#44 イスラム教徒が豚を食べてはいけない合理的な理由

イスラム教徒が豚を食べてはいけない理由は、イスラム教の経典である「コーラン」にそのように書いてあるからである。そして、豚は不浄な動物とされている。それが理由で食べてはいけないとは書かれていないが、イスラム圏では豚に対して悪いイメージを持っている人が多く、その結果実際に食べられていないのである。

さて、ここからは合理的な理由である。イスラム圏は地理的におおよそ乾燥帯と重なっている。牛やヤギが人間が食べられない草を食べて反芻を行い効率よく成長していくのに対し、豚は雑食で主に穀物を食べる。乾燥帯において穀物は重要な人間の食料である。食物の輸出入が当たり前でなかった時代、乾燥帯の人々にとって穀物を豚と競合している余裕はなかった。
さらに、牛やヤギと違い、搾乳しづらい、味にクセがあるといった理由で乳の利用も難しい。乾燥帯では家畜として豚を育てることは合理的ではないのである。

同じくコーランで禁止されているアルコールや女性の肌の露出についても、水分を大切にする、砂ぼこりから肌を守るといった乾燥帯特有の合理的な事情がある。宗教の教義はその地域の地理・気候に大きく影響を受けているのだろう。

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