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目の前の「人」を最大限にもてなす。「接客」という仕事の真髄をひも解く(後編)

こちらは対談の【後編】記事です。【前編】記事はこちらからご覧ください。

ヘアーアーティストRISAさん、レストランマネージャー支配人GOさん。
今回はお二人に3つのテーマについて、トークしていただきました。

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中村 梨沙(なかむら りさ)
美容師
株式会社Kiitos 代表取締役社長

経歴
▪️千葉県大手美容室勤務(10年)内、一年香港店に勤務
▪️同僚独立開業のオープニングをアシスト3年間
▪️2014年8月8日独立「Kiitos」オープン 
人も物も末永く大切に…"をコンセプトに『えがお』の絶えない美容室でありたい。繋がりを大事にするお店を目指してます。

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大場 剛(おおば ごう)
レストランマネージャー / 支配人 / ソムリエ

経歴
▪️名古屋ヒルトンホテル
▪️名古屋マリオットアソシアホテル 開業メンバー。スカイラウンジ、鉄板焼き、コーヒーショップ、カフェバーのマネージャーを歴任
▪️トランジットジェネラルオフィス入社
名古屋ゲートハウス、銀座オーパス、博多都ホテル・サムウェア、バーミキュラビレッジ、丸の内アッパーの開業に携わり、現在に至る。

テーマ「接客あるある」
癖でそこのスタッフの動きを目で追ってしまう。良い所は盗んでいく。(GO)
相手の気持ちが解かるから、良い接客をされたいので良いお客様になろうと。(RISA)

ー 先ほど、GOさんのお話から出ました『接客あるある』。お二人もエピソードは沢山あると思いますが、その中でも、うん!あるある!を伺いたいです。

GOさん(以下G) やっぱり自分が他のレストランに食べに行っても、相手の気持ちが解かるから、絶対に変な事はしないというか。(笑)逆にこっちが気を使ってしまう。あとは、癖でそこのスタッフの動きを目で追ってしまう。良い所は盗んでいくっていうか。なので目の動きが怪しいっていうあるあるね。

RISA(以下R) それは有りますね!見ちゃいますよね。よっぽど雑な接客をされたらおや?ってなりますけど、相手の気持ちが解かるから、良い接客をされたいので良いお客様になろうってなりますよね。良いお客様になった方がより一層良い接客をして貰えるかなと。同じ人間なので、興味を示すことで接客する側も楽しくなるって思うし、そう思いますね。

G あ、それはおもいますね。逆にその方が情報を仕入れられるし、勉強になるしね。

R 逆に接客してる時のあるあるで、お客様に言われる事ってありますか?

G あ、コメントでよく言われるのは『もう二度と来ない』。うん。もうリピしない、とかね。結構厳しい事も言われたことありますよ。

R それ、言われたら・・・死にそうになります私・・・。

G (笑) 結構厳しいですよ。

ー クレームあるあるですね。GOさんはその時は、どのように接客されるんですか?

キャッチしてこちらからお話をするように、逆にそれでリピーターになってくださることもある(GO)
察知した時に、お客様から引き出せるように。お客様の気持ちが納まる対応を考える。(RISA)

G うん、そういう事を言われそうなお客様には絶対にお話します。そこでお客様が全てを話してくださったらお客様もスッキリしますし。そこで話さないで帰してしまうと必ず不満は溜まるのでサイトに書き込みをされたりすることもあるので、必ずそういう時はキャッチしてお話するようにしています。そこで色々解るし、逆にそれでリピーターになってくださることもありますからね。だから、チャンスですよね。

R もし私だったら、クレームを頂けるだけ有難い。何も言わないで帰ってしまわれる方が不安だし辛いです。途中で、顔が曇ったり、気に入ってないのかな、何かが気になるのかなとか察知した時に、お客様から引き出せるように話をしますね。でも、直接言われた時はとにかく謝ることと、お客様の気持ちが収まる対応を色々考えます。後日、もし解ればご自宅まで行ったこともあります。

G 飲食の場合は、もし料理が気に入らなかったら無料にするとか。あまりそれも無いですけど、最終的にそうする事もあったり。でもRISAさんの場合、髪の毛って一回切っちゃたら伸びるのに時間かかるし、毎日そのお客様はそれで過ごす訳だから、責任が重いって思いますね。

R はい、嫌な思いをする分だけの対応をして行かないといけないから、そこの責任は重いので気持ちはちゃんと常に持っていかないといけないなと。

G そうそう。10人居たら10人満足させるって難しいから、その内の3割は熱狂的なファンを作るとか、プロ野球でも3割打てばいい結果ってあるでしょ?それと同じくで、その3割に全集中(笑)するっていうか。だから先ほどの様なクレームは悔しいですけど仕方ない所もあって、あんまり引きずらない様にしてますね。

R そうですよね、気にしすぎるとモチベーション下がって、暗くなると困りますよね。改善するところは改善して、気にするところは気にして。

G そう、暗くなっちゃたらだめだし。あと、名指しで来る時が結構きついかな。ダメージが大きいんで。そこは気を使いますよね。

R 名指しで来た場合はスタッフに伝えるんですか?

G 伝える場合と伝えない場合がありますね。こういう所は改善して行こうって話すし、なんで?って言う言い方は絶対しないですね。結構コメントに悪意を感じる場合は言わない。

R そうかぁ。でも今の場所的に丸の内近辺と言うのもあってそれなりの方が沢山いらっしゃるのかなって思いますけど。

G そうですね、勿論それはやっぱりこっちサイドがきちんと出来てないと言うのが当然あるので、厳しいコメントもありますね。(笑) でも、僕の仕事はそういうのを、どうポジティブに持っていくかも仕事なので、クレームが来たら仕事が来たなって。よくあるのが、コーヒーをこぼしてお客様にかけてしまうとか。

R えぇー!あるんですか!?そういうの!

G ありますよ。(笑) 昔あったのが高級バッグのバーキンにかけちゃったのがあって・・・。

R えぇぇー!!恐ろしいバックにかけちゃいましたね!それ、どうしたんですか?

G そうそう。 (笑)まぁ後は全集中でやり抜くしかないですよね。

R どうやり抜いたんですか?それ!

G その鞄はしみ抜きの専門店に持って行って、高額ですけど対応して。ゲストにはきちんと説明してひたすらお詫びするしかないですよね。お詫びの気持ちの入り方ですよね。

R そうですが、それでしみは元に戻ったんですか?

G そこはゲストに確認して頂いて、大丈夫ですと言葉も頂いたので。大丈夫かなと。

R コーヒーとかワインとか本当怖いですよね。

G ワインとか、赤ワインとか地獄ですよ(笑)でも多分今後もあると思います。特に飲食は紙一重。これやっちゃいけない人って人にしてしまうと、流石に寒気走ります。(笑)

R 寒気走りますよね。カラーリングでも首の保護ラップがずれて、シャンプーした時に真っ白いシャツが真っ赤に染まってて。勿論リムーバーで取れればまだ良いですが、これが取れなかったら大変な事。笑えないし青ざめる(笑)。本当にあるあるですよね。

G 確かに。でもかけようと思ってるわけじゃないから、一生懸命やってて、たまたまで。

R そうなんですよね。でも、そのたまたまガッシャンが大騒ぎになるので。(笑)

G たまたまガッシャンですよね。気が抜けてるとかじゃないんだけどね。何かのタイミングであるので。

R いつもはちゃんと出来てるのに。事故ですよね。ヒヤヒヤものですけど接客あるあるで。

G そうそう(笑)

R やってしまった後の対応がやはり一番大切で謝ることは当然として、お客様が感じる部分で、納得できる対応がどう出来るか。そこで試されてるなって思います。

G 本当。特にクレームはそこですよね。凄く嫌ですけどそこが勝負の分かれ目なので。

R あるあるって有難いですよね。そこで育てて貰える、経験になってるなと凄く思います。

ー 先ほどGOさんからクレームのお話が出ましたが、逆にお二人が出かけて「これはちょっと・・・」となる様な接客を受けたことはありますか?

G まず、お店に来て挨拶がない、笑顔がない、最後に従業員同士で話してる。この三種類が重なったら、二度と来ないかなにはなりますよね。やはり最初のファーストインプレッションが弱いと、あれ?ってなっちゃいますよね。

R ありますね。挨拶、笑顔は大切です。

G 例えば、ちょっと話はずれるけどコンビニとかそういう所をもう少し頑張れば売上も変わってくるんじゃないかなって思いますよね。沢山ある中で、あそこは接客いいからあそこの店に行こうってなりますよね。

ー コンビニでいつも思うのは、笑顔が無いお店が多いかなと思います。

G あぁ~ない所が多いかも。それって時間の奴隷化してるからかな。早く終わらないかなとか(笑)

R (笑)(笑)

G 仕事じゃなくて、作業になってる。確かに、売上やデータとかレイアウトとか、そういうテクニカルな部分も大事だけど、そこのマインドをもう少し変えて行ったら同じ看板でも全然違うお店になって行くんじゃないかなって思いますよね。勿体ないなと。

R 笑顔一つで全然雰囲気が違ってきますからね。

G そう、当たり前の事なんだけどやっぱりその当たり前が難しいんですよね。とか思いながらコンビニ行ってます。(笑)

R わかる~(笑)凄くわかる。当たり前が中々難しいですよね。クレームの事で私もあります。とあるレストランでの事です。、そこは、お誕生日の時に思い出の東北の土地まで出向いて雪だるまを作ってテーブルに置いてお祝いするみたいなスペシャルサプライズをしてたお店なんです。

G 凄いな(笑)

R そう、お客様の為ならします、みたいな。そのレストランの代表の方は、接客についての本も出されてて、私もその本を以前に勤めてたお店で薦められて、この本を読んで接客を学びなさいと。その当時はそのお店によく行って食事したりしてたんです。ある日食事に行ったら、その方も友人何人かといらしてて、私は友人は先にオーダーしてその後、その方のグループがオーダーしたんです。

ー 何か、予想できる展開かもしれないですね?これ。

R そう、普通に考えても私たちが先に頼んだメニューが来ると思うんですが、先にその方達のテーブルにどんどん料理が運ばれてくるんです。私たちは20分待てども30分待てど料理は来ず、やっと来たのはドリンクのみ。これは余りにも違うと話をしてて。そうしたら、友達がスタッフにペンを貸してください、と頼んでテーブルナプキンにその時の状況、その方の事も全て書いて、オーダーした代金は払いますって言って食事もしないで帰ったんですね。そうしたら、後日、当時の最高責任者の方から「もう一度チャンスをください」と連絡があってお店に行き、その方もいらしてて、その時の事も、「二度とこの様な事が無いようにします。」と謝って頂いたんですが、私たちもその最高責任者の方が居なかったら、行ってはなかったですし、やはり、本を出されてる出されてないに関わらず、ちゃんとどのお客様に対しても、ちゃんと丁寧に接客して欲しいですよね。その時が私の中で史上最強のクレームでしたね。(笑)

G そうですね。色々と良い接客の事を書いてますから、こちらからするとダウンしますよね。

R その時の事で、自分がそうならない様にと逆に良い経験させて貰えました。

G 逆に自分達にも言えることで。やはりA・B・Cで当たり前も事をちゃんとやるって事が大事なんですよね。

R そうなんですよね。あるあるから学んで、そしてA・B・Cは大事ですね。

テーマ「今後の展望」
特別な言葉とかじゃなくて、『楽しかったです』が一番嬉しい!(GOさん)
『RISAさんが居てくれて良かった』って言われたら嬉しい (RISAさん)

ー 接客は業種飛び越えて、RISAさんの場合は対1の接客で、GOさんの場合は対何百であると思いますが、気持ちは常に対1で接客されてると思います。その中でお客様から頂いた言葉とかで嬉しかった、この仕事をしてて良かったと思った事はありますか?

G 特別な言葉とかじゃなくて、お料理を出しているのもあるので、全て含めて『楽しかったです』って言って頂くとそれが一番です。ワインでもサービスしたくなる(笑) やはり、何気ない感じで言って下さるだけで栄養源になります。

R やっぱり、『RISAさんが居てくれて良かった』って言われたら嬉しいです。綺麗にするのは勿論なので、それも含めて居てくれて良かったとか褒め言葉を頂いた時にはやってて良かったと思いますね。

G 僕が思ったのは、RISAさんのお店に行くと、何だかパワースポットみたいな(笑)そんな雰囲気が良くて。前に少し色々考えてる時期に髪の毛をスッキリさせて気分転換したいなってときがあって。その時にRISAさんのお店に行ってスタイリングして貰って、また頑張ろうかなって。そういうのがありました。

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R 最高の褒め言葉ですよ~。ありがとうございます!私もGOさんのお店に行って思ったのが皆さん笑顔で気さくに接してくださって、ご飯もおいしいのは勿論、接客がホントにしっかりしていてこの人数に行きわたってるって凄いなって思いましたね。

G (笑) 課題はまだ山積みですが、地道にやって行く仕事なので。積み重ねですね。今は、この状況なので休業状態でそれさえもできない状態ですが来る時に備えて。

R 今は、ジャンプするためにしゃがんでギューって貯めてる状態ですよね!

G そうそう!皆で共有する事も貴重な体験ですしね。でも一日でも早く終息する事を願って、楽しめる時が来るのを願いますね。

R 本当そうですね。その時が来るのを楽しみですね。

ー では最後に、お二人の今後の展望や野望をお聞かせください。

美容師以外の事でやってみたいなと。まだ内緒(笑)(RISAさん)
まずお店をしっかり形にして、サロン内ではオリジナルのワイン造って皆で集まりたい。(GOさん)

R 近い将来で言うと、今のスタッフ皆が育ってくれて美容師をやって良かったなと思ってくれてたらいいなと思っていて。その他に、まだ先なんですが美容師以外の事でやってみたいなと思って居ることがあります。(笑)このご時世を乗り越えていくものを。(笑) まだ薄っすらとですが、考えてます。まだ内緒。(笑)

G 僕はまだ今はお店が休業中なので、片方だけでやってるんですが、開けたらお店が2階になってて、席数も200席になるので、しっかり形にしていく事。売上も出して利益も出す。そして次の展開も考えてます。あと、サロン内で何か展開して行きたいなと。まだ、みんな集まることが出来ないですが、食の何かで出来たらいいなと。皆で集まって出来るイベントとかやれたらと思ってます。

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R 楽しみですね!ぜひ!ぜひ!

G 前にスナックりさでもコラボしたけど、またそれもブラッシュアップして出来たら。それもあったりして今、オリジナルワインを造ろうと思ってます。

M それを皆で集まって、飲みながら美味しい料理を食すイベントとかしたいですね!

G そうそう!そういうのも展開して行きたいです。

R 楽しみにしてます!

ー はい!楽しみです!では、最後に接客する仕事に就こうと思ったきっかけは何ですか?それを聞かせてください。

R 私は最初看護師になりたくて、高校に通ってた時にある美容師さんに出会っていきいきしてて笑顔を貰える、笑顔で居られるって仕事っていいなと。命を守る仕事って事では髪の毛も女性の命を預かるって意味で、接客業はダイレクトで笑顔を貰える仕事なので美容師で接客する仕事で笑顔が沢山ある仕事として選びました。

G 僕は、高校生の時に家族でホテルのフランス料理のお店に行って、その当時まだそんなに知られてなかったですが、その人を見て、めちゃくちゃカッコいいなと。憧れですよね。そのままカッコいいと思ったホテルに就職して、そのままずっと好きだから続けてるっていう。会社は変わっても接客の仕事はずっと続けています。

M サロンの方の中にも接客業に就きたいと思ってる方も居ると思います。その方々に接客業の魅力やアドバイスをお願いします。

R 接客業は人間力が学べる仕事ですよね。人をもてなし、喜ばせる事を常に考えてるし、底の部分では、人に対する気持ちをダイレクトに感じられる仕事なので、そこが解かれば凄く魅力的な人になれると思うし、学びたいと思ってくれたらと思います。

G 人と沢山接する仕事なので、人間力は上げて行かないと出来ない仕事ですし、常に終わりがない仕事ですよね。何にしてもそうだけど、特に接客業は大変な仕事(笑) でも、この仕事してたからこんな方にも会えた!って言うのもありますからね。そういう魅力もあります。何にしてもそうですけど、人間力を高めていかないとと思います。

対談を終えて・・・・
「接客業は大変な仕事。しかしそれ以上に得られる物が非常に多く高い物が得られる仕事。
当たり前を馬鹿にせずちゃんとやる。簡単なようで難しい。だからやりがいもある。
人間力を高めていける仕事。だから魅力的な人になれる。それが接客業なんです。