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パーマン失神。『ゴキブリこわい』/ゴ◯ブリこわい①

人類最大の敵。それは〇キブリである。

他の虫は何とも思わないし、気軽に手掴みできるのに、かの生命体だけは特別だ。目が合うだけでこちらの身動きを止める神通力が備わっている。

僕の奥さんなどは、名前すら聞きたくないと常日頃言っているし、普段は大人しい弟も空飛ぶゴ〇ブリを見たときに悲鳴を上げていた。

藤子作品を通読していくと、御多分に漏れず、様々な作品でゴキ〇リに恐怖するキャラクターたちが描かれている。日常生活も、漫画の世界も、アレが生理的に怖いのである。

そこで、数本の記事にて、恐怖のゴリブ〇に焦点を当てたエピソードを綴っていきたい。


ちなみにドラえもんの妹、ドラミちゃんがゴキブ〇嫌いとして有名だが、実は漫画の中ではそれほど強調されている訳ではない。あくまでアニメのオリジナルエピソードによってそのイメージが流布された。

原作では、ドラミちゃんが主人公の『ウラシマキャンデー』という話があるのだが、その中で、〇キブリホイホイから出てきたアレを見て、驚いてのび太(のび太朗)の頭の上に飛び乗るシーンが描かれている。

だが、これはゴキ嫌いと言うよりは、突然虫が目の前に現れたのでビックリした、という表現に留まっており、この作品のラストではゴ〇ブリが部屋をウロウロするのを見ても、何とも感じていないようであった。



『ゴキブリこわい』
「小学五年生・六年生」1983年10月号

さて本稿では、天下無敵のパーマンが最も苦手とするあの生き物を使って、パーマンをやっつけようとする悪者たちのドタバタ劇をお送りしたい。

パーマン一号こと須羽みつ夫は、勉強も嫌いだし、ユーレイも苦手だし、言ってみれば弱点だらけの人間である。しかしながら、持ち前の根性で、目の前の困難に対して、一念発起してパーマン活動を全うしている。

けれど、そんなみつ夫でも、全く受け付けられない程に苦手なものがある。それが〇キブリである。この最大級の弱点を悪者に知られてしまい、身の毛もよだつほどに恐ろしいゴキ攻撃を食らうことになるのだ・・!


冒頭、いつもの全悪連のグダグダからスタートする。

全悪連とは、全日本悪者連盟の略で、その名の通り全国的な悪人が加盟する組合組織である。彼ら悪者たちは、パーマンが登場以来、仕事(悪事)をしにくくなっており、今年に入って既に71人の仲間が捕まってしまったと、理事長が嘆く。

パーマンは全悪連の目の上のタンコブであり、何とか対策を立てなくてはならない。そんな折に、全悪連情報局・WCIA長官が、パーマンの弱点を調査したところ、メンバーの一人「0007」が重大な秘密を掴んだと言う。

黒ずくめの忍者のような0007が現われ、パーマンの何よりの苦手はこれということで、箱からゴ〇ブリを出して見せる。0007によれば、パーマンはゴキ〇リを見ると、火がついたようにわめきながら飛び出して行くという。

報告を聞いた理事長はパーマンをゴキブ〇攻めにしてノイローゼにしようと考える。さっそく、〇キブリを何万匹と飼育しろと部下に命じる。・・・文章にするだけで気持ち悪くなるような指令である。


さて、そんな計画が進んでいるとは露知らず、みつ夫の部屋ではコピーロボットが留守番をしている。パーマン宛てに小包が届き、開いてみるときれいな箱が出てくる。中身はチョコか何かだろうか。

コピーは「どうせ僕には分けてくれない」と考え、「半分もらっちゃお」と、蓋を開けてみるのだが、そこから例の黒光りしたモノがサササと飛び出してくる。


パーマンが一仕事終えて部屋へと戻ってくる。その様子をどこからか伺っている悪者たち。彼らはパーマンが小包を開けてギャーとなる場面を楽しみに待っているのだ。

パーマンが部屋に入ると、コピーロボットが白目をひん剥いて倒れ込んでいる。どうみてもただ事ではなさそうだが、パーマンは呑気に昼寝していると勘違いする。

いつまで経っても悲鳴が聞こえてこないことに業を煮やした悪者たちは、みつ夫宅に電話を掛ける(番号もすっかり調べられている)。「さっきのプレゼントは気に入ったか、これに懲りたらパーマンを辞めろ」などという脅しの内容である。

何のことかわからないパーマンは、「バカにするな!そんな脅しに乗らない」と大激怒。叱りつけられた悪者たちは、まるで応えてないと感じ、一匹じゃ足りないのかも、と次なる作戦に着手する。


コピーが意識を取り戻し、倒れた原因はゴ〇ブリだったとパーマンに説明。さっきの脅しはこれだったかと、戦慄するパーマン。するとそこへ紙飛行機が窓の外から4機ほど飛んでくる。部屋の中に着陸し、その上に乗っていたゴキ〇リがサササ・・・と降りてくる。さながらゴキブ〇爆弾である。


またしてもパーマンの悲鳴は上がらない。悪者たちは理事長に何の手応えもないと報告するのだが、0007が「やせ我慢しているので、もっとドサっと送ればいい」と進言する。

全悪連のビルでは、大きな一室が〇キブリ牧場となっていて、巨大な箱が数個設置されており、中からザワザワザワとおぞましき音を放っている。


さて、なぜパーマンは悲鳴を上げたり、大騒ぎして部屋から飛び出したりしなかったのだろうか。読者はわかっているが、それは、声に出すより前にショックで気絶をしてしまったからに他ならない。

悪者たちには伝わっていないが、当のパーマンは大きな精神的ダメージを被り、他のパーマン仲間にパーマン辞めたいなどと騒ぎ立てる。たった四匹でも気絶するくらい恐ろしいのに、この次送られてくるのは、何千匹か何万匹か・・。「僕はきっと死んでしまう!!」と頭を抱える。

あまりの恐れように、手が付けられないパー子たち。ここで頼りになるのは、パーマン仲間随一の秀才、パーやんである。ゴ〇ブリ嫌いが悪者に知られたのがまずかったので、それを逆手に取れば良いと考える。

パーやんのアイディアを聞いて、「そんな恐ろしい・・」とビビるパーマン。しかし、もはやこの手段しかない。


その夜。みつ夫の部屋では、世にも奇妙なサーカスが行われていた。パーマンが四匹のゴキ〇リを、まるで小さなペットのように手懐けて、細い棒を渡らせたり、小さい輪をくぐらせたりと、曲芸を仕込んでいる。

その様子を遠く双眼鏡で覗いていた悪者たちは、唖然とする。まるでゴキブ〇作戦が効いていないと理事長に伝える。パーやん公案の、実は〇キブリは苦手ではないという逆情報を流す作戦は、見事大当たりだったようだ。


0007に「嘘つき!」と理事長が叱咤していると、ザワザワ・・と部屋の中に大量のゴ〇ブリが侵入していくる。ゴキブリ牧場のアミが破れて、培養していた何万匹のゴキたちが、全悪連のビル中にあふれ出したのである!

一方のみつ夫の家。パーマンが手懐けていたゴキブリは、ゴキブリのコピーであった。コピーが犬などに変身できるのは知っていたが、ゴキのような小さい虫にも変身できるとは驚きである。

ただ、どんな風にロボットをゴキブリをしたのか(コピーの鼻を押させたのか)、そしてここからどのようにロボットに戻すのかは、全く想像できないが・・・。


さて、書いていて少し気持ち悪くなってきたが、ゴキブリ篇はさらに続きます!





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