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noteもいいけどノートもね。

もう10年以上前ですかね。実家に帰ったんです。その時母親がこんなものが出てきたと、一冊のノートを持ってきました。

それは小学3年か4年生の頃の日記でした。パラパラと読み進めると、いかにも子どもらしい話題と、その話題に似つかわしくない大人びた表現の文章で、その不釣り合いに思わず笑ってしまいました。あの頃からこんな感じだったのかという、三つ子の魂百までもと言った文面で、家族にも大受けでした。

実はこの時のおかしな文章は、藤子不二雄(安孫子)先生の「まんが道」で何度も挿入される「当時の日記(原文ママ)」の影響を色濃く受けたものでした。安孫子先生は子供の頃から日記を付けており、これによって、「まんが道」も事実関係が正確だと言われています。(脚色も当然されてますが)

おそらく、小学四年生頃の僕は、安孫子先生のように、将来事実関係を見返すことのできるような日記を書きたかったのだと思います。まあこの夢は、3カ月くらいで諦めてしまったみたいですが・・(日記は三か月坊主で終了していた)。


このかつての日記を読み返した時、記録の重要性を強く思いました。25年前の行動が、ありありと思い浮かぶのですから。そして思ったのは、「紙」という媒体の延命能力です。

というのも、僕はPCを導入したのが同年代では比較的早く、HPを自作で立ち上げるなど、デジタルへの移行を積極的に考えていた人間なのですが、このデジタル媒体が、情報の保存において実は頼りないものなのではないかと思ったからです。

HPでは、映画評やエッセイなどを書いていたのですが、この時の原稿は、バックアップをどこかでミスって、今現在そのほとんどが失われてしまっています。残っていれば、青春期の貴重な記録になったのではないかと思います。今考えても残念です。

デジタルの頼りなさを知って、紙媒体こそ情報の保存性において最強なのではないかと考えたのです。


実家で昔の日記に触れ、安孫子先生のマメな日記も思い出し、もう一回自分の記録をしっかりとノートに残しておくべきではないかと考えました。その後、若干の試行錯誤はありましたが、辿り着いたのが「モレスキン」というノートの存在です。

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どんな特徴か、歴史かは調べて貰えばわかりますが、ノート愛用者にはたまらないモノとなっています。

モレスキンは膨大な種類が発売されているんですが、自分が好きなのはルールドノートブックの横罫・ポケットサイズのハードタイプ

ノートは、突然アイディアが思いついた時や、空いた時間で考えを整理したい時に使うので、常に持ち運びしなくちゃいけないんですが、この時ハードカバーだと傷みにくいので安心です。

このノートを使い始めたのは2010年からで、11年近く使い続けて今は13冊目です。190ページあるので、バンバン書いても案外減りません。最初の数冊は表紙が赤や黒の定番タイプを使っていましたが、途中からは限定版などにも手を伸ばし、毎回違う色・種類のものを選んでいます。


11年のノートを振り返ると、その時々のマイブームが明確に分かって面白いです。たった10年ほどの間で、これほどに趣味嗜好が変化するのかという…。

「ライフログ」が流行だったときは、自分の食生活が細かく書いてあったり、天気に凝っている時は、毎日の天気図を手書きで書いていたり、将棋マイブームの時は羽生さんの将棋の棋譜の検討が延々と書かれていたり。

また、仕事に関する記述も多く割かれています。この10年で仕事上の立ち位置は少しずつ変化していったので、その時々での仕事への向き合い方の変遷が見て取れます。日付も振っているので、どんなことをいつ調べていたのか、興味を持っていたのかも一目瞭然となっています。

デジタルではないので、人に見せるのは難しいのですが、逆に自分だけに留めたい情報や感情を閉じ込めておくにも適していると思います。家族には、自分が先に死んだら、読んで笑ってやってくれと言い残してあります。僕自身、数十年後に読み返したら、笑ったり感心したりできるのではないかと楽しみです。


noteは、紙に書き留めるには時間がかかることを記事にしています。いつの間にか毎日記事を書くようになり、見事に自分の一日のサイクルにnote執筆の時間が組み込まれています。

それでも、僕はモレスキンにも毎日何かしらを書き綴っています。と言っても最近はnoteのネタ出しばかり。年初から使っている13冊目は、半分以上がnote用の藤子ネタの整理に使っています。

ですが、これも一つのマイブームの記録となります。5年後、10年後にはnoteの更新をやめている可能性は高いですが、きっとモレスキンノートの習慣は続いていることでしょう。

未来の僕はモレスキンを読み返して思うはずです。2021年はnoteの日々だったなあと。そして、あの毎日書いた膨大な原稿、どこへ行ったんだろうな、と。。

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