開催報告レポート「子どもたちに民主主義を教えよう✖大人たちも民主主義を学ぼう~工藤勇一さんと100人のリアル対話会~」
シェアリング・ラーニング共同代表の鄭玉珠(ちょん・おっちゅ)です。
2023年8月6日(日)に子どもたちに民主主義を教えよう✖大人たちも民主主義を学ぼう~工藤勇一さんと100人のリアル対話会~ を東京・国分寺リオンホールで開催しました。
1.工藤勇一さんと私たちの出会い
2019年シェアリング・ラーニング共同代表の諏訪玲子と私が出会ったきっかけとなったのが彼女が企画した工藤勇一さんの著書学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 の読書会であり、ちょうどその頃2か月に1回開催されていた麹町中の校内研修に外部参加者として滑り込み2年間通うことになったことですから、シェアラン誕生の大きなきっかけとなったと言っても過言ではありません。
そんな工藤さんにお会いする度に口癖のように「いつか必ず多摩地域にお呼びしますのでぜひいらしてくださいね!」と口説き続け、「多摩は遠いからなぁ~」と渋る工藤さんに粘り勝ちし、今回やっとリアル工藤さんとのリアル対話会が実現の運びとなったのです!!!
当日イベントの冒頭でも「麹町中の外部研修に2年間通ってくれた恩返し」とおっしゃってくださり感無量でした(ToT)/~~~
(ホントは押しの強さに根負けしただけ?かもしれません💦笑)
2.企画準備と事前学習会メモ
さて、スケジュール調整と場所の確保が出来たのが今年の1月。
その頃私たちは民主主義と主権者教育を主なテーマに 「半径5メートルのミンシュシュギ」 という3回連続イベントの最終回を準備中で、まさに内容的にも同じ民主主義つながり!でタイミングもピッタリだったのです。
そんな私たちがいよいよ、ついに、せっかくリアル工藤さんとお会いできるのだから、どのようなイベントにすべきか、悩みに悩み、話し合いを重ねた結果、「工藤さんのお話を聞いておしまい!」にするのではなく、参加者ひとりひとりが当事者意識をもって主体的に参加できるように心がけて企画しました。
◎事前学習会を3回開き、当日までに参加者の学びと理解を深めよう。
◎なるべく教員の方にたくさん参加して頂き元気になってもらおう。
◎多様な参加者たちの対話の時間を大切にし、それぞれの現場で活かせる出会いとつながりをつくろう。
◆事前学習会3回分のメモと画像
7月1日事前読書会3回目最終回は教員優先回の予定でしたが、結局申込者全員での会となりました。
公立小学校教諭 二川佳祐・村上聡恵 両先生の神ファシリ💗
お忙しい中、本当にありがとうございました!
3.8/6(日)当日工藤勇一さんのお話
いよいよ8/6(日)当日、横浜創英中学・高等学校校長工藤勇一さんの登場です!
教育改革のフロントランナーである工藤さんの登場に会場は一気に沸き立ちました\(^o^)/
繰り返し強調されたのは「Agency=当事者意識」の大切さ。
子どもたちに教えるためには教員や保護者や大人たちが当事者意識を持つことが大事だということ。
これからの教育で大切なのは、自分の頭で考えられる人材を育てること、多様性の中で生きていくために対立を受入れ対話を通して合意する経験を積むことだと強調されました。
学校が変わると社会が変わる。社会を変えるには学校を変えなければならない。子どもたちに民主主義をしっかり教え、その子どもたちが社会に出た時社会が変わるのだと、教員や大人たちは自覚して行動しなければならないとと熱く語られました。
書籍や動画ではわからないここだけのプライベートなお話やエピソードもはさみながら、「人間・工藤勇一」さんのお話は本当に楽しく貴重な学びの時間でした。
4.参加者同士の対話の時間
受付で配布された「問いメモ」左側には自己紹介やアイスブレイク用メモを、右側には当日新たに気づいたことや学んだことなどを記入して頂きました!
工藤さんのお話の後、対話のヒントを参考に、4~5名ずつのグループに分かれて席替えをしながら対話を行ないました。
当日は教員の方がたくさん参加してくださいました!!!
保護者やその他教育関係者など多種多様な活動をされている方々と、立場の違いを越えて多様な対話が行われました。
5.工藤勇一さんと参加者有志の質疑応答
◆参加者有志からの質問(一部紹介)
・そもそも当事者意識を持つにはどうすればいいか?
・仲間をつくり周囲を巻き込むには?
・日本全国の学校に民主主義教育を広めるには?
・改革者が去った後に揺り戻しがおこってしまう現状はどうしたらいい?
・対話が苦痛な人に対してどうすればいい?
・心の教育ではなく、感情のコントロールについてどう教えたらいいか?
・空中戦(学校現場)と地上戦(学校以外の子ども支援の場等)をやっている人がつながるにはどうしたらいいか?
・ある程度貧しくなってしまう社会の中でも何かを分かち合えるような民主主義的なものはあるのか?etc.
◆工藤さんからの回答概要
・学校教育や社会のいろんな分野で日中戦争以降の戦争の悪しき習慣や慣習等をいまだに引きずってしまっている。
・私たち大人自身が当事者意識が足りず強いリーダーを求めてしまう傾向があるが、自分たちの社会や政治を変えていくのは自分たちであるという自覚を持って行動する必要がある。
・日本中の本気の人々を集め、私立で培ったノウハウを無料で公開しながら公立を、社会全体を変えていくしかないと考えて行動している。
・孫が生きる未来が平和な世の中であって欲しいと願うが、自分が生きている間にやれることを精一杯やるしかない。
6.当日の振り返り
◆タノ先生(田上誠悟) による振り返りのグラログは圧巻!!!
折に触れて見直せる永久保存版です↓↓↓
【工藤勇一先生と100人のリアル対話会】ログと振り返り - YouTube
◆教育新聞社の取材記事
「与え続ける教育」が当事者意識をなくす 工藤勇一校長が講演 | 教育新聞 (kyobun.co.jp)
7.全員集合写真&有志での懇親会
驚異の参加率約70%超え!!!(笑)の懇親会ではリラックスした空気の中で対話の花があちこちで咲いていました🌸
カフェローカルのみなさま、美味しい料理をありがとうございましたm(__)m
8.アンケート回答を読んで感じた&考えたこと
参加者アンケート結果全体をこの場で公開投稿することは控えますが、工藤勇一さんに限らず「強いリーダーや影響力の大きい方をゲストに100人を超える対話イベント」となると「参加者全員が一枚岩になって一致団結!!」みたいな感想になりがちだと思うのですが、今回の参加者アンケートには「新たな疑問や問い」、「小さな違和感」などを丁寧に伝えてくださった方々も多く、百人百様、多様な感想があったことにホッと胸を撫で下ろしています。特に、工藤さんのお話が「欧米式の経済発展ありきの社会を前提とした人材育成や民主主義の話に偏っているのではないか?」という趣旨の問いについては私自身共感するところがあり、またいつか別の機会にぜひ詳しくお聞きしてみたいと思っております。
様々な学校改革について、よく「工藤さんだからできる」と言われます。
ある意味それはその通りで、学校改革の旗手としての工藤さんの論理的かつ戦略的な言動は誰もが同じようにできることではないでしょう。
でも、工藤さんの言動で自分の現場に活かせることがあればどんどん真似すればいいのだと、私はそう思うしそうしていきたいと思っています。
「真似る」と「学ぶ」は同源と言われていますし、私たち界隈では「TTP=徹底的にパクる」を良しとしています(笑)
ただ、そのまま真似るだけじゃやっぱりダメで「自分が今いる現場や現状に合わせて主体的に応用する」ことが求められるのだと思います。
そうすることで、学校だけではなくこの社会のあらゆる組織や社会全体を民主主義的に改革する輪が広がっていけばいいと思うのです。
僭越ながら工藤さんと同じく、私も昨年生まれたばかりの初孫と同世代の子どもたちが生きる社会が今より少しでも幸せになれるよう、自分がやれることを精一杯やるだけという思いを強くしました。
大規模イベントはある意味打ち上げ花火のようなもので、パッと豪華に打ち上がれば上がるほどその場限りの感動で終わってしまう危険性も大きいので、その場の空気やその時限りの感情に流されることなく、いかに日々の暮らしの中に落とし込んでいけるかが大事なことだと考えます。
今回のイベントが参加者おひとりおひとりが今いる場所で、それぞれの日常の中に活かしていけるきっかけ作り、つながり作りの一助になったとしたら主催者としてこれ以上嬉しいことはありません。
9.そして、これから…
私たちシェアリング・ラーニングは立ち上げから丸4年が過ぎ、この秋結成から5年目を迎えます。この間常に意識してきたのは、
「私たちひとりひとりは微力でも決して無力ではない」
「The Personal is Political=個人的なことは政治的なこと」
ということ。
今回みなさまから頂いた言葉を励みに、新たなステージに向けてこれからどうしていくべきか、真剣に考えるべき岐路に立たされていると感じております。
任意団体ならではの自由さや私たちひとりひとりのワークライフバランス、法人格を持つことによるある種の不自由さや社会的責任の重さなどを総合的に検討しつつメンバー全員で対話を繰り返し、「今の私たちにとって最良かつ最高にハッピーな在り方」を見つけていきたいと考えております。
どんな形であれ決まっているのは「これからも私たちらしく続けていく」ということ。
これまで応援してくださり、本当にありがとうございました!
これからもどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m