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#292 初任給が4000円の時代があった?

2022年の大卒新入社員の初任給は22万8,500円だ。

オリックス銀行「社会人の初任給と手取りの平均は?
大卒と高卒の違いについても解説」

30代、40代の世代からすると少し多くなったという印象を受けるのではないだろうか。

長い目で見ると、労働者の賃金は少しずつ上がっている。
少しずつ物価が上昇しているからだ。

人事院は国家公務員の初任給の推移を公表している。
全体の平均より若干低くなっているが、国家公務員の給与は民間企業の給与と大きな差がないように設定されているので、日本の給与の変遷を確認する上では参考になるだろう。

資料「国家公務員の初任給の変遷」をもとに初任給の変遷をまとめてみた。

昭和24年(1949年)※統計開始年=4,223円
昭和39年(1964年)(東京オリンピック)=18,100円※上級(乙)
昭和48年(1973年)(オイルショック)=53,500円※上級(乙)
平成元年(1989年)(バブル経済)=126,300円※二種
平成14年(2022年)=171,500円※二種
令和4年(2022年)=185,200円※一般職

国家公務員の初任給の変遷(行政職俸給表(一))をもとに作成

1949年の給与は何と4223円
現在では飲み会に1回行けば消えてしまいそうな金額だ。

なぜ給料が低いのかというと、物価が低かったからだ。
物価の指標となる「消費者物価指数」を見てみると、1950年と比べ、現在の日本の物価は約8.9倍になっている。

1950年の初任給は6500円
前提が違いすぎるので単純な比較はむずかしいが、初任給は約28倍になっている。

物価の上昇に対して給料の上昇がの方が圧倒的に大きいことから、日本人の生活は豊かになったと言えるだろう。

一方、ここ数年の日本は物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていないため生活が苦しいと言われている。

また、初任給の変遷を見ることで分かるのはインフレリスクだ。
インフレリスクとは、少しずつ物価が上がっていくこと(インフレーション)によりお金の実質的な価値が下がってしまうリスクのことである。

仮に、1950年の初任給を全額大事に保管していたとしよう。
70年前に1か月働いて貯めたお金は、現在では1日アルバイトをすれば余裕で稼げてしまう金額でしかない。

今後の日本でどこまでインフレが進んでいくかはわからないが、インフレリスクは絶対に知っておかなければならないお金の知識である。

【目次】

【参考】



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