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フリードリヒ・フーケ、アーサー・ラッカム『ウンディーネ』1909年初版

フリードリヒ・フーケ『ウンディーネ』アーサー・ラッカム版1909年初版の全15枚の挿絵を撮影したので公開していく。その他、モノクロイラスト一部掲載した。

本作は1811年にフリードリヒ・フーケが出版した小説。水の精霊ウンディーネと騎士フルトブラントの恋、そして、その悲劇的な恋の結末を描いたファンタジーである。

旅の途中、騎士フルトブラントは老父と出会い、彼に一晩泊めて欲しいと願い出る。フルトブラントは、老夫婦の家にいた養子の少女ウンディーネに魅せられる。翌日、洪水でフルトブラントは老夫婦の家を出られなくなる。洪水でしばらくの間足止めを食らう中、フルトブラントはウンディーネとの仲を深め、結婚を決心する。

結婚の翌日、ウンディーネは自身の正体が水の精霊であることを告げ、洪水も自分の仕業だったと打ち明ける。それでもフルトブラントは愛に変わりないことを伝え、ウンディーネを妻として自身の故郷へ連れて帰った。故郷ではフルトブラントにかつてから想い寄せる貴婦人ベルタンダが彼を待っていた。フルトブラントがウンディーネを連れて帰郷したことで、ベルタンダはショックを受ける。だが、ウンディーネとベルタンダは不思議と気が合い、良好な関係を築くこととなる。

その後、3人でウィーン旅行に出掛けた際、ウンディーネの影響で水の精霊からイタズラを受け、フルトブラントは彼女をつい叱ってしまう。妻とした精霊を水上では叱ってはいけないという精霊界の掟を破ることとなった。無念にも、ウンディーネはこの掟に従い、フルトブラントのもとを去ることとなった。

表紙
見返し
見返し
見返し
見返し

後発の版では彼のこうした小挿絵や文字組み、レイアウトのこだわりがカットされ、物語と主要な挿絵を伝える形になっている。カラー挿絵のみならず、こうした部分にも彼の繊細な仕事が感じられる。

アッパークラス及びアッパーミドルと呼ばれる英国の上流階級向けプレゼントブックのため、より広く一般に普及させるにはコスト面から質を落とすのは致し方なく、そこには出版側の苦悩やできる限りの工夫もあったことだろう。

以下、全15枚のカラーイラストを掲載していく。


以下、モノクロイラスト一部を掲載していく。

序文
物語冒頭
背表紙



ウンディーネが去った後、フルトブラントの気持ちはベルタルダへと次第に傾いていく。そしてある日、彼女との結婚を決意する。ウンディーネはフルトブラントの夢に現れて結婚を阻止しようと試みるが、婚礼の儀は挙げられてしまう。こうして、ウンディーネは精霊界の掟に従い、元夫フルトブラントを自らの手で殺さなければならなくなってしまった。

ベルタルダとの結婚の初夜、フルトブラントが花嫁の寝室に向かうと、彼の前に白装束のウンディーネが現れた。ウンディーネはフルトブラントと涙を流しながら口付けを交わし、涙と口付けの毒でフルトブラントは絶命した。自らの手で葬り去ったフルトブラントの遺骸を腕に抱き、ウンディーネはいつまでも悲嘆に暮れるのだった。

本作はアーサー・ラッカムが挿絵を手掛けた作品の中で、筆者が最も好きな作品のひとつである。箔押しされた悲しみに暮れるウンディーネの表紙絵から魅せられる。この感動を共有したいと思い、挿絵を撮影し、公開するに至った。


Shelk🦋

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