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珈琲の大霊師049

 翌日、シマ家の家長がぶっ倒れた。
 
 翌々日、シマ家の家長が書斎に引きこもったらしかった。
 
 その間、ジョージ達は情報収集と観光をしていたが、クエルがリルケの遺体を捜し始めて三日目、旅の商団が宿を訪れた。
 
 そこで、リフレールはサラクの状況を聞いてみた。

「ああ・・・、砂漠の虎と言われたサラクも、もう駄目かもしれないよ。治安は悪くなる一方だ。国境の村では、柄の悪い傭兵共が好き勝手やってやがったよ」

「国境警備隊が、傭兵に?元の正規兵達はどうしたのです?」

「今、サラクじゃ内乱がおっぱじまろうとしてんのさ。打つ手打つ手が国王の名誉挽回の為、国民の関心を困窮している現状から反らす為の施策ばっかでさ。業を煮やしたなんとかって師団長が、王宮に兵士を連れて抗議に行ったらしい。そこで、全軍を指揮する将軍と、その師団長とで喧々諤々の大喧嘩。弾みで将軍が剣を抜いたのを見た師団の兵達が師団長を助けようと王宮に乗り込んで、近衛兵と衝突したらしいぜ」

「そんな・・・・・・あの冷静なジャロウが・・・・・・」

 リフレールの言うジャロウは、将軍の名だ。叔父王の頃から王家に仕える隻眼の猛将で、失った片目は捕虜になった折、拷問を受けた跡で、その時将軍は目を焼かれながらも呻き声一つ漏らさず、沈黙を守ったという。
 
 そのジャロウが、先に激高して剣を抜いたとは考えられなかった。

「師団長の名は?」

「なんだい、あんた知り合いか?えーっとなぁ・・・・・・悪い、覚えてねえや。おい、サラクの例の抗議したとかいう師団長、ありゃなんて名前だったっけか?」

「おいおい、仮にも商売相手だったろうがよ。つっても、俺もうろ覚えだ。あー、確か若いアンチャンじゃなかったか?灰と黒の混じった短髪で、狼みてえな鋭い目つきした、一見おっかねえんだが割と人懐っこい笑い方するさ」

 それを聞いた瞬間、リフレールの顔が引きつり、サーッと血の気が引いていった。

「まさか・・・・・・クルド」

 その脳裏には、精悍で人懐っこい顔の、しかし強面の青年が蘇っていた。

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