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ただ、生き急いでる私には出会うのがはやすぎただけ。

社会人2年目も終わりを迎える頃。私はお世話になった会社を去る決意をした。

理由に会社への不満を並べた。

「お給料が低い」「休みが少ない」「割りに合ってない」

だけど今は声を大にして言いたい。
「本当はそんなことどうでもよかった」

いざ退職届を目の前にすると、どこかもどかしさを感じた。

「なんで辞めるの?」と聞かれるたびに自問自答した。


「私ってなんで辞めるの?」


色々考えてみるけど行き着く最後はいつも同じだった。

「私は自分の夢を叶えたいんだ」


私がさっき並べた不満はウソかと聞かれるとホンモノだ。

だけどそれらがウソに変わったとしても、私は仕事を辞めることを選ぶだろう。

ここから踏み出さない限り私の「たび暮らし」の夢は叶わないからだ。

生き急いでいる私には、出会うのがちょっと早かった。



「私ってなんで辞めるの?」


さっき、もうひとつ行き着くところを見つけた。
ぼんやりしていたけど、きれいに見えるようになったから。

「本当は大好きだったんだ」


いつも帰り道に後輩と愚痴をこぼしていたけど、それは「今日も私たち頑張ったよね」って慰めあいたかっただけなのかもしれない。

会話の終わりはいつもこうだった。

「仕事のやりがいも人間関係にも恵まれた。ただ…」


ただ、生き急いでいる私には出会うのが早すぎたんだ。


同じ場所で平穏な毎日を暮らすには、何の文句もなかったはず。

体調を崩して休んでいた私に「おかえり」と声をかけてくれる温かい人たちと、愛おしくて仕方ない子どもたちの成長を願って働くこと。

まだ飾ることをしらない素直な子どもたちの笑顔や言葉に何度心を救われただろう。


与えたら、それ以上に与えられた。


意味が分からなくて愛おしかった。


いつか思い出せるか分からない思い出になると分かっていても、思い出を作りたかった。


私が2つの人生を同時に進めていくことができたなら、片っぽはこのまま突き進んでみたい。

そう思えるくらい、ここで2年間を過ごしたことは後悔してない。

むしろ手放すのが惜しいと思うからこそ、私は進んでいくしかないと思った。

見えない未来を不安に思って、「後悔しそう」と立ち止まっているままでは、きっと本当に後悔してしまう。

だから、私は夢を叶えるんだ。

「何も捨てることができない人には何も変えることができないだろう」

進撃の巨人のアルミンの言葉が私の背中を押す。



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