをあげたのがドコモでございます 治世の能臣乱世の奸雄と呼ばれたこの者は、国の機関であった

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          新作落語「歩め、金メダルの道」(2018年落選作)

          歩「コーチ、僕は宣言します!僕は、必ず、2020年東京オリンピックで金メダルを獲ります!コーチ、そのために、ぜひ、厳しい指導を是非、お願いします!」 コーチ「いや、君…その熱意はええんやけど…君、わかってるか?2020年にやるんは、夏のオリンピックやで。俺が教えてる競技、フィギュアスケートやで?」 歩「はい、わかってます」 コーチ「いや、確かに、スノーボードの平野選手とかは、スケボーでもオリンピックに出場したいっていうてるけども、それはスノボーとスケボーが似てるからできるもん

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          新作落語「時をかける少年」(2017年落選)

          大掃除ということで、落ちた落語台本を公開します 第一回上方落語新作台本大賞落選 目覚まし時計の音「ピ、ピピ、ピピピ」 達也、目覚ましを止めて大きく伸びをする 達也「ふあ〜あ。ようねた。」 母「たっちゃん、はよご飯食べて学校いきや。もう友達のよっちゃん一緒に学校行こうて玄関まで来てるで」 達也「あ、ほんまや、お〜いよっちゃんずいぶん早いなあ」 洋二「たっちゃんおはよう。たっちゃんが遅いんやって。林先生が今日朝にテストあるからはやく学校に来いっていってたやん。国語と数学やで、

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          ポストモダン焼きとしてのそば飯〜鉄板の上の哲学史

          *この原稿は2014年に発刊された「関西ソーカル vol,2」<http://onomatopedaijin.com/socal/vol2/>に掲載されたものをそのまま掲載しています。また、原本にあった注などを削除しているため、ぜひお読みになりたい方はご注文ください この論文では神戸のソウルフードである「そば飯」をポストモダン焼きとして提示することで、プレモダン焼きからモダン焼き、そしてポストモダン焼きへと至る道筋を辿る。なお、ここでは思想史的な厳密性を追うことはせず、

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          「持参金」の資本論

          労働価値説 マルクス いっぱいのお運びでありがとうございます。相変わらず古いおしゃべりでございますが、だいたい、昔っから人はお金の話がすきですな。せやから今日は「持参金」っちゅう話を元にしながら、当時のお金の話の話なんかを交えてね。そもそもお金っちゅうもんがどういう物かっちゅうのを、話せたらいいなと思てます。 甲「おう、感心に起きてたなぁ、お前のこっちゃ、まだ寝てるやろうと思て案じながら来たんやが」 この話、最初は長屋暮らしの貧乏な若者、それと親の代からのなじみの奴さん

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