医療者向け~MSWとの連携、退院支援の考え方~

MSWに介入依頼したのに、何だかうまく話が進まない…そんな経験はないだろうか。
日常でよくあるやり取りを振り返ってみたいと思う。

「緩和ケア病棟への申し込みをしてほしい」「介護保険の申請を多忙な家族に代わってしてほしい」「ケアマネさんに連絡してほしい」といった依頼をいただくことがある。
このようないわゆる「予約係」「申請代行係」のような役割は、そのまま引き受けるとうまくいかない。
このような依頼の先にある「緩和ケア病棟への入院」や「介護保険の申請」「在宅復帰」というゴールはクライエントを取り巻く環境が置き去りにされていることが多い。



1、多職種・他機関に連絡をするのは何のため?

他職種・他機関に連絡をするのは何のため?
患者さん、ご家族の同意を得ているだろうか?
介入依頼をする前に、その点少し考えるだけで話がスムーズにいくことが多い。
MSWはプライバシーを尊重しながら院内・院外の関係者との共同の中で、患者さんとご家族が安心して療養生活を送れるよう支援している。
文書、口頭、電話、FAX、メール…
情報を提供するときも受け取るときも漏洩、紛失などの危険性を十分に意識し、必要十分で最小限に最も安全な方法を選択して行っている。

2、病気を経験した患者さんにとって退院後の生活は新しい暮らし

病院は治療をするだけの場所ではなく、患者さんが生きることに向かって人生を再構築する場所だと思う。
退院ありきで話をしても患者さんが退院の準備をしようという気持ちにはなれないはず。
退院支援とは退院がゴールではなく、退院することがクライエントにとってどんな意味を持つのか考える必要がある。
だから私たちMSWは患者さんと一緒に、退院することの意味を探しながら福祉の知識や技術を用いて、新しい暮らしの準備をしていくのだと思う。
これらは患者さん・家族さんとの話の中で見えてくることが多い。
また、制度利用は支援の手段であり、目的ではない。

これらが抜け落ちた連携・支援はたいていうまくいかない

MSWは患者さんのその人らしい生活の実現と、その過程の支援を行う。
そのための情報共有・連携ができればと思う。


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