馬に噛まれた話

0.あいさつ

皆さんこんにちは。
いきなり質問ですが、皆さんは初詣に行きましたか。
私はおみくじを引こうとしておみくじ箱を振ったところ、おみくじ排出口が下になっていて15本くらいおみくじを地面に散乱させました。
あれは発狂ものだった…!

そんな私が2年ほど前、旅行先の神社で起こした出来事をこれから話そうと思います。


1.神引き

よく晴れた日のこと。私はとある神社にいた。
とても広い神社で、境内にはたくさんの木や生き物がいて、年に一度祭りが開かれるそうだ。
ウサギや馬などがいて、そこはもはや動物園を彷彿とさせていた。

私と姉は「おみくじ」という言葉を見るとついつい引きたくなる人だ。
もちろんその日も迷わずおみくじを引いていた。

このおみくじという運ゲーで勝率2割を誇る私は小吉8連続記録を持っているが、姉は大吉をそこそこ出す。自分の日頃の行いが悪いのだろう。そう思ってくじを引いた。すると、

勝ち馬。

私が引いたくじにはそう書いてあった。
(姉はふつーに大吉だった。羨ましい。)


2.喜劇

勝ち馬。なんじゃそれ。自分は競馬が好きなわけではないぞ、と思った。

そんなこんなで姉と「勝ち馬って何」という話をしているうちに、地元感あふれるオーラをまとったおばちゃんがにじり寄ってきた。

おばちゃんは「勝ち馬」と書かれたくじを見るなり「ヴぇ!」といった奇声を発し、わたしの肩をポン、と叩いた。(地味に痛かった。)
勝ち馬というのは、どうやらここのおみくじを何十回も引いた彼女も見たことがないという大当たりらしい。おみくじにおいて最弱だった私の大勝利である。嬉しかった。

それだけでこの神社に来てよかったと思えた。


3.悲劇

私はそのあと、せっかく来たからと神社の境内を見て回った。風情ある境内は、先ほどのおみくじも相まって輝いて見えた。

涼しい風が吹いていた。

私は馬がいる小屋へ入っていった。

小屋には餌をあげているおじさんと、さきほどのおばちゃん、二匹の馬がいた。1匹は茶色い馬。目がかわいい馬だった。そしてもう一匹は白馬。毛並みが美しく、特別感あふれる雰囲気が漂っていた。

私が小屋に入るなりおじさんが言った。
「かわいい馬だろ。そうだ、馬にニンジンあげてみないか
これが悪魔の言葉とは知らずに、田舎ならではの「神社と住人の距離感」みたいでいいなあ、と私は思った。

私は何も考えずにニンジンをつかみ、馬に差しだそうとしたところ、ニンジンを落としてしまった。私の握力は14である。おじさんは「いいよ、いいよ」といってもう一本私にニンジンをくれた。

気を取り直して私は馬にニンジンを差しだした。

その時だった。
まずニンジンを持っていた親指と人差し指に激痛が走った。
なんだ!?と思った。
そう。馬は私の指ごと喰ったのだ。

この馬はたぶん真実の口を持っていたのだろう。ニンジンを落とした私はこの馬に罪人と判断されたのか。


4.そのあと

おばちゃんは再度「ヴぇ!」と言う奇声を放った。別に伏線回収しなくてもいいのに。おじさんはポカンとしていた。

指を水道で洗い流した私は、「バンソウコウッ、バンソウコォ…!!」と呪文のように唱えながら狂ったように半泣き半笑いで家族とコンビニへ行き、氷と包帯もどき?を購入して患部を冷やした。

幸い、あの馬は私の指を切断するほどは強く噛まなかった。不幸中の幸いである。

勝ち馬… まあ、どちらかといえば馬の勝ちである。

そのあと傷は順調に治り、狂犬病をうつされたりもしなかった。跡は10か月ほど残ったが、今ではすっかり消えている。

後日、友達に無表情で「トラウマだね」と言われた。サイコパスか。
そのギャグの寒さとあの時の氷の冷たさが重なったのか4日後私は風邪をひいた。

そのあともう一度神社に行った時にはおみくじは小吉だった。馬には噛まれず、何となく馬と仲直りしたような気がした。


5. 最後に

皆さんも神社に馬がいて、おみくじで勝ち馬を引き、馬にニンジンをあげることがあったらこの記事を思い出してほしいです。ニンジンをしっかり両手で握って馬にあげてくださいね。


するが

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