杉藤 俊雄 は××したい
を加筆修正して1本化しました。
アーカイブと混同して
ややこしいかもしれませんが、ご容赦していただければ幸いです。
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#執筆制限時間10分小説
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_00序章
僕の、最初の記憶は、母の声から始まった。
「俊雄《としお》が男の子に生まれて、本当によかった。本当に……」
実感のこもった母の声は震えていた。赤ん坊の僕の顔をそっと撫でる手は冷たく、頬をなぞる長い指は僕の首あたりを移動し、踊るようになぞっている。
このまま指に力をこめれば、無力な赤ん坊はひとたまりもないだろう。
「…………」
母は青ざめた唇をうごめかせて、鼻をすすった。
憂いを帯
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_幼少期_2
その頃の僕は大人の評価が中心だった。だから、同年代の子供たちが、僕をどう見ているのか考えていなかった。
幼稚園では、絵を描いている子の席にそっと机を寄せて、極力顔を見せないように一緒にお絵描きをして、おもちゃを振り回して泣き喚く、感情の制御が利かない子には極力近づかないようにしていた。
子供たちの間では、静かに、息を殺して、自分が空気そのものになろうとしたんだ。
だけど、その態度がい