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テーマは変身!「4じげんぼうPポコ」/ちょっぴりマイナーな幼児向けF作品②

少し前に「ちょっぴりマイナーな幼児向けF作品」というテーマで、「モッコロくん」という作品を紹介した。

この記事に書いているが、1970年のお正月から「よいこ・幼稚園・小学一年生~四年生」の6誌で連載が始まった「ドラえもん」だったが、最初の頃は試行錯誤もあって、いきなり人気爆発となったわけではない。

特に幼児向け雑誌では「ドラえもん」の面白さが伝わりづらかったのか、連載が別作品に代わってしまうこともあった。具体的に「幼稚園」での連載作品を列記すると・・

1970年1月号~1971年3月号「ドラえもん」
1971年4月号~1973年2月号「新オバケのQ太郎」
1973年3月号~同年11月号「ドラえもん」
1973年3月号~同年12月号「ジャングル黒べえ」
1974年1月号~1975年3月号「モッコロくん」
1975年4月号~1976年3月号「4じげんぼうPポコ」

となっている。ドラえもんが定着せず、色々なタイトルを連載させていたことがわかる。前回の記事の「モッコロくん」は、そうした「ドラえもん」の穴埋め的な作品だったとも言えてしまうのである。


本稿ではその「モッコロくん」から連載を引き継いだ、幼年向け作品「4じげんぼうPポコ」について、簡単にご紹介をしておきたい。

『4じげんぼうPポコ』
「幼稚園」1975年4月号~1976年3月号 12話
「小学一年生」1975年4月号~1976年2月号 11話

二誌で約一年連載されて合わせて全23話が描かれた。「モッコロくん」は昆虫という幼年が喜びそうなテーマで執筆されたが、本作でも子供が喜びそうな「変身」がキーワードとなっている。

タイトルから分かるように、四次元からきたPポコという生物がドラえもん的役割を果たす。のび太に対応する少年がたけしである。

四次元が何なのか、対象読者には絶対理解できないだろうが、既に「ドラえもん」で四次元ポケットがあるので、何か不思議な空間のイメージが出ればいいと思っていたのではないだろうか。

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まずはPポコ登場シーンから。

「幼稚園」では第一話で留守番をしているたけしの元に突然Pポコが現れるシーンから始まる。たけしが泥棒に捕まってしまうのだが、Pポコがライオンに変身して追い出すという展開となっている。

「小学一年生」では第一話『ぼく、Pポコ』で、動物を欲しがるたかしの元に次元をすり抜けてPポコが登場。最初は相手にしないたけしだったが、変身できるとわかり、友だちとなる。

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Pポコの特徴

Pポコは基本的に「ピーポコ」としかしゃべらないキャラクターとして登場。O次郎の「バケラッタ」の変形と考えてもらうと良いだろう。ところが「小学一年生」の3話目(6月号)で突然「言葉覚えた」と言って、喋り出す。「幼稚園」でも7月号から何の断りもなく言葉を話す。

Pポコは変身能力を持つが、その他にも動物の言葉が分かったり(『巣箱は小鳥でいっぱい』他)、ぐにゃぐにゃと体を変形させたり(『Pポコのお絵かき』)する。また寒さに弱い(『大きな雪だるま』)。

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登場人物たち

Pポコ、たけし、ママとパパの他に、ジャイアン的ポジションに「デカ山」。しずちゃん的ヒロインがようこちゃん。そして「幼稚園」には一切登場しないが「小学一年生」では、たけしのお姉さんが出てくる。主人公の姉がいるパターンは藤子作品では極めて珍しい。

なおこのお姉さんはお転婆で怒りっぽく、たけしとよく喧嘩となる。年齢は不明だがセーラー服を着ている話もあるので(『おねえちゃんのすきな人』)中学生かもしれない。アイドルの「ごうひでき」が好きでファンレターを送っている。

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変身リスト

何に変身したか、ざざっと列記だけしておく。確認できたところでは、28種類登場している。

①ライオン②たけし③プレゼント箱④鳥⑤雷様⑥巨大トンボ⑦幼稚園の先生⑧新幹線⑨風邪の悪魔⑩風邪と戦うヒーロー⑪ママ⑫パパ⑬鬼⑭噴水⑮ゾウ⑯飛行機⑰木⑱洗濯機⑲大蛇⑳デカ夫㉑絵㉒ツバメ㉓電話機㉔ごうひでき㉕百万円札㉖風呂敷㉗おじさん㉘雪だるま

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感動的な最終回

「幼稚園」では3月号まで連載されて最終回を迎えている。「小学一年生」は2月号までの連載だったので特に最終回は描かれていない。

『さようなら、Pポコ』という作品で、突然どこかへ行ってしまうことになるPポコ。たけしは別れが悲しくて泣き続けるが、Pポコも噴水に変身して、「わあ~」と大量に水を吐き出す。これがPポコの涙であった。

「思い切り泣いたらさっぱりしたよ」とPポコは泣き止んで、空を飛んでたけしの元を去っていくのであった。

このラストカットは、Q太郎が旅立っていく最終回とほぼ同じ構図を取っている。

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「4じげんぼうPポコ」と同時期に連載していた作品に「バケルくん」がある。この作品も変身がテーマのお話であった。また、「希望の友」という雑誌「ポコニャン」も連載を開始している。こちらも幼年向け作品で、3年くらい続いた比較的長い連載作品である。

「ちょっぴりマイナーな幼児向けF作品」シリーズで取り上げるべき作品はまだまだあるので、また次回に続きます。


名作・傑作多数考察中デス。


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