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読了『クジラは潮を吹いていた。』

デザインのお仕事をしてると、「好きなデザイナーは?」とか「誰に影響を受けた?」なんて話がちょいちょい出てきます。

私、この話が出ると毎回答えに困ってまして。
「この人!」ってのが居ないんですよね。

いや、居なかったんですよ。
佐藤卓さんを知るまでは。

もちろん、佐藤卓さんのお名前や○○のデザインをされた人〜…というのは知っていたのですが、ちゃんと知ろうとしてこなかったなと。

そんな時に読んだのが、この本です。

どんな本?

佐藤卓さんが、2004年ギンザ・グラフィック・ギャラリーの展示会のために書いた文章を元に作られた本です。ご自身が携わった仕事を初めて文章化したとの事。

これ、内容が本当にすごいんですよ。
誰もが知ってる73個ものプロダクトについて、写真と丁寧な説明(結論に至るまでの過程とか)が書いてありまして。

「なぜ、こういうデザインにしたのか」
「なぜ、こんな発想に至ったのか」
「なぜ、この解決策を選んだのか」
…などなど

300ページ以上ある本なのですが、楽しくてあっという間に読み終わりました。


サエキの感想

普通、我々はアウトプット(完成品)しか見れないわけですが、
そこに至るまでの過程が事細かく書いてあるというのは貴重だなと。

全ページ「なるほどなるほど…」と読んでいたのですが、特に響いたのが…

風土をデザインする(P184
お土産物のデザインは難しい。その地域の「らしさ」が出てないとお土産にならないからだ。

自分がデザインするとしたら、どんなプロダクトでも伝えたい事をどうレイアウトするか…から考えてしまっていたなと。。視野が狭かった事を痛感しました…

環境を理解し、共有を発見すること(P196)
特にマスプロダクトのデザインは、デザイナーの身勝手な造形をそこに施すことは間違いで、多くの人が共有できるものを発見することが重要なのである。

製品を作ってるブランドイメージやターゲットとなるユーザーをとことん考え、イメージしてデザインを作っていく過程がシビレました。ここまで考えるのかと。すごいな…

使いやすいステージ(P208)
英語のNIKKEI DESIGNというロゴタイプに変更。それによりロゴがより記号化されビジュアルの方に意識が向く。
日本人にとって日本語は瞬時に理解できる分、まず目に飛び込む要素になる。

普段、デザインする時にフォントの大きさや太さ・デザインなどでしか考えてなかったな…と。読み手がどういった属性かを考えて文字を選択するところが勉強になりました。

間の形(P252)
安全は環境と人の間にあり、人と人の間にあり、企業と人の間に目に見えないものとして存在している。

見えないところまで考えて、それをロゴで表現しちゃうのか…
もう何も言えないっす…さすがっす…という気持ちに。

まだまだ沢山あるのですが、書ききれないw
しかも、すべて美談として書かれてるわけではなくて、ちゃんと失敗したことも書いてくれてるんですよね。


常に使う人の事を考え、どうしたら最適な方法で表現できるかを教えてくれる教科書でした。

デザイン、頑張ろう。

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