ポップアップストア開催の目的は店舗での売上ではない | 中国スタートアップ
中国版TikTokやWeiboにはEC機能がついており、SNS上で商品を販売することが非常に簡単になっています。
自分のフォロワーに対して直接商品を販売することができるため、フォロワーが多数ついているインフルエンサーが自社ブランドを立ち上げたり、オンラインでセレクトショップを開店したりといったケースがかなり増えています。
それに伴い、最近中国ではポップアップストアプロデュース企業が続々と立ち上がっています。ポップアップストアとは、期間限定のオフライン店舗のことです。通常1週間〜1ヶ月ほどの期間で開店されます。
普段はオンライン上でしか販売していないブランドやセレクトショップが、ポップアップストアを開店したいという需要が増え、プロデュース企業も増加している状況です。
ポップアップストアプロデュース企業の中の1つの、オレンジファクトリー(橙工厂)の方とお話しする機会がありましたので、その時の内容をシェアします。
オレンジファクトリーの業務は主に下記の3つです。
・開催場所の選定
・ストア設計
・店舗運営
クライアントにヒアリングし、オレンジファクトリーが契約している50,000以上のスポットの中から適切な場所を選定します。
次にブランドの世界観をベースに店舗のデザインを設計します。提携パートナーである設営企業とともに、実際に形にしていきます。
ポップアップストア開催期間には、店舗のスタッフの手配や、インフルエンサーを活用したプロモーションまでオレンジファクトリー側で行います。
オレンジファクトリーの案件を1つご紹介します。
クライアントは1MOREというイヤホンを販売している会社です。20代女性をターゲットとしているため、ポップアップストアは上海で最もファッショナブルと言われているIP MALLで開催されました。
ピンクだらけにも関わらず可愛すぎない、スタイリッシュな空間となっており、ターゲットとなる年齢層が写真をアップロードしたくなるような店舗デザインがなされています。
また、インフルエンサーも招致し、ライブ配信などを通じて店舗に来れない人にもブランドの世界観を伝えることができました。
オレンジファクトリーのクライアントは、ポップアップストア開催中の店舗での売上はほとんど気にしていないとのことです。
重要なのは、①ブランドの世界観を伝えることができているか、②ECの売上に繋がっているかの2点です。
ECサイト上では残念ながら、ブランドの世界観を伝えることはまだ難しいです。特にTikTokやWeiboではオンライン店舗のデザインを細かく変更することができません。オレンジファクトリーのほとんどのクライアントが、オンラインでは伝えづらいブランドの世界観を、ポップアップストアで表現しようとしているとのことです。
また、ポップアップストアは基本的には1ヶ所で開催されるため、来たいと思っても来れない人がほとんどです。中国は広いので、尚更です。オレンジファクトリーのクライアントは、ポップアップストアの開催中、オンラインの売上も増加するとのことです。それはインフルエンサーや一般人がポップアップストアの様子をSNSにアップロードし、プランドの知名度が広がるためです。
日本でもD2Cが長らくバズワードになっています。ポップアップストアの需要も今後増えていくことでしょう。売上を目的とするのか、それとも違うポイントを目的とするかで、やるべきことは変わってきそうです。