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プロジェクトのコンセプトづくり 後編『コンセプトづくりのワークショップ』

みなさん、こんにちは。「石神井いとなみの起点」プロジェクトの竹内(デジタル・アド・サービス)です。

前回の記事に続いて、今回はプロジェクトの「コンセプトづくり」について、後編『コンセプトづくりのワークショップ』をお伝えいたします!

前回の記事:
プロジェクトのコンセプトづくり 『前編 まちと出会う、まちを感じる』 

1. まちでの出会いや気づきを記録する

まち歩きを終えたプロジェクトメンバーはそれぞれ、石神井のまちの「観察シート」を作成しました。

観察シート

観察シートとは?

✔︎ まち(地域)を歩いて、気になった「場」を記録するためのシートです
✔︎ このとき「福祉の・・・」「◯◯◯という立場の・・・」といったことだけに囚われすぎず、1人の生活者としての視点を大切にします
✔︎ 場所(空間)はもちろん、環境、設え、機会や活動、人やコミュニティ、システムやルールなども広く「場」と捉えてみます
✔︎ その「場」にどのように出会ったか、気になる理由、そこにある要素、そこで人がどんなふうに過ごしているのかなども観察して記録します

ワークショップの前にそれぞれが作成した観察シートを共有しました。

メンバーが作成した「観察シート」の一部

2. ワークショップのプログラム

石神井のまち歩きから約1ヶ月後、再び、プロジェクトメンバーが集まりました。今回のコンセプトづくりのワークショップにも、東京都手をつなぐ育成会、東京都手をつなぐ親の会、建築事務所、オフィスや学校、福祉・医療施設に関わる総合商社、デザイン会社から、12名のメンバーが参加しました。

ワークショップの流れはこんな感じ。

① コンセプト発想シートの共有
② コンセプト発想シートへの多様決投票
③ 多様決投票を終えてのコミュニケーション
④ コンセプトの再アウトプットとコミュニケーション
⑤ コンセプトの方向性の決定
⑥ コンセプトの方向性からのアイデアフラッシュ
⑦ ラップアップ/チェックアウト

まち歩きの体験も手がかりの1つにしながら、さまざまな背景や経験をもつメンバーが、感じていること、考ていることことを伝え、聴き合うプロセスを通じ、拠点と拠点のあるまちの未来のありようをともに描き、コンセプトのベースとなるエッセンスを抽出するプログラムです。

3. 未来のまちのシーンを想像する

コンセプトづくりのワークショップに向けて、観察シートの作成の他に、もう1つ事前ワークに取り組みました。それが「コンセプト発想シート」の作成です。

コンセプト発想シート

コンセプト発想シートとは?

✔︎ プロジェクトメンバーそれぞれのもつ経験や視点、事前に⾏ったエリア探索での体験などをもとに、新しくできる拠点のプロジェクトのコンセプトを発想します
✔︎ また、10のキーワードを切り口に、拠点、また拠点があるまちでは、未来にどのような景⾊、シーンが⾒られるとよいかもイメージします

メンバーが作成した「コンセプト発想シート」

ワークショップは、それぞれが作成したコンセプト発想シートをプレゼンテーションし、共有することからはじまりました。

プレゼンテーションの様子

4. コンセプト案をめぐるコミュニケーション

コンセプト発想シートのプレゼンテーションをうけて「共感! いいね!」というものに【❤️】、「エッジが効いてる! チャレンジング! でも⼤事かも!」というものに【⭐】、「質問してみたい!掘りさげたい!」というものに【🔵】のシールを貼り投票を⾏いました。

ここでは、コミュニケーションのきっかけに「多様決投票」という方法を使いました。多様決は、誰もが共感する考えやアイデアだけでなく、ちょっととがっているけれど気になる、⼤事かもしれないという考えやアイデアも⼤切にし、残していく⽅法です。

多様決投票をベースに、【❤️】【⭐】【🔵】シールの貼られていることがらを中⼼に深ぼりや意⾒交換などのコミュニケーションを⾏い、お互いの考え、思いへの理解を深めるとともに、コンセプトのより豊かな発想へとつなげていきました。

深ぼり、意見交換や情報共有が行われたいくつかのテーマをご紹介します。

地元に根付いたグループホームのあり⽅とは/地域の縁側とは/伴奏できる⽀援者とは/リンクワーカーとは/医療連携のイメージとは/次世代育成をしていくイメージとは/まちと交わるしかけとは/憩いの森のような住まいとは/地域福祉活動に興味、関⼼がある⼈とは/練⾺区内の⾯的整備や連携とは などなど

多様決投票とその後のコミュニケーションの様子

5. 2つのキーワード

プロジェクトメンバーのもつ、さまざまな経験や専門性、興味・関心によりもたらされた発想や情報、意見や問いかけが混ぜ合わせられることにより、それぞれのなかでのプロジェクトへのイメージや思いも変化していきます。ここまでのプロセスを受け、もう一度、コンセプト案を1⼈ひとり考え、アウトプットし、プレゼンテーションを⾏いました。

再びの多様決投票と意⾒交換を経て、2つの⽅向性が決定しました。それは「起点」という言葉をコンセプトのキーとすること、そして、その起点となるまち・地域として「石神井」を明確に打ち出すこと。

「起点」に込めた思いについて、発案者の言葉をご紹介します。

最初は拠点としていましたが、「起点」としました。
やはり「つながり」はキーワード。そのつながりにも、利⽤者さん、医療関係者、⽀援者、地域のように多様なつながりがあります。それをともにつくっていく必要があります。
東京都手をつなぐ育成会の皆さんといっしょにお仕事をさせていただくなかで、新しいことをつくっていこう、これまでを変えて、何かやりはじめようという考えが強いことを感じています。今回のワークショップでも、プロジェクトのメンバーからチャレンジという⾔葉がありました。
何かのきっかけをつくるという意味でいうと、このメンバーではじめることも含め「起点」となりチャレンジすることで、新しいものが生まれ、この場所が新しいつながりをつくっていくことにつながるといいなと思って「起点」としました。

最後に、決定したコンセプトの方向性、コンセプト発想シートの10のキーワード等から、この拠点でどんなことができたらよいだろう? これから先のより具体的なプランニングへとつながるアイデアの種まきを行い、ワークショップは終了となりました。

プランニングへとつながるさまざまなアイデアを発想、共有

後日、さらに意見交換を行い、「起点」と「石神井」という2つのキーワードをベースに「いとなみ」という言葉が加わり、コンセプトができあがりました。

■ プロジェクトのコンセプト

まちは、変化しながらも続いていく、多様な人たちの「いとなみ」とともにある場だと思います。

プロジェクトが、新しくできる拠点が、いまいるメンバーだけでなく、利用者さんはもちろん、これから出会っていくさまざまな人にとっての「起点」であることを、そして、⼈とまちとがともに、しなやかに変化を続けることで、誰もが⾃由な個⼈としての「いとなみ」を選び、⽣き続けていける未来へとつながるものであることを強く願っています。

✍️ 次の記事では、いろいろな人たちといっしょに地域やまちのことを考える体験づくりにおすすめの『地域のいい場のフィールドノート』についてお伝えします!

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🌱 このnoteでは、こんなコンテンツを展開していきます!
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・VISION:中⻑期の視点でのプロジェクトの考えや思いを伝える
・TEAM:インタビューや対談で、プロジェクトの⼈を伝える
・ACTION:プロジェクトでのリアルな活動を伝える
・FIELD:⽯神井のまちとそのいとなみを紹介する
・LAB. :学術機関や企業との共同研究からの学びをシェアする
・STORY:ここで生まれるいとなみを想像し、言葉や絵で表現する
・MEETING:プロジェクトを通じて出会い、つどい、つながる
・PICK UP:思考や対話の起点となる視点を共有する


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