過去から学べ(課題解決の端緒について)

 人それぞれの悩みから世界が抱える問題まで，今世の中には大小さまざまな課題が乱立している．

失恋，貧困，受験，昇進，食料，嫉妬，いじめ，環境問題，勉強，健康，お金，仕事，人間関係，格差，税金，戦争，，，，

 今一人の頭で考えてみても書き尽くすことができないほどの数の課題がある．それもそのはず．この星には今80億人近い人間が居るのだから．その一人一人の心配事を数えきることは難しい．

 ましてや，その不安を解決することはもっと難しい．しかし，私たちは今抱えている問題に立ち向かって乗り越える，立ち向かう，克服しなければならない．いつまでも悠久の時間の前で高い壁の前で座り込んでしまっていても何も埒が明かないからだ．

 人はそうした課題に直面するとき，どのように解決すればよいかわからないからこそ不安になり自信を失くすものである．しかし，ここでかんがえてみてほしい．この地球には80億もの人間がいる．今抱えている課題は果たして自分ただ一人が抱えている課題だろうか？ 80億もの人間が居て，たった一人自分だけが直面している悩みだろうか？ 自分が今抱えている悩みはきっと誰かが経験した/経験している悩みと少しの違いこそあれ共通するものである．

「今」だけではない．人間は有史以来2000年近くの歴史があり，その時間の中で様々な境遇，条件，環境，コンディションの人間が人生を歩んだのである．

今の悩みは，必ず誰かが経験してきた悩みである．

だからきっと解決する糸口やヒントが必ずあるはずである．誰かが経験してきたことを知ろう．そうすれば，何とかなるかもしれない．

今，私は「経験してきた」と述べた．つまり，過去に学べ．ということである．他人の経験談を聞くでもいいし，経験談をまとめた本を読むでもいいし，ひいては歴史を学ぶでもいいかもしれない．

「歴史は繰り返す」とよく言うが，私は今，本当にそうかもしれないと思い始めている．学校の授業で習う歴史は誰だって知っているが，今の世界の局面の中で「歴史の中で同じような局面に遭ったことはないか？」と考える人は少ないように思う．環境問題も国際問題も停滞した経済も歴史の中では絶えず先人たちが経験してきたことである．その当時の状況と完全に一致するわけではないが，偉人たちは当時の問題をどのように切り抜けたか，ということは歴史が教えてくれる．

偉人たちなら現代人が抱える問題をどのように考え，模索し，行動するだろうか？

そのような着想から今の時代を乗り切っていきたいと思う．

私たちの悩みが，いつか未来の人々にとっての「歴史」として考える下地となれるように．

2021.1.10