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2022年4月の記事一覧
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_50_大学生編 04
何度も何度もイヤなことがあったら、頭の中で熊谷を殺してきた。
醜い子供のままの熊谷、なにも変わらない、ずっと変わらない。
『う”え”ん”っん”っん”っ! え”っ! え”っ! え”っ! え”っ!』
遠くから聞こえる耳障りな鳴き声。動物の唸り声に近く、そして虫の鳴き声のように甲高い。そこにたしなめる教師の声と共に、くすくすと小ばかにする子供たちの声が聞こえてくる。
彼女はブスだった。着
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_51_大学生編 05
整形?
つまり、お金で自ぶンの顔をイジったテ、こト?
熊谷の発した言葉の衝撃が、かえって僕の心に平静さを取り戻させた。
涙でかすれた視界でも分かる、熊谷の美しい顔。すっとした鼻筋に、アーモンド形の瞳、卵を逆さにしたような輪郭が、造花のように味気なく感じた。不自然で歪で、人工的で、天然の造形美にかなうはずが……。
「くっ――」
幼い熊谷のブサイクな顔を思い出し、目前の美貌を見比べ
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_52_大学生編 06
握手――というのは、心を通じ合わせる行為だと思っている。
君のことが知りたい、仲良くなりたい、悪意なんてない。そんな数多の意思を一つに集約されたスマートさがある。
「あっ」
熊谷の口から呆気にとられた声が出た。
場がしんと静まり返って、その重たい静寂の中で歪な異音が響き渡る。
パキ、ポキ、ペキ。
か細い小枝を小気味よく折ったら、そんな音が鳴るのだろうか。だが聞いている者は直感的
【加筆・修正ver】杉藤 俊雄 は××したい_53_大学生編 07
イジメ加害者への制裁。彼らが山中崎県外にいた時は、僕が単身で手を下してきた。物取り、過失、無理心中……偽装工作はやればやるごとにうまくなって、リーマンショックによる圧倒的な不景気が僕の味方になった。
物騒な事件が多い――不景気のせいだ。
ブラック企業で働いていたから、寝たばこして家が全焼した――不景気のせいだ。
将来への不安から一家心中があった――不景気のせいだ。
……そんな具合に。