#378 教育版桃太郎電鉄をやってみた
最近教育業界ではゲームを教育に取り入れる「ゲーミフィケーション」が注目されている。
そんな中、社会科教員の中で話題になっているのが教育版桃太郎電鉄だ。
桃鉄で日本の地理を学んだという人も多いのではないだろうか。
そんな桃鉄を授業でやってしまおうというのが教育版桃鉄だ。
本記事では、実際に教育版桃鉄を使ってみる方法、使ってみた感想を紹介する。
1.教育版桃太郎電鉄の始め方
①学校教育機関登録をする。
教育版桃鉄は、リンクとパスワードさえあれば、アプリのダウンロードは不要で、ブラウザで利用することができる。
そのためには、教育機関としての登録をする必要がある。
まずは、以下のサイトから登録作業を行う。
②授業を設定する
登録が完了すると、運営から以下の3つがメールで送られてくる。
(1)管理用ツールへのダウンロードURL
(2)管理用ツールへのログインパスワード(IDは登録したアドレス)
(3)ゲーム起動用のURL
まずは、管理用ツールをダウンロードして、授業を設定する(操作は感覚的にできて簡単です)。
設定するのは基本的にはゲームをプレーできる期日と時間のみでOK。
授業を設定すると、数字8桁のパスワードが表示される。
③生徒に起動用URLとパスワードを伝える
(※ここから実際の授業)
授業で実際にゲームをプレーする場合は、運営から送られてきた起動用URLを生徒に伝える。
学校で使用しているICTツールで共有するのが手っ取り早いだろう。
そして、②で設定した授業のパスワードを伝えて入力させる。
生徒は一度ゲームを起動するとタブでほかのHPを見るのが面倒くさいので、パスワードは黒板に書くとよい。
④ゲームのルールを設定させる
ここが一番重要な過程。
まず、1人プレーか複数人プレーかを選ぶ。
選べるのは、以下の選択肢。
1人プレー=1人+COM2人のみ
複数人プレー
・2人+COM1人
・2人+COM2人
・3人+COMなし
・3人+COM1人
・4人+COMなし
おすすめは、1人プレーか、2人+COM1人、3人+COMなし。
COMも入れてプレー人数が多くなればなるほど時間がかかってテンポが悪くなる。
オンラインでのマルチプレーには対応していないため、生徒複数人でプレーする場合は、1つの端末を複数人で交代で操作することになる。
実際のすごろくをやっているような感じだ。
なので、プレーできるグループはMAX4人。
5人以上で同じ画面を共有してプレーすることはできない。
ちなみに1人プレーだと1年15分、2人以上だと30分かかる。
複数人プレーは1人プレーの倍の時間を見ておくといいだろう。
④ゲーム開始&終了
ゲームが始まってしまえば、生徒は勝手にゲームシステムを理解してグループごとに熱中する。
ゲームの締めは3月の決算なのだが、どうしてもグループごとにタイミングがずれてしまうため、一律に終わらせるのが難しい。
そんな時は、管理ツールを開いておいて、「中断」ボタンを押す。
すると生徒の画面は強制的にストップするので、アドバイスをしたり、ゲームを終わらせたりしたいときはこの操作が必須となる。
2.教育版桃太郎電鉄をやってみた感想
①子どもってすごい
実際にやってみるまでは、桃鉄をやったことがない生徒も多い中でスムーズにゲームを進めることができるか心配していた。
でも、そんな心配はまったく無用だった。
桃鉄初心者の生徒も、1人残らず細かいルール説明は不要で楽しんでいた。
あらためてゲームに対する子どもの対応力の高さを思い知った。
また、桃鉄熟練者の生徒が初心者の生徒にアドバイスをする場面もあり、微笑ましかった。
中にはパチプロのように収益率の高い物件を機械的に買っていく生徒もいた笑。
②物件や収益率については解説が必要
桃鉄は、目的地にたどり着くことに加えて、各地で物件を買って収益を増やしていくことが醍醐味だ。
しかし、そこに関しては桃鉄初心者にとっては理解が難しかった。
なので、物件を買って資産を増やすことが目的のゲームであること、収益率については別途解説が必要だと感じた。
③レクとして楽しむか、カリキュラムとして組み込むか
私はテスト返しの後の30分程度の時間を活用して遊ばせてみた。
正直、遊んで終わりという印象だった。
学期末や隙間時間のレクとしては盛り上がるし、とても面白いと思う。
しかし、これをレクではなく授業の一環として取り入れようとすると、相当綿密な計画が必要になると感じた。
旅行パンフレットを作成させるアクティブラーニング的な授業実践もあるようだが、1~2時間ではプレーさせるのが精いっぱいで、そういったクリエイティブな活動に盛り込むのは難しい。
個人的には隙間時間のレクで終わってしまうかなという印象を受けた。
しかし、時数に余裕されあればいろいろな活用の可能性はあると思う。
④正直、全国をとびまわってみたい
自分で何回か試しにプレーしたこともあったが、生徒のプレーを見ていても、全国版でプレーしても目的地が近隣に設定される仕様になっているようだ。
子どもたちも、「また千葉じゃん!」「また神奈川じゃん!」のように関東から脱出できないことにやきもきしている反応もあった。
これは、3年がMAXという限られた時間内でプレーをすることが前提のためだと思うが、桃鉄のだいご味である日本全国を旅するという感覚を味わえないのは少し残念だった。
1コマ使って3年プレーをすれば、〇〇カードもあるし、少なくとも全国版プレー時はもっと遠くに目的地を設定できる仕様でも問題ないと思った。
これは今後のアップデートに期待したいところだ。
⑤運営のサポートが手厚い
桃鉄を授業で行うにあたり、不明な点があったので何度かKONAMIのサポートデスクに問い合わせをしたことがあった。
すると、夕方に問い合わせをしたにもかかわらず1時間後くらいに返答が来るなど、とにかく運営側のスタッフの方の対応が手厚く、回答内容もとても真摯に回答してくださっているという印象だった。
これは運用してく教師としてはとても心強い。
KONAMIさんと一緒に桃鉄で授業実践をつくっていきたいという気持ちになる。
わたしは今年度で社会科教員は一休みになるからしばらくはできないが、復帰した際はまたぜひ活用させていただきたいと思った。
とにかく、こんなにもクオリティの高いゲームを無料で提供してくださっているKONAMIさんには感謝の気持ちでいっぱいである。
⑥桃鉄をやりたくなる!
教育版桃鉄をやることのメリット(弊害?)は、自分自身が桃太郎電鉄をプレーしたくなってしまうことである笑。
言わずもがなゲーム版の方が刺激があってさらに面白い。
授業を通して桃鉄の沼にはまってしまった地理教員もいるのではないだろうか?
【目次】
【参考】
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