世界に散らばる自分と再び繋がるために、私はセックスをする
あなたには何か趣味はありますか?
なぜ自分がその趣味が好きなのかを深く考えたことはありますか?
ちなみに私にはこんな趣味があります。
・音楽鑑賞
・読書
・映画鑑賞
・バイク
・混浴露天風呂
これらは一見バラバラに見えるんだけど、2〜3年前から自己理解を進める中で、実は共通して「自身の身体を拡張することによって、(かつては自分そのものであった)世界との再融合を果たすことを目的としている」ことに気づきました。
私は、世界を自分自身の一部だと思っているらしい。
そして、世界中に散らばった自分のかけらと繋がって融け合いたいらしい。
今日はその「身体の拡張と世界との融合」という感覚について考察してみます。
音楽
幼児が音楽に乗って自然と踊り出す姿を見ると、音楽には本能的に人の感情を揺さぶり肉体を動かすパワーがあることを感じます。
私が音楽に求めているのも、そういった原初的な衝動です。
歌詞に共感する・文化的喜びを得るために聴くというよりも、「命を輝かせたい」とでも言うのか。
好きな音楽を聴いていると、自分という存在が肉体という境界を超えて、外へ外へと広がっていく感じがします。
私はその感覚を「身体の拡張」と表現しています。
読書・映画鑑賞
この2つも、私にとっては身体を拡張させるツールです。
「この登場人物は作中でこういう役割を担っていて、この演出はこういう効果があって…」みたいな作品考察よりも、「それによって私はどう感情を揺さぶられたか」「私の中でこの作品をどう咀嚼し取り込むか」と、「自分」に関連付けて味わいます。
だからか、ビジネス書のような情報を得るための読書が苦手です。
村上春樹が好きという理由だけで大学は文学部に進学しましたが、専攻で「日本文学」を選ばなかったのも、客観的な作品考察にワクワクを見出せなかったからだと思います。
バイク
バイクに乗ることは身体の拡張そのものです。
生身では到底出せないスピードで走っている時の、身体がバイクと融合するような一体感、体中からエネルギーが湧き出て思わず叫びたくなるようなあの興奮は、音楽を聴いている時の感覚に限りなく近いです。
身体がどこまでも薄く遠く広がって世界と融け合っていくような感覚になります。
つまり「身体の拡張」の先に「世界と融け合う」ことに喜びを感じているんです。
混浴露天風呂
私にとっての混浴露天風呂とは、「混浴であること」そのものに価値があるわけではなく、「人目をさえぎる」という要件を無視して作れるところに最大の魅力があります。
つまり山の真ん中でも、川の真ん中でも、お湯が湧き出る場所にそのまま穴を掘って作れる。隠す必要がないから衝立も囲いも要らない。脱衣所さえないところもあります。
一糸纏わぬ姿で、大自然のど真ん中でお湯に浸かっていると、自分と世界を隔てるものがすべて消滅して、地球とダイレクトに繋がったような感覚になります。
身体が究極まで拡張して、そのまま地球全体に溶け込んでいくようなその感覚は、めちゃくちゃ気持ちいいんです。
なぜかその時私は不思議と「愛」を感じます。
世界中に散らばる私のかけら
どうやら私は何とかして自分と世界を融合させようとしているみたいです。
音楽、文章、私の周りにいる人々、そして自然や世界。
あらゆるものの中に「私」の存在を見つけ出して、繋がろうとしています。
「寄生獣」という漫画で、攻撃を受けてバラバラになってしまった寄生生物の多数の肉片が、互いに微弱な信号を発し合いながら再結合しようとするシーンがあります。
私はあの寄生生物のように、自分以外の他者の中にあると信じる自分のかけらと繋がることを求めて、自分の身体を拡張して他者へ潜り込む試みを繰り返し続けているのだと思います。
だから私はセックスも好きです。
セックスってダイレクトに「自分の身体を拡張して他者へ潜り込む」という行為ですよね。女なので物理的には潜り込めないけど(笑)、感覚的には「わたし」というプラグを相手の男性の奥深くに挿し込みにいくようなイメージを持っています。
他者の中の自分を取り戻す
奥まで入って、深く繋がりたい。
それは、一見すると他者を求めているようで、実は真逆の「自分を取り戻す」というエゴに根ざしています。
世界中に散らばった自分のかけらを集めながら、そのまま世界を一つに結合しようとしています。
「ほんとうの愛」というものがあるとしたら、そういうものなんじゃないか、と私は思っています。
自分と他人の境界線がなくなって、全てが一つに溶け合っている状態。
もちろん実際には自分と他人の間には明確な境界線があり、他者を完璧に理解することなどはできないけど。少なくとも私の側の境界線だけでも可能な限り曖昧にして、自らの身体を拡張しようとつとめています。
それこそが、私にとっての愛の実践です。
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