株式会社ベーシックで経験した3年間についてまとめようと思う(2022年編)
こんにちは。
株式会社ベーシックのカスタマーサクセス部所属、南です。
前回、【株式会社ベーシックで経験した3年間についてまとめようと思う(2021年編)】という記事を書きましたが、この記事では2022年の活動を中心に、カスタマーサクセス部の一員として取り組んだ様々な挑戦や成果を記事にまとめていきます。
皆様にとって何かの参考になれば幸いです。
前段
会社情報
所属会社名:株式会社ベーシック
コーポレートサイト:
提供サービス
ferretOne(CMSツール&BtoBマーケコンサルティングサービス)
formrun(フォーム作成ツール)
bookrun(日程調整ツール)
LeadGrowth(BtoBマーケ全般支援サービス)
LPOne(LP作成ツール)
弊社メンバー執筆のNOTE
当時の業務について
入社2年目はさらなる成長と挑戦の年でした。
2022年にはオンボーディンググループのリーダーとしての昇格も果たし、チームを牽引する立場としての責任をさらに深めました。
メイン業務としては主に以下の2つでした。
エクスパンション獲得に向けての検証
サポートコンテンツサイトのディレクション
基本的な弊社のサービス内容やカスタマーサクセスが行っている業務、行ってきた取り組みについては、良ければ下記の記事を参照ください。
当時の課題と対策
2022年も2021年同様、CS部としてもオンボーディングチームとしても様々な課題が混在していました。
その中でも2つの大きな課題とその課題に対して解決に向けて奔走した内容を記載していきます。
当時の課題①:本腰を入れたエクスパンションについての挑戦ができていなかった
下記の記事にも記載している通り、2021年当時はプロダクトの活用推進や満足度向上に向けたイベント等、チャーンの抑制に向けた活動はしっかりとやれている実感があり、数値的裏付けも確認できていました。
ただアップセル・クロスセルといったエクスパンションの領域に関しては、これからという状態、まだ成果が限定的な状態でした。
CS関連の方は、初期フェーズはチャーン抑止が一番重要な観点で、KGI,KPIはチャーンレートということで日々解約阻止や継続利用のためにハイタッチ・ローテックに取り組んでいただいていることも多いかと思います。
弊社でも2021年以降はチャーンレート重視の動き方でしたが、一定、チャーンレートは落ち着いてきたという点とさらなる事業成長促進が求められるという観点から、2022年はエクスパンションへの挑戦の年となりました。
なのでアップセルのメニュー開発を行いつつ、メンバーが販売・提案しやすいようにする動きはありましたが、エクスパンション(アップセルやクロスセル)の実績はまだ少なくこれから活路を見出していく様なフェーズでした。
当時の課題の対策①:
まず着手したのは「攻めのCSの文化作り」でした。
THE MODELにも記載がある様に、通常のCSは導入支援&解約阻止の2つの文脈で動くことがメインです。
ただ、2022年から大きくferretOne事業部全体しかりCS部全体の方向性も変わり、エクスパンションに尽力していくための体制づくりや仕組みづくりを求められました。
その影響によりCS部として一丸となり「支援する役割」にも尽力しつつ、「売るという役割」に徹するハイブリッド型を目指すようになりました。
そうはいってもよーいドンで、敷かれているエクスパンションの目標をすんなりと達成する訳が無いことは明白だったので、まずはCSの文化の一旦を担う各メンバーの意識と仕組みから変える必要があるのではと思いできる範囲で取り組みを始めました。
具体的な取り組みについては以下の通りです。
1:役務提供提供フローの改修
当時はオンボーディング段階でエクスパンションの最大化が見込める様な役務提供フローになっておらず、顧客とのコミュニケーション設計の観点からエクスパンション獲得が少し難しいのではと感じていました。
というのも当時の役務提供フローはまだオンボーディング=「導入支援」という通常のCSの役割を前提に行う役務提供フローでした。
正直なところ、肌感ではありますがオンボーディング=導入支援や利用継続支援のためのサポートフローの企業様がほとんどだと思っています。
もしくはエクスパンションにも取り組んでいる企業があるとすれば分業制で下記の様な座組で役割を分けている企業も多いかと思います。
こういった分業制を取っている企業は、明エクスパンション獲得のためのアポ獲得や、タッチ回数・商談回数を多くし、セミナーやメルマガ、電話や訪問などさまざまな接触から柔軟に動く事が多いので、明確な固定の役務提供フローが無いことが多い印象です。
ただ、弊社は方針転換に伴う「売る役割」として攻めのCSになる必要がありましたが、上述の通り、【解約阻止・導入支援】と【エクスパンション】の分業制を取るわけではありませんでした。
なので一気通貫して固定した役務提供フローに沿って【解約阻止・導入支援】と【エクスパンション】の両方の目標を達成する必要があったのですが、既存の役務提供内では仕組み的に厳しいフローとなっていました。
なので役務提供の改修を行うべく、オフサイトを実施しながら、まずはオンボーディングフェーズのゴール設定を定義しつつ、役務提供フローを見直すところから始めました。
オフサイトやその他MTGなども含めてブラッシュアップした結果、現状と理想の達成を鑑みて足りない要素なども見えてきました。
まず最終的にオンボーディングチームが目指す、オンボーディングのゴールとしては【お客様が再現性のある1CVを獲得出来ている状態】とし、そこまでしっかりとサポートするということで共通認識をもつことにしました。
ただ、そのうえで同時にそのゴールを達成するために明確に足りていない部分として、やはり売り役割にも直結する、アップセルやクロスセルのための提案の場がほぼないという観点だったので、役務提供状態を変更しました。
既存役務提供内容の改修として意識したのは下記の流れを自然に行うために必要な役務提供フローは何かという内容でした。
チームメンバーともブラッシュアップしながら、最終的にクライアントへヒアリングを行うMTG,そして年間の施策提案を行いエクスパンションの提案を行うMTGの2つの役務提供を追加しました。
お客様の状況や競合、ターゲット、目標、予算、決算月、導入しているツール、実施している施策や実施予定の施策、担当者・チームの人工など複数の要素をヒアリングしながら整理し、最終的には競合調査も含めてCS担当から年間のマーケティング戦略設計を提案するという流れを新たに設けました。
顧客視点に経ち、弊社がサポート出来る各種施策の代行プラン(広告運用代行やSEO記事制作代行、ホワイトペーパー代行 etc..)を提案することで顧客の目標達成に必要な施策実行のサポートも行いつつ、顧客のサクセスを通じて弊社のエクスパンション獲得にも貢献できるという座組がこれらの改修により確立出来ました。
こちらの改修は今での継続しておりエクスパンション獲得のフローに大きなインパクトを残しました。
弊社のように【解約阻止・導入支援】と【エクスパンション】の分業制ではないが、エクスパンションを求められているCS関係者の方向けになにかアドバイスがあるとすれば、両立は不可能という思考を捨ててみるのも良いかと思います。
当初はTHE MODELの内容は課題図書でもあったので、オンボーディングチームが全員、両立は無理なのでは…?という温度感ではありました。
ただ、出来ないのではなく、できる・成功させるために必要な要素を洗い出し、工数をあまり変動せずに、省ける箇所は省き、社内ナレッジやシステムなどを駆使して効率化しつつなんとかしていく....という抽象的な内容もありますが、なんとかしてできる方法を模索することは非常に重要かと思います。
ただ根性論ではどうしても厳しいところもあるので、役務提供フローをガッツリ変えるやプラン内容を変えてみるといった、思い切った方針転換も重要でCSに時に求められる要素かと思います。
2:マーケティングコンサルタントとしてのケイパ向上
役務提供を整理・改修していく中で、エクスパンション獲得成功イメージは見えてきたのですが、進めていく中でメンバー感である歪みが出来てきました。
それはメンバー間でのエクスパンション成果の差異です。
当時リーダーを任されていたこともあり、背中で見せるリーダーを意識して個人ではエクスパンション成果を順調に伸ばしていましたが、チームとしての成果も求められる状態となっていました。
そこでチーム成果向上のために【キラートーク・提案ストーリーの準備】や【個人としてのマーケスキル・ケイパ向上】に取り組むことにしました。
まずは提案の中でうまく言った会話をトークスクリプト化したり、提案内容について違和感なく納得いただきアップセルしていただくために、各種プランの提案資料の内容を整理し直したりと、提案クオリティの品質均一化に取り組みました。
また間接的ではありますが、アップセルにつながる要素として、臨機応変にお客様のマーケに関する質問に適切に回答できることで、信頼獲得にもつながるので、一人のマーケターとして信頼していただくためにもチーム全体のマーケケイパ向上も努めました。
企業名は伏せますが、マーケコンサル系やサイト制作系、動画編集系、広告運用系の企業からのご支援を受けつつ、勉強会などにも積極的に参加していたこともあります。
チーム全体としてナレッジを蓄積していき、単なる導入支援担当のCSではなく、一人のマーケティングコンサルタントとしてお客様を支援し、サクセスに導くという意識を持つことで、各種メンバーがの意識の変化も見受けられて提案の質も大きく変わっていきました。
3:マーケティング施策提案の進捗確認を標準化
実際に提案の量も質も高まっているなと実感はしていましたが、
アップセル・クロスセルにつながる提案は確実に行ったのか
仮に提案が行えなかった場合、どういった背景があったのか
提案した内容は具体的にどのような内容だったか
提案した内容でお客様のサクセスに本当に近づくのか
といった内容をメンバー内で目線合わせすることは出来ていないこともありました。チームとしての成果向上のためには提案の質の標準化・均一化も重要だったため、こちらをMTG内で必ず確認し合うことにしました。
実際にシートで提案した内容や提案事項・気付き、実施可否など複数の項目を事前に埋めて、その内容について確認及び意見交換することにより新たしい発見なども埋めれたことも大きなメリットでした(当時のシートはすでに削除されており...見せたかったですが..)
また、今まで管理していなかった各種メンバー売上データをセールスフォースで一元管理し、可視化することにしました。
これにより各メンバーの売上状況や失注理由、受注しているプランの傾向などが読み取れることになり、より細かいFBや成果向上のためのブラッシュアップが可能となりました。
こちらも今ではダッシュボード化して、予実管理や受注金額、受注数、受注月や受注メンバーなどCS全体のエクスパンションを管理しているので、そういった部分でも早期に取り組んで良かったと今では思っています。
その上で上述の一連の施策や実施した内容から実感したことが一つあります。
俗に言うパレートの法則で「2:8の法則」からある特定のメンバーが活躍して成果が残せていればいいということもありますが、マニュアル活用やSFA,CRMツールの活用、ナレッジの共有などから提案クオリティの品質均一化、各種数値の可視化にCSとしても積極的に取り組めば、チームメンバー全員がセールスメンバーのマインドで8割のメンバーにもなりうるポテンシャルがあるんだということでした。
今では2022年のエクスパンション成果のおおよそ5倍〜10倍程度の目標を課せられても達成出来ている状態なのですが、その達成できるきっかけは、この2022年の取り組みが大きく起因していると思っています。
成果
最終成果としては、当初はオンボーディング段階ではエクスパンションの獲得は不可、提案も出来る余地もないと言われていた状況を打破し、(細かい数値は記載出来ませんが)オンボーディングチーム全体としての3Qから4Qの現状のSOL売上の比較で150%以上で着地という高いアップセル目標も達成することが出来ました。
では続いてはエクスパンションとは少し毛色が違う2つめの課題について記載していこうと思います。
当時の課題②:テックタッチの土台作りが出来ていなかった
当時は操作レクチャー動画やウェビナー、各施策や機能に関するマニュアルなどコンテンツや一定数あり、テックタッチ施策には取り組んでいる状態でした。
ただ、各種コンテンツのデリバリーが確立されていなかったり、クライアントへの案内導線もバラバラで乱立していたり、閲覧数・活用数も少ないし、VoCも少ない状態でした。
なのでお客様限定のサポートコンテンツサイトに各種コンテンツは配置していましたが、あるだけの状態で必要に応じて都度該当のコンテンツページを担当からお客様に案内する状態にとどまっておりテックタッチの土台が形成されていないことが大きな課題でした。
つまり当時は
・コンテンツ→顧客
という一方通行のコンテンツデリバリーとなっており
・コンテンツ→顧客、顧客→コンテンツ
という自主的にサポートコンテンツサイトに来てコンテンツを確認するという双方向の流れとなっていませんでした。
なのでご契約のお客様が閲覧出来るサポートコンテンツサイトがローテック施策の軸となり得ていない状態だったので、まず改修に取り組む形となりました。
ちなみにこの様な課題は弊社だけではなく、他社様も多いにある課題だと思っています。多くの企業が契約者限定のサポートコンテンツサイトを持っていらっしゃいますが、顧客が積極的に活用している!と自信満々に回答できる企業は多く無いと思います。
そんな中で、弊社としてもSmartHRさんのサイトやsansanさんのサイト、kintoneさんのサイトなどをベンチマークとして参考していました。
ただこのプロジェクトを開始し、進めてきたメンバーとして一つ確実に言えるとすれば、サービスや商材、利用するターゲットや部署、お客様のリテラシーや、バーティカルかホリゾンタルなのかなど複数の要素を比較して同じ企業はいないので、他社サポートコンテンツサイトのUIやUXをそのまま真似ても意味が無いということです。
自社の顧客を意識して最適なサポートコンテンツサイトを模索しつづけて中長期的な目線で作成・改修していく事が重要なので、同じ危機感がある企業様がいらっしゃるのであれば、早めの着手とちゃんとしたプロジェクト化(例:カスタマーマーケ担当を専属で配置するなど)して進めていくことを推奨します。
当時の課題の対策②:
まずはこのプロジェクトは中長期的な大型のプロジェクトになると予想し、各フェーズに分けて取り組みました。
フェーズ1:現在ある各種ロー/テックコンテンツの目的・優先度の整理
フェーズ2:整理した後、ワイヤー含めてサポートコンテンツサイトの改修
フェーズ3:改修後、訪問数の向上施策実行及び効果検証
フェーズ1ではまず、各コンテンツの作成目的やコンテンツ活用を通してのクライアント状態のゴール設定、各種コンテンツにおけるKPIなどを諸々整理して、テックタッチの根底となるコンテンツの質の強化に取り組みました。
上記を含めて各種整理していくと、各コンテンツの立ち位置がぶれているであったり、各コンテンツに関するKPIはそれであっているのか、このコンテンツの目的はコンテンツ内容や顧客ニーズか加味して違うほうがいいのでは、などの声も上がってきました。
そうしていくうちに、コンテンツのKPI・目的なども再整理でき、よりお客様のサクセスに貢献するための共通認識をサポートコンテンツサイト全体の改修前にもつことができ、良い状態で改修のスタートラインに立つことができました。
これによりコンテンツの配置導線や説明文の遡及分、配置デザインやワイヤーフレームなどの最適イメージがつくようになったのも事実としてありました。
フェーズ2では、ワイヤー含めてサポートコンテンツサイトの改修に取り組みました。
お客様が自主的にサポートコンテンツサイトに来るために必要な構成案は何かをブラッシュアップしつつ、ワイヤーの構成の整理も制作チームと連携して行っていきました。
ワイヤーやサイトマップ、UIなども適宜検討もしつつ、フェーズ1で整理したに内容を参考にしながら、
・グロナビの切り口はどうするか
・顧客課題別でコンテンツを選べるようにするか、コンテンツジャンルごとに分けるか
・ユーザービリティを下げずにページ繊維を増やすにはどうするか
・流入チャネルが増えても違和感のないサイトマップはどのようなものか
など、各種他部署・チームを日々ブラッシュアップしながら改修に取り組みました。
時には社内向けにメンバー視点から改修すべき点や現状感じている内容の収集や、どのような要素が増えれば反響があり流入が増えるのかなどもバナー設置テストを行ったりもしていました。
上記の様流れで、サポートコンテンツサイトのリニューアル&公開というフェーズ2を着実にすすめていました。
次にフェーズ3では、改修後の訪問数の向上施策実行及び効果検証を行っていました。
当初、一番プライオリティが高かったのは、改修後の流入数増加しているかどうかというKPI指標でした。
なので、メルマガ配信や日々活用している顧客提案資料内にリンクを設置し、流入チャネルを増やしたりなど可能な限りの施策を実行しました。
(以下画像は取り組みの一部)
もちろん前提として流入施策実行後の訪問数が増加したかという指標の効果検証が一番最初ステップでしたが、フェーズ4では
・CSメンバーの対応工数の減少に貢献できたか
・アップセル増加のどのくらい寄与したのか
・各種コンテンツの活用に伴いお客様の施策実行に貢献できたのか
の様な違う貢献指標の分析してPDCAを回していく中長期スパンでの動き方の想定でプロジェクトを進める計画でした。
成果
フェーズ4に到達する前に事業方針に沿って、途中からサポートコンテンツサイトのリニューアルプロジェクトの優先度が下がり、メインのディレクション担当から外れる流れとなりました。
*ちなみに.…フェーズ4に関しては2024年からカスタマーマーケチームが発足し、専属のサポートコンテンツサイト担当がつくことにより、サポートコンテンツサイトリニューアルプロジェクトが再開しました。僕としても事業としてもお客様として嬉しいという三方よしの状態により近づいている状態です。
ただ、フェーズ3までに求められていた最終成果としては、当初の達成すべき一指標である
という指標については達成し、2023年上期は訪問数先月比110%~170%の継続達成、コンテンツDL数や閲覧数なども合わせて増加という成果を残し、ローテック施策の土台作りに貢献する事が出来ました。
2022年の大きな課題であった
・エクスパンション獲得に向けての検証
・サポートコンテンツサイトのディレクション
については、個人でもチームでも成果を残すことが出来、CSメンバーの一人としてやりきった一年と言える2022年となりました。
2022年としては、CS部が直面するよくある課題に対して最適化を見つけていくという年でしたが、この記事を読んでいただいているCS関連の方で同じ様な状況もいらっしゃるかと思います。
ただ、早めに着手することや、他社も参考にしつつも、自社における最適化を独自に見つけていくということも重要なということも実感しました。
なのでそんな弊社のCSが歩んできた試行錯誤の一部を何かの参考にしていただければ嬉しいなと思っています。
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