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藤子Fマニアと「新世紀エヴァンゲリオン」(ネタバレなし)

今週ついに公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版リピート』。さっそく観てきて感無量なのですが、今回の記事は考察ではなく、Fマニアとしてのエヴァの立ち位置と、思い出について語っていきたいと思います。よって、新作のネタバレは一切なしです。

エヴァンゲリオンを知ったのは最初のTVで放送された直後で、友だちからの紹介でした。すげえアニメがあるよと。監督の庵野秀明という名前はその数年前の「ふしぎの海のナディア」で強く印象に残っており、一気に興味が惹かれました。確かマンガも連載が始まっていて、すぐにビデオのレンタルも始まりました。そこから追っかけの始まりです。

レンタル店に行ってもエヴァはどれも貸し出し中。毎日小まめに顔を出して返却されたソフトを借りていくわけですが、これがなかなか入手できません。仕方がないので、自転車で行ける範囲のレンタルビデオ店に次々と入会して、数店を毎日回遊して、何とか少しずつ借りていくのです。今のようにアマゾンプライムでスッと見ることはできませんでした。

そして何とか借りたビデオを繰り返して見ては、その難解なストーリーを、同じエヴァにハマった仲間たちと喧々諤々解読していきます。徹夜で語り合う、などということもありました。それほどに、熱中させるものがエヴァにはありました。

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エヴァの特徴は、その膨大な情報量にあります。死海文書とか生命の樹とかヤシマ作戦とかセカンドインパクトとか、歴史から都市伝説まで、知っている単語から全く知らない言葉まで、深読みがいくらでもできるキーワードが、猛スピードで並べ立てられます。

「考察」という言葉がコンテンツファンの間に浸透したのも、本作の与えた影響の一つだと思います。感想ではなく、考察。エヴァの基本的なストーリーラインは、一人の少年の成長物語であって、特に中盤くらいまでの展開は非常に分かりやすいのですが、謎めいた設定の真相は仄めかし程度に留められているので、なかなか世界の全体像が見えてきません。

全体像がモヤモヤしているので、劇中で提示されたキーワードから物語の隙間を埋めて全貌を把握しようと試みます。まるで、ノートの余白を埋めるかのように。そしてこの試みこそが考察に他なりません。

僕のnoteは藤子F作品の考察、と銘打っていますが、これは作品の余白を自分なりに埋めたいという意思の表れです。作者の意図を全て汲み取り、もしくは意図の外側にあるものを調べていくのです。そしてその姿勢はエヴァで培われたと言えます。ちなみに「エヴァ」とデビットリンチの「ツインピークス」が、若き頃、考察しまくった思い出の2本となります。

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庵野秀明監督は、宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」のラスト、巨神兵を描いたことで知られていますが、この二人には大きな共通点があるように思います。

それは、教養の深さです。
アニメの世界では、画面の中に意図していないものが自然に映り込むということがありません。描かれているものは、全て作家が意図的に書き込んだものです。情報量が多い作品というのは、つまりそれだけ作家の頭の中の情報量が多いということ。作家が知識や教養を持ち合わせていないと、情報量の多い作品など作れません。

エヴァや宮崎作品には、何度も何度も鑑賞することに耐えうる、凄まじい情報量が詰め込まれています。さりげなく、わかる人しか分からないようなものまで組み込まれていて、何度見ても驚きや発見をもたらします

これは当然、藤子F先生にも当てはまります。F作品についてたくさんの考察記事を書いてきましたが、F作品のバックグランドにある教養の広さと深さにはつくづく驚かされます。恐竜・宇宙・ロボット・都市伝説・古事記・昔話・歴史・拳銃・パイプ・最新アイドルまで。さらに、そうした教養を物語化し、漫画に落とし込んでいく作業は、到底凡人には真似することはできません。

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僕は大学生時代にエヴァに触れ、ウジウジしたシンジ君に少しばかり自分を重ね合わせて熱狂し、最終回の「おめでとう」でなんじゃこりゃとなり、モヤモヤしたまま劇場版に突入し、またまたラストで突き放されるという、エヴァファンのど真ん中の反応をしてきました。


エヴァにハマる中で、自分も持続的に熱狂できるコンテンツを作りたい、と考えるようになりました。ユーザーが自分たちで先のストーリーを検証しあうような作品、知る人ぞ知る情報を見つけ出して喜べるような作品を。

それには、必要なものは教養であると、その時強く思ったのです。それまでも雑学は好きで、適当に本も読み漁っていましたが、もっと深いもの、本格的なものを取り込まなくては、と思い至りました。

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その意味で、エヴァは自分の中で、人生の方向性を決めた一本と言えるかと思っています。もちろん他にもそういう作品(コンテンツ)はありますが・・。

今回最初のテレビ放送から25年かけて、エヴァの物語は完結を迎えました。近く、ネタバレありの感想・考察を記事化したいと思います。

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