コロナでライブハウスから去った元バンドマンが、即興で〈ロックへの消えない想い〉を曲にしてみた
結論からいうと、NIRVANAに憧れイギー・ポップに転がった10代のころのような、まるではじめてバンドを組んだ時のような暴力的なロックが完成してしまった...! まさかこの歳(33歳)になって初期衝動が取り戻せるとは思ってもいませんでした。ありがとうコロナ・ウィルス。おおいなる皮肉とワクチンと陰謀論を注射器に込めて。
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というわけではじめましての方もおひさしぶりの方もこんにちは。筆者はインバウンドの誘致が上手くいかず人口の流出に歯止めがかからないKOBE、心から愛するこの街KOBEにて、「僕が王様だった頃」というバンドをやっているのですが、いま現在、そちらのバンドはライブ活動を完全に休止しております。
制作活動は地道に続けているのですが、やはり心配されることも多く、「バンドもうやめたんですか?」とよく言われます。バンド=ライブという価値観から見ると、たしかにもう自分はバンドマンとは言えないのかもしれないな。と思い、最近では開き直って〈元〉バンドマンなどとあちらこちらで吹聴しております。
私事ですが、もうすぐ結婚する(ことになっている)筆者は、呪われしバイト生活にもとうとう見切りをつけて、ライブハウスのバーカウンターから通信業界に身を売り、副業としてwebライターをやることでノマドにミニマルにデジタルに糊口をしのいでおります。お仕事ください。
さて、新型コロナウィルスによる3度目の緊急事態宣言が発令されます。
このコロナウィルスというものによって、プロ・アマ問わずミュージシャンの生活は激変しました...なんてことはいまさらわざわざ書くまでもないんですが、やはり曲を聴いてもらう前に、自身の体験に関しては書き記しておく必要があるかな、と思います。
ちなみにあなたが「ああ!? さっさとその曲だけ聴かせろや、オラッ!」と、マスクもせずに口角泡を飛ばすような飛沫感染待ったなしのテディー・ボーイなら、目次の「とんでもない曲ができた(と思う)」から楽曲に飛べるので今すぐどうぞ!
ライブが機能していない
筆者はかれこれ10年以上バンド活動を続けてきた人間なのですが、はじめてライブハウスの出演をキャンセルしたのが去年の3月でした。
「ライブに行きたいが会社から不要不急の外出は止められていて、困っている」とお客さんから連絡をもらって、ああなるほどな、これはもしかすると来てくれる人の人生の責任まで負う必要があるのかもな、と思ったのがきっかけです。
お客さんが自分で選んだんだから、ライブに来てコロナになってもしかたない。というスタンスは、あの時の自分にはどうしてもとれないスタンスで、こうなったらひとまずライブを休もう。とメンバーに提案しました。
メンバーからは賛否両論ありましたが、結局ライブはキャンセル。そのあと、コロナが弱まったかな、と思うタイミングで何度かライブを決行したのですが、ただでさえこっちはお客さんの数が少ない零細バンド(観に来てくれる、応援してくれる人たちいつもありがとうございます!)、お客さんの数はさらに減り、もはやライブをやる意味というものをどこにも見出せなくなってしまい、バンドはしばらく中期〜後期のビートルズさながら、スタジオワークとレコーディング中心にして運営していく、とメンバーに伝えました。
メンバーが抜けた
で、どうせならライブのことを考えないような、つまり生演奏という制約から解き放たれた楽曲を作ろう! ということで、打ち込みで曲を作って、いろんな音やらなんやら重ね倒してレコーディングを進めていたんですが、その最中にメンバーが2人抜けました。もちろん原因はいろいろあるんでしょうが、もしもコロナがなければ、あるいはライブを続けるという選択をすればこうはなっていなかったかもな、と思うと、内心、非常に落ち込みました。
個人的にライブハウスには悲喜交々、いいところも悪いところもあって、一度離れてみることも必要だと感じていました。それで実際、ライブをしなくてもそれほど苦ではない自分を発見したのですが、きっとライブをやっている時にしか感じられない空気の振動、たとえばそういうものをメンバーと共有することによる魔法っていうのはやっぱりあったんだなあ、と思っています。
で、少しまいってしまって、ライブハウスどころか、スタジオからも足が遠のき、メンバーともあまり連絡をとらないようになりました。
で、スタジオに入った
そんな感じで、はーこれからどうすっべ。まあロックちゅーもんもそろそろ潮時かもしらんなあ。と、毎日酒を飲んでくさくさしておったのですが、ある日酔っ払った後輩の友人から「スタジオ一緒に入りましょや! もっぺんロックやりましょや!」というこってこての煮詰まったホルモン鍋みたいなお誘いを受けまして。入るか、と。スタジオ、ひさしぶりに入るか、と。
で、どうせ入るなら、はじめてスタジオに入ったあのころのドキドキ感を味わいたい! ということで、後輩の友人の他にメンバーでもない友人を無理やり2人呼び、それからどうせならホンマにはじめてスタジオに入ったときの気持ちを追求しようぜ、ってことでドラムをはじめて2ヶ月目というド素人のおっさん(38歳)を召喚して即席バンドを結成。
さっそくドラムのおっさん(ルフィかお前は)が店長をやっている西宮は甲東園のスタジオ「バードランド」に集まって、はじめましてのみんなで音を鳴らすことに決めました。ひとまずビールをしこたま飲んでテンションをぶち上げると、筆者はこの3つのルールに従ってまず1曲、即興で演奏しよう、と提案しました。
①コードはEmとDの2つを繰り返すだけ
②体力、気力が続く限り演奏する
③誰かがミスっても演奏をやめない
バンドというよりむしろスポーツですが、アイフォンのボイスメモをオンにすると、筆者はギターリフを鳴らし始めました。
そして、音楽が世界に生まれました。
とんでもない曲ができた(と思う)
録り終えたスッカスカのボイスメモを聴いて思いました。
いくらなんでもむちゃくちゃすぎる。
でも、、、むちゃくちゃかっこいい!!!
この曲を練習して、分かりやすくちゃんと編集して、レコーディングして配信して聴いてもらおうよ、という話を興奮しながらみんなにしました。
が。ちょっと待てよ、と。
これ。
ちゃんとする必要ってあるんか?
それってホンマにロックなんか?
だから、こうすることにしました。
まずはこのボイスメモをそのまま聴いてもらおう!
なにひとつ取り繕っていない、編集されていない、展開さえ決まってない、商品として市場に流通する前のロックの原酒。むきだしの、ぎざぎざの、よれよれの、今にもすりきれて破裂してしまいそうな気持ちのかたまり。そいつをまず聴いてもらうことこそが、なによりもリアルなんじゃないのか? そう思ったのです。
そして、このボイスメモを元にデモを仕上げていき、レコーディングをする。もちろんMVも作る。
その過程をnoteの記事にして誰かに知ってもらうことで、楽曲の生誕から成長、完成までを一緒に見守ってもらえたら、こんなに楽しいことはないんじゃないでしょうか?
はたしてここにある殺気は消えてしまうのか? ドラムはどこまで上達するのか? 笑
そんなすべてを、記録として残そうじゃないか!
と筆者は考えたわけです。
...前置きが長くなりました。
コロナでライブハウスから去った元バンドマンが、即興で〈ロックへの消えない想い〉を曲にしてみました。聴いてください。
長すぎるって
いやいや10分て! 長すぎてよう聴かんわ! という時間のない現代人のために聴きどころを書き出しておきます。
3:32 あまりにもひさしぶりに鳴らす爆音のロックが気持ち良すぎてこらえきれず筆者が狂った獣のような叫び声を漏らしてしまう
3:57 突然生まれたメロディー、歌のはじまり
7:05 don't stopと歌った結果マジで演奏がdon't stopになってしまいもう一度ロックが息を吹き返す
9:00 ベースを弾いていた後輩の友人が勝手に歌い出す
こんなところかな。Youtubeの説明欄にも書いてます。
でも、もしお時間あるならば、やっぱり頭から最後まで聴いてもらって、バンドと同じ時間を、そこで起こったうねりを、反復と変化を体感してほしいです!
基本的にボイスメモなんてメンバー以外には聴かせないので、ある意味では聴いてくれた人みんなはもうメンバーです。この即興演奏が今後どう進化していくのか。ご期待ください!
...それにしてもI wanna ROCKて。よっぽどたまってたんやなあ、ロックへの想い。笑
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※イヤホンでの視聴用に音質だけ少し触ってます。他は一切加工・編集してません。なるべく大きい音でご視聴ください。ロックはとくに。
すべて酒とレコードと本に使わせていただきます。