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二人の間にあるもの Fairy Friends_3

(前回のお話)

ミサは、自分の胸が高鳴っていることを感じていた。

まだ会ったことのない妖精や天使に会えるかもしれない。
どんなお話しができるんだろう?遊んでくれるのかな?などと、色々な想像が膨らんで、目的地に向かう足は自然と早まって行った。

ミサとサヤが向かったのは学校の裏にある小山に構えられた神社だ。長い階段を登った先にチョコンと小さな神社と何かが書かれた大きな石が置いてあるだけの場所だ。階段の周りは大きな木々や草花が生い茂っている。

それ以外は何もないので、よっぽどのことがない限り、子供も大人もやってくることがない場所だ。

サヤ「階段、やっぱり長いね。」

ミサ「うん。ずっと前に二人でここに探検に来ようと思ったけど、階段が長過ぎて諦めちゃったもんね。」

サヤ「だけど、今日は頑張らなきゃね。」

ミサ「うん!というか、わたしいつもより力が湧いてくる感じがあって全然平気」

サヤ「すごいね、ミサ。...わたしはちょっと疲れてきちゃったな。少し休んでもいい?」

ミサ「もちろん。ちょっと本読みながら休もっか。」

そう話しながら二人は近くにあったちょうどいい大きさの石に腰掛けて、本を開いた。二人が会おうとしている妖精のページだ。

ミサ「ピクシー...地の妖精。小柄で帽子を被ってて、とんがったお鼻。履いてる靴の先もクルンとなってるね。」

サヤ「小人の絵本に出てきそうだけど、よりシュッとしてる感じ。出没場所は立石の周りや川岸、木々が多い場所...この先にある場所とピッタリだよね。」

ミサ「うん!会えると良いなぁ...」

サヤ「あ、でもここ読んでミサ。」

ミサ「......ピクシーは人を迷わせるのが好きで、森で何日間も迷子になった人がいっぱいいる、か」

サヤ「大丈夫かな?私たち二人で行って」

ミサ「大丈夫よ。ここは階段に沿って歩いて行くだけだし、迷うことはないよ」

サヤ「そっか。そうだよね。ピクシー、いるかも分からないし」

いつもはサヤがミサを励ましているのに、今日は逆だ。ミサは妙に元気だし、サヤはいつもの前向きさがない。ミサは目をキラキラさせながら、先生からもらった妖精・天使図鑑のページをめくっている。

サヤは、少し複雑な面持ちになっている自分に気付かざるを得なかった。今までミサとは仲良くやってきたし、これからもそうありたいと思っている。だけど、小学校に上がってから自分たちの間に少しずつ感覚のズレのようなものが出てきていることに不安を感じていた。そしてそれは先生から図鑑をもらってから、もう無視できないものになっていると分かった。

不安を紛らわすように、ミサは頭上を見上げた。

『ピチチチチチ』『ピーピーピー』『ザーザーザー』

階段の両側に生い茂っている木々を風が爽やかに通り抜け、小鳥がさえずっている。春から夏に移りゆく時期、新緑の葉っぱが譲り合いながらも太陽の光を得ようと空に向かって精一杯に広がっている。と、同時に二人に影を作って休ませてもくれているようだ。

サヤ「......小鳥が鳴いていて、可愛い。それになんか緑を見ていると落ち着くわ」

ミサ「うん、可愛い。それに風が吹いて気持ちいい。木の葉っぱが擦れ合ってる音も心地いい」

サヤ「私もそう思う。」

ミサが自分と同じようなことを思っていたのでサヤはさっきまで感じていた不安が少し和らいだ。

サヤ「ふーーーーっ。じゃあ、そろそろ行こっか。風に吹かれて癒された。ありがとう、ミサ、一緒に休んでくれて」

ミサ「いやいや、とんでもない」

そう言って立ち上がると、二人はまた階段を登っていった。

(続く)

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