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狭小邸宅 新庄耕 読書感想 ややネタバレ有

戸建て不動産営業マンの話。
売れない営業マンが、フとしたきっかけで売れる様になっていくのだが
ブラックを通り越して、暗黒に近い会社で頭角を現すというのは
色々な物や事を犠牲にして駆け上がっていくので、本作終了後も
物語が続いていく展開だったら主人公の健康とメンタルが心配になる作品。

当然、小説なので続かないのだけど売れるまでに至る過程や内面的な成長
身なりの変化、それに伴う精神的驕りというのは同じ境遇になれば
誰しもに出てくる現象だと思うので、ここの描写は非常に面白い。
私自身にもあった変化なので興味深い、というのが適切だろうか。

不動産営業マンだけでなく、売れない・成績が頭打ちしてる営業マンは
読むべき。マインドと客との向き合い方・距離を変えられるかもしれない。
とはいえ、色々な物を犠牲にした結果、得られるモノなんて会社から
出てしまえば、他人からは理解を得られにくい評価や成績だったりするので
「そういったモノ」に固執してる人には届きにくい内容だと思う。

ラストは、ちょっと不穏な終わり方だけど、まぁ、この作者ならではという感じでこちらが慣れてきた感はある。