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ONARA RECORD #22「何度でも/DREAMS COME TRUE」

今回ご紹介するオナラレコードは「何度でも/DREAMS COME TRUE」です。

DREAMS COME TRUEは吉田美和と中村正人の2人で結成されたバンドです。元々はとんねるずのサポートメンバーを務めていた中村さんが、1988年のコンサートの際に吉田さんをバックコーラスとして招聘したことがきっかけで結成されたそうです。彼らは1990年代から既に頭角を現し、「笑顔の行方」で初のオリコンTOP10入りを果たすと、その後立て続けに5作品がミリオンセラーとなり、中でも「LOVE LOVE LOVE/嵐が来る」は売上枚数240万枚以上にもなりました。
そんなドリカムの代表作の一つに「何度でも」があります。

▼PV

▼歌詞


さて、まずはこの曲を簡単に3行でまとめてみたいと思います。

本当に伝えたいことは、中々言葉にできない。
だから、何度でも君の名前を呼ぶよ。
10000回ダメでも、10001回目には伝わるかもしれないから。

なんとも素直健気な歌詞です。
私もブログで言葉を扱っていますが、本当の想いなんて簡単に伝えられませんよね。だからこそ吉田さんは「名前を叫べ」と、そうすればきっと想いは伝わるからと。この言葉に多くの国民が勇気付けられたのではないでしょうか。

そんな国民の応援ソングも、実は「オナラレコード」なのです。
一体どんな屁理屈を歌っているのでしょうか。

それは、「騒音おばさん」の屁理屈を歌ったオナラレコードです。
この名前でパッと思い浮かぶ方、そうでない方いると思います。

簡単にご紹介しましょう。

騒音おばさんとは、2005年に傷害罪の容疑で逮捕された実在する人物です。
彼女は近隣に住むとある夫婦に対して、2年半もの間嫌がらせを続けていました。何らかのトラブルがあったそうです。

ただ嫌がらせの手法が独特で、24時間ラジカセを大音量で流し続けたり布団を叩きながら暴言を吐き続けるなど、かなりセンセーショナルな騒音行為を行っていました。

被害者がその様子を撮影した動画をマスコミに提供すると、一気にワイドショーを独占し、一大ムーブメントとなりました。
彼女の「引っ越し、引っ越し、さっさと引っ越し、しばくぞ」という三三七拍子でリズムを取ったキャッチーなフレーズは、当時の小学生たちを虜にしたものです。

ただドリカムとは全く結びつきませんよね。
「騒音」と「音楽」には天と地の差があるというか。

本当に「何度でも」が騒音おばさんの屁理屈を歌っているのか、実際に見ていきましょう。

Let’s ONARA RECORD!!!


こみ上げてくる涙を 何回拭いたら
伝えたい言葉は 届くだろう?
誰かや何かに怒っても
出口はないなら

ここは「騒音」という手段を取るに至った経緯を描いた部分です。

怒りと悔しさで、幾度も涙がこみ上げてくる。
あと何回、この涙を拭いたらあの夫婦は出て行ってくれるだろうか。

私の思いは「いつ」届くのだろうか。

もちろん感情的になっても、怒りに身を任せても解決しないことだって分かっている。
でも、話が通じていたら、はなからその時点で解決しているはずだ。

四面楚歌。八方ふさがり。
どうあがいても、出口がないのなら。


何度でも何度でも何度でも
立ち上がり呼ぶよ
きみの名前 声が涸れるまで
悔しくて苦しくて
がんばってもどうしようもない時も
きみを思い出すよ
10000回だめで へとへとになっても
10001回目は 何か 変わるかもしれない

ここは「騒音」を出し続ける際のやりきれない感情を描いた部分です。

何度でも、何度でも、何度でも、私は立ち上がる。
時に布団叩きを振って、時にクラクションを鳴らして、彼らの名前を叫び続ける。

声が枯れ果ててでも。
命をかけてでも、叫び続ける。

マスコミに映像を渡し、良いように報道される。
悔しくて、苦しくて、どうしようもないって思える日もある。

でも、憎いヤツらの顔を思い出して立ち上がるんだ。
たとえ野垂れ死ぬことになっても、一矢報いてこの生涯を遂げるんだ、と。

そうすればいつか奴らも根負けするかもしれない。
10000回ダメでも、10001回目は何かが変わるかもしれないから。


口にする度 本当に伝えたい言葉は
ぽろぽろとこぼれて 逃げていく
悲しみに支配させてただ
潰されるのなら

ここは段々と自らの狂気に気づき、怯えていく場面です。

「さっさと引っ越し」
「ざまーみろ」

昔の私ならそんな言葉は使わなかったはずだ。
でも今は息をするように暴言が溢れ出してくる。

もはや、自分が何を言っているのか分からない。
本当は仲直りしたいのかもしれない、平穏に暮らしたいだけなのかもしれない。

でも本当に伝えたい言葉はぽろぽろとこぼれて、逃げていく。

ただ私だけが悲しみにふせって、潰されるのは御免だ。
そんな風になってしまうぐらいなら。


何度でも何度でも何度でも
立ち上がり呼ぶよ
きみの名前 声が涸れるまで
落ち込んでやる気ももう底ついて
がんばれない時も きみを思い出すよ
10000回だめで かっこ悪くても
10001回目は 何か 変わるかもしれない

ここから、更に想いをヒートアップさせていきます

何度でも、何度でも、何度でも、私は立ち上がる。
時にカメラを向け、時に家を飛び出して、時に水を撒いてやる。

声が枯れ果ててでも。
誰にどう思われようと、叫び続ける。

裁判でもどんどん不利になっていく。
上告も却下されてしまうだろう。

もうやる気も底ついて、頑張れない。
そんな時は、やっぱり奴らの顔を思い出すんだ。

10000回ダメで、カッコ悪く、醜く取り上げられても。
10001回目は誰か、分かってくれるかもしれない。


前を向いてしがみついて胸掻きむしって
あきらめないで叫べ!

後ろを向いちゃダメ。
こんな時こそ、毅然とした態度で前を向かなくちゃ

しがみついてでも、胸をかきむしって、己を奮い立たせる。
諦めないで、美代子、叫べ!


(中略)
この先も躓いて傷ついて傷つけて
終わりのないやり場のない怒りさえ
もどかしく抱きながら

この先、今回の件で人生を棒に振ってしまうかもしれない。
でも人生はいつだってきっとそう

傷ついて、傷つけて、終わりのないやり場のない怒りさえ、もどかしく抱きながら生きていくの。
楽なことなんて何一つないわ。それが自分を貫くということよ。


どうしてわからないんだ?伝わらないんだ?
喘ぎ嘆きながら 自分と戦ってみるよ
10000回だめで 望みなくなっても
10001回目は 来る

本当の敵は奴らじゃないのかもしれない。
大事なのは、自分に嘘をつかないということ。

「どうして分からないんだ」
「なぜ伝わらないんだ」

そんな風に喘ぎ、嘆きながら、自分と戦っていこう。

10000回ダメだって、望みが無いように思えたって。
10001回目は必ず訪れる。


きみを呼ぶ声 力にしていくよ 何度も
明日がその10001回目かもしれない…

裁判には負けた。
2年近くもの間拘置され、賠償金まで取られてしまった。

でも私は何一つ失ってなんかいない。
奴らを憎むこの想い、心だけは奪い取られていないから。

何度でも立ち上がる。
そう、明日が10001回目かもしれない


いかがでしょうか。
如何にも迷惑で、乱暴なモンスターとして報道され続けた騒音おばさん。彼女のやり方は多分に社会的でない部分がありました。

でも、彼女は誰よりもピュアに、自分を貫こうとしただけなのかもしれません。
かつて、幕末の志士たちがそうしたように。


P.S.今回の作品はプロモーションムービーもございますので、ぜひご覧ください。


サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。