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女性登用を妨げるもの

こんちは!副業社労士まさゆきです。

厚生労働省は、女性登用のため、2030年までに女性役員を30%以上とすることを目指しています。
直近のデータ(2022年)では女性管理職比率は12.7%、伸びは横ばいです。企業規模別に見ると、10人以上30人未満の企業が21%と最も高かった一方、5000人以上大企業で10.2%と低い傾向です。
人事制度が整備された大企業で女性登用率が低いのは何故?様々な「女性登用を妨げるもの」があります。

【「育休期間の目標管理」と「管理職の残業」が女性登用を妨げる】
大企業には目標管理制度があり、昇給昇格の基礎となりますが、女性の育児休業期間の評価は“ゼロ評価”となります。昇格評価は過去数年間の評価を通算するのが一般的ですが、育休が2年3年と続けばそれまで積み上げた昇格評価は白紙になります。
育休期間を“ゼロ評価”ではなく“無かった期間”として育休直前の評価を踏襲すればこの点は解消します。産前産後休業、育児休業中の厚生年金保険料免除制度の“保険料は免除、将来の年金はその期間払ったとみなす”と同様に考えるのです。
管理職の残業も課題です。一般社員の残業削減のため、あぶれた仕事を管理職が負担し残業している例が、特に大企業で多い様感じます。これでは育児で残業できない女性を管理職にすることはできません(そもそも「女性が育児をする」前提が問題ですが、現実を直視するためご容赦を)。
「育休期間の目標管理」「管理職の残業」大企業の仕組みが女性登用を妨げます。

【昇進で割を食う男性社員の視線、望まず登用された女性管理職の嘆き】
男女雇用機会均等法第8条は「男女間格差の目的で女性を有利に取扱うことは男女差別禁止規定に反しない」と定めています。女性管理職比率を上げるため女性を優先して課長にするのはOKですが、この点が男性社員の視線を厳しくします。
先日若手男性社員の嘆きを聞きました。「男性は、上司の意向を忖度し、同期と競争し選抜試験を乗り越えてやっと課長なのに、女性はすいすい課長に…課長になったら育児で残業せず我々は部下の仕事を引受け残業…やってられないです」
「貴方達がそう思っているので女性管理職は息苦しさを感じています。その圧力が良く作用することはない。負の連鎖を断ち切るには、貴方達が考え方を変えるしかないですよ」と話すと、全く気付いていなかったようでした。

昔仕事を一緒にしていた女性が部長になりました。「よかったね、部長!」と電話すると「それ嫌味?無理やり部長にさせられたんやけど…」こんな例は沢山あります。

男性社員の視線を感じながら働く女性管理職のストレス、端で見ている女性管理職候補が登用を望むか?女性登用を妨げるものです。

【メンタルローテーションタクス】
「メンタルローテ―ション」とは、頭の中で図形を回転し同じ図形か否かを判断する認知機能のことです。「メンタルローテーションタクス」とは、示された図形(三角形など)と同じものを5~6個の図形を回転させて選ぶ試験のことです。(詳細はブログを見て下さい)

メンタルローテーションとは? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 (taniharamakoto.com)

この試験は数学的思考に優れる男性が有利と言われています。試験前にアンケートをしてから試験し結果を見てみます。

(試験1)アンケートに所属大学を記載してから試験
  :女性の正答率は男性の86%
(試験2)アンケートに男女を記載してから試験
  :女性の正答率は男性の64%

女性であることを試験前に意識すると「この試験は女性に不向き」というバイアスが試験結果を悪くします。
「メンタルローテーションタクス」は「自分の能力を制限しているのは自分のバイアス」であることを示しています。「女性は管理職に向かない」というバイアス、女性登用を妨げる最大のものかもしれません。

「だから女性登用は無理だ」ではなく「障害を正しく認識して解決する努力をしよう」と考える事、女性登用の王道です。

ではまた次回。


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