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かく・よむ・はなす とみえてくる 『地域のいい場のフィールドノート』

みなさん、こんにちは。「石神井いとなみの起点」プロジェクトの竹内(デジタル・アド・サービス)です。

#02、#03の記事では、石神井のまち歩き、そして、プロジェクトのコンセプトづくりのワークショップについてお伝えしました。

#02:プロジェクトのコンセプトづくり 前編『まちと出会う、まちを感じる』 

#03:プロジェクトのコンセプトづくり 後編『コンセプトづくりのワークショップ』

#03の記事では、「観察シート」を使って、まちでの出会いや気づきを記録し、共有する様子をお伝えしましたが、今回は「観察シート」に関連して、『地域のいい場のフィールドノート』のことをご紹介したいと思います!


1. きっかけは「地域貢献を考える」ワークショップ

こちらが『地域のいい場のフィールドノート』!

発行:社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会
企画・編集:社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会/株式会社デジタル・アド・サービス

『地域のいい場のフィールドノート』は、地域のいい場を紹介する「観察シート追体験パート」と、観察や記録のポイント、他の人との共有や対話のやり方を紹介する「ノートブックパート」の2つのパートで構成されており、
まちのこと、地域のことを見つめ直し、考えるたくさんのヒントが散りばめられている1冊です。

この『地域のいい場のフィールドノート』は、2021年に、社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会法人本部にて、理事、監事を中心に30名程のメンバーが集まって行った「私たちらしい地域貢献を考える」をテーマとしたワークショップをきっかけに生まれました。

ワークショップは、事前ワークとして「社会福祉法人のなすべき地域貢献」「東京都手をつなぐ育成会のなすべき地域貢献」を直接的に考えるその前に、「1人の生活者として思う地域のいい場」を観察し、記録することからスタートしました。「障害のある方にとって地域に必要な場とは?」「多様な人が共生できる地域の場づくりとは?」「社会福祉法人のなすべき地域貢献とは?」もし、こんな問いが先にあったら。もちろん、そこには「適切な」意見やアイデアがあったかもしれません。でも、「◯◯の組織の」「◯◯という肩書きの」といった1つだけの属性だけでは表現しきれない、1人の生活者としての、1人ひとりの体験、1人ひとりの感じ方を起点にしたいと思ったのでした。

そして、もう1つの特徴は、観察し、記録する対象を場所(空間)に限定せずに、環境、設え、コミュニティ、システム、ルール、活動などを広い視野で「場」を捉えてみること。

こうして、ワークショップ当日には50枚を超える記録「観察シート」が集まりました。

2. 追体験が心地よいという気づき

ワークショップが終わったある日、ふと「地域のいい場」の記録を読み返していました。すると、自分は知らない、訪れたことがない場であっても、他の人の記録を追体験することで、ほっこりしたり、豊かさを感じたり、地域の場について誰かと話してみたくなる、そんな感覚になることに気がつきました。

そんな自分自身の体験から、地域のいい場を観察し、記録するできるプロセス、追体験することによる心地よさ、共有し、まわりの人と話すことができる機会が増えていったらいいなぁ・・・と思い、ワークショップの参加者が記録した観察シートをまとめて、1冊の本にしてみたのが『地域のいい場のフィールドノート』です!

また、手にとった人たちが、それぞれの地域でも記録や対話ができるように、ノートブックパートもつくりました。それが、今回の石神井のまち歩きでも使用した「観察シート」です。

ノートブックパートにはワークショップに使えるフレームも掲載

3. アクションと体験をともにする

『地域のいい場のフィールドノート』からは「観察・記録する」「見る・読む・知る」「対話・共有する」という大きく3つのアクションが生まれてきます。

2023年8月、東京都手をつなぐ育成会では『地域のいい場のフィールドノート』のノートブックパートを活用し、北区にある3つの施設の職員や他の区の施設職員、また北区内の他事業者からもご参加いただき、「地域のなかでのありたい姿とそのためのアクションを発想する」をテーマとしたワークショップを実施しました。

多くの参加者にとって、ふだんから活動をしている身近な存在である地域も、探索し、記録するというプロセスを経たこと、また、他者の視点での記録にふれることで、「地域のいい場」に改めて出会い、気づく機会となりました。

また、気づきをもとに「福祉施設が地域のなかで『いい場』であるためには?」というテーマに向き合い、これからのありたい姿とそこに向かっていくための活動や取り組みのアイデアを参加者どうしのコミュニケーションのなかから発想参加者がアクションと体験をともにすることで、未来を描き出す共創の場となったワークショップでした。

4.「地域のいい場」のタネをまく

「地域のいい場」は、さまざまな背景や価値観、らしさをもつ多様な主体が、ともに考え、描き出せるもの。『地域のいい場のフィールドノート』をつくるきっかけとなったワークショップ、「石神井いとなみの起点プロジェクト」のコンセプトづくりのワークショップ、北区でのワークショップなどの体験から感じています。

いずれのプロセスも、1人の生活者として、地域のいい場を観察・記録することからはじまっています。それは、「◯◯の組織の」「◯◯という肩書きの」といった1つだけの属性だけでは表現しきれない、多様さを内包する「わたし」を意識してみることでもあります。それは、1人ひとりの「わたし」としての感じ方への気づき、地域やそこにある場への気づきという、ちょっとした、でも大切な遠まわりなのではないかと思っています。

「観察・記録する」「見る・読む・知る」「対話・共有する」。『地域のいい場のフィールドノート』が、まちや地域に向き合い、アクションを起こす小さなタネをまくことができたらうれしいです。

▶︎『地域のいい場のフィールドノート』は、こちらで公開(電子ブック)していますのでぜひご覧ください!


✍️ 次の記事では「2050年 東京のいとなみ」と題し、未来のシーンを絵と言葉で表現した試みについてお伝えします!

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🌱 このnoteでは、こんなコンテンツを展開していきます!
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・VISION:中⻑期の視点でのプロジェクトの考えや思いを伝える
・TEAM:インタビューや対談で、プロジェクトの⼈を伝える
・ACTION:プロジェクトでのリアルな活動を伝える
・FIELD:⽯神井のまちとそのいとなみを紹介する
・LAB. :学術機関や企業との共同研究からの学びをシェアする
・STORY:ここで生まれるいとなみを想像し、言葉や絵で表現する
・MEETING:プロジェクトを通じて出会い、つどい、つながる
・PICK UP:思考や対話の起点となる視点を共有する


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