映画、ドラえもん。
生まれてはじめて映画館で観た。
見ようと思って恋人を誘った最初の動機は、ただ「せめて夏休みらしいことがしたいから」にほかならなかったけれど、
一度観ようと決めたら、ものすごくわくわくした。
ドラえもんは今年コミック連載開始50周年らしい。
わたしは、小学生の頃毎週テレビで見ていた。
おばあちゃんの家のリビングで、別室でピアノを教えている母のレッスンが終わるのを、おばあちゃんとドラえもんを観ながら待っていた。
19時始まりだったので、夜ご飯をたべながら、けらけら笑いながら見ていた。
いろんな道具があって、いつもちょっと情けないのび太くんがいて、体型も声も何もかもキュートであったかいドラえもんがいて、
ほっとする時間だった。
…と、そんなことを思い出しながら映画館に行った。
わたしと恋人は26歳とか27歳とかだけれど、周囲は大方こどもとその親御さん。
お話そのものは公開中なので詳細は省くけれど、
冒険を通してのび太がまたひとつ成長した。
年甲斐もなく泣けるシーンもあり、
小さい子よりも大人の方が響くのではと思ったシーンもたくさんある。
苦手なことを周りの人と同じラインまで持ってくことって、その過程で腐らずに繰り返すことって、大変だよね、と思った。
たぶん、制作側が「ここは泣かせるところ!」とこだわったところに対しては大体みんな同じことを思うと思ったので、
映画を見ていて個人的に思ったことを備忘録として書いておきたい。
①キャラクターものの「脚本」の強さ
映画のヒットメーカーといえば川村元気さん。売れる映画はなにかと川村元気さん。
彼が関わっているのなら面白いでしょう、と何となく思ってしまうネームバリュー。
演者ならまだしも、スタッフの名前で惹きつけられる数少ない人だと思う。
そして、映画は信じられないほど多くのスタッフが関わっていると思うので、川村さんが「脚本」としてどの範疇を請け負っていたかわからないけれど、
大人が、「小さい子が初見ですとんと理解できるお話の筋や言葉づかいを書く」というのはものすごい労力がいると思う。
わたしの会社でもこども向けのコンテンツを作っているので、わたしはその書き手になったことはないけれど、苦労は察する。
大人はともすれば難しい単語に頼りがちになるけれど、
こどもやお年寄りが、「内容の理解」に余計なエネルギーを割かずに内容そのものを楽しめるものに仕上げる、というのが、
人気の間口を広げることなのだと教わったことがある。
川村元気さん、そしてプロットやセリフを確定させたスタッフ、すばらしい。
そしてひとつひとつのセリフをそれぞれのキャラクター口調に合わせたスタッフも。
これだけ長年愛され続けるキャラクターには私たちも強固にイメージを持っているから、
「裏切らない」ことが兎にも角にも大切になるんだろうな、と思う。
愛あってこそ。
②お見事なキャラ設定
あらためて、「ドラえもん」のいつメンはお見事だ。
どこか情けなくて、見ているこちらがもどかしくなってしまって、「がんばりなさいよ」と応援してしまうのび太くんの圧倒的主人公感。
(セーラームーンでも月野うさぎちゃんはおっちょこちょいキャラを一手に引き受けているので、やはり「ちょっと危なっかしい」というのは人たらしキャラに不可欠な要素なんでしょう。)
ただ同時に思うのは、優等生タイプの子も、その子なりの悩みや葛藤がないわけじゃないんですよ、と思う。
何でもできる子に親近感は抱きにくいし、
恋愛ものならば確実に主人公のライバルになり視聴者側に応援されない側だったりするけど、彼らも頑張ってるんでしょうよ、と思う。
…話が逸れたけれど、今回の映画には出木杉くんが一瞬も映らなかったのでかわいそうだと思いました。
そして、しずかちゃんのアイドルっぷり、ジャイアンとスネ夫の素直さと子供っぽさにも癒される。
ドラえもんは正直、なぜのび太に愛想を尽かさないのかと思うほど寛大で優しくオトナなのだけれど、
のび太くんにしかない見切り発車な勇敢さや
弱いんだか強いんだか曖昧なところにとっても惹かれているんだろうなと思った。
誰も彼も愛すべきキャラクターだ。
③長年愛されるコンテンツ
を作るにはどうしたらいいんだろうなぁ、とドラえもんを観て考えさせられた。
のび太くんのおうち、いつもの空き地、いつものお部屋、の日常感のなかに
ドラえもんと四次元ポケットの道具というコンセプトの突飛さがあってそのバランスもよくて、
突飛な「道具」もひとつに決めきらないでいろんなバリエーションがあるから物語の展開もしやすくて、
決め打ちの部分と自由度のある部分があるから、これだけ長年続く物語を作ってこられたんだろうなあと勝手に分析。
自分が何かアイデアを出す際も、ぜひぜひ参考にしたい部分。
🌿🌿🌿
コンテンツレビュー、おわり。
おばあちゃんの手術を待っている間、手を動かしておきたくて書きました。
映画とか本とか、レビューや分析をすることってときに無粋だよなぁとか、
そんなこと思ってないでただそのすばらしさを享受してしまうのがシアワセだなぁと思うことも多々あるんだけど。
映像制作という仕事に活かすためにも、ときおり、ときめきコンテンツに対してはレビューします♡
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