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【開かれた聖ヨハネ会を取り戻すために】第8回 「虐待」って、人を支配する道具なんですか?

私の勤めている社会福祉法人聖ヨハネ会の特別養護老人ホーム・桜町聖ヨハネホームでは2023年から24年初頭にかけて職員の大量離職が起こりました。
一時法人と私たちで協働してホームの状態を改善しようという機運がありましたが、事態は急展開しています。

最後までご覧いただけるとありがたいです。
これまでの経過については、以下のnoteをご覧ください。

1回 社会福祉法人聖ヨハネ会は、介護施設の利用者の命を守ってください
https://note.com/sguion/n/n9c3aa48da1e6
2回 桜町聖ヨハネホームで介護崩壊が目前に迫っています
https://note.com/sguion/n/n9242d51ab160
3回   「見せしめと隠蔽」から、「対話」に基づく開かれた聖ヨハネ会へ
https://note.com/sguion/n/n8ab8a05c10f1
4回 命と人権、民主主義を求めて市役所へ
https://note.com/sguion/n/n077b45ddc1f3
5回 どちらが本物でどちらが偽文書?ー懲戒規程と懲戒要綱―
https://note.com/sguion/n/n70675a758ad4
6回  法律や約束って守らなくていいんですか?ー対話をはばむもの
https://note.com/sguion/n/n6900112c3b3e
第7回 ウソから出たまこと―理想の職場への助走
https://note.com/sguion/n/ne3cdba44f344

■聖ヨハネ会がついに私たちの訴えを認める

 新規職員の採用や介護体制を維持しようという職員の努力にもかかわらず、介護職員の離職が止まらない状況が続いています。7月になると人手不足のため、厚労省の基準で定められた最低週2回の入浴も維持できず、暑い時期だというのに利用者の体を拭くだけという日も出てきました。
   職員の離職が止まらないのは職員のニーズが聞かれていないからと私たちは考え、独自に職員に対するアンケートや聞き取り調査を行い、それに基づいた対策を8月の団体交渉の場で求めました。
   一日のケアを維持するのに必要な最低人員数を定めそれが満たされるようにすること、秋までに利用者数を大幅に増やすという現在の介護職員数では不可能な目標を棚上げにすること等、私たちの訴えをついに聖ヨハネ会は認め、職員にその方針を伝えたのでした。

■私に出された突然の自宅待機命令

 9月24日の夜勤明け、ある利用者のケアのことで私に対する事情聴取がありました。
 実はホームでは、「養介護施設従事者等による高齢者虐待(介護・世話の放棄・放任)があったことが確認されました」と小金井市から虐待認定されるという出来事がありました。利用者のプライバシーにかかわることなので、どういったことがあったか詳しい話を書くことはできませんが、この虐待認定のことでフロアの職員全体が話を聞かれることになっていたのです。
 ところが私がいざその事情聴取に出てみると、その場にいた鈴木理事から明言こそありませんでしたが、他の職員からいろいろ証言が上がっている、と私自身が虐待に当たる行為をしたと決めつけられていることが分かりました。
  私自身はその行為をしたことを否定しましたが、昨年11月あった不当な自宅待機命令(後述する通り、法人はその不当性を認めている)の時と同じように、私の懲戒を狙ってきていると強く脅威を感じました。

 案の定その日の夕方に鈴木理事から電話がかかってきて、私が虐待行為に関与した可能性が極めて高いとの理由で、翌日9月25日から10月14日までの当面の間自宅待機にすると告げられました。

 鈴木理事から言われた嫌疑について私自身否定していますが、今回の小金井市からの虐待認定に対して自分に責任がないとは考えていません。自分のケアについて反省しなければいけない点はあると思います。
 ただ利用者の人権を侵害するようなひどいことをしていないと言うことはできます。この前夜の夜勤のときも、このご利用者ができるだけ健康で安楽でいられるようにぎりぎりまで粘ってケアをしていました。
 私は自宅待機に到底納得できませんでしたが、この数日後に団体交渉があるので、その場で詳しい話をしようと決意しました。

■ついに竹川理事の責任が問われることに

  9月27日の夕方、ホーム近くの会場で団体交渉が行われました。 
 前回のnote(第7回)で触れた東京都労働委員会への不当労働行為救済申立はだいぶ話が進んでいたので、組合として和解を受諾しました。
 これは昨年11月に私の出勤停止処分に関する通知を掲示したことについて、竹川理事名で私と職員に対して謝罪をするという内容の文書を施設内に貼り出すというものです。
 今回の自宅待機中に前回の出勤停止(自宅待機)についての謝罪文が掲示されるという不思議な事態となりました。

 実はそれ以外にも大きな前進がありました。
 竹川理事が私を処罰するために「高齢福祉部門表彰懲戒委員会規程」を偽造した可能性が高いことは前のnoteでも書きました(第5回)。
    竹川理事は団交や回答書で再三にわたって2020年12月の理事会で議決したと言い張ってきたのですが、7月に行われた法人のハラスメント委員会の場で、議事録にそんな記録がないことが委員会の確認により判明しました(そのとき当時の二人の理事が「記憶にない」と証言)。
    その証拠を突きつけた8月の団体交渉でも竹川氏は理事会で議決をしたと言い張っていましたが、今回の団体交渉では、「規定」が正規の手続きを経たとは言えないこと、同「規定」についての竹川理事の責任を理事会で話し合うことを法人側弁護士が言明しました。

   さらに法人のハラスメント委員会では竹川理事が私の出勤停止処分通知を貼り出したことをハラスメントと認定した、竹川理事の扱いについて次回理事会で法人としてどうするかを話すことになった、ということを弁護士が伝えてくれました。
 私としてはでっちあげの理由で出勤停止や懲戒しようとしたことがそもそもおかしいと思っているので委員会の判断は不十分だと感じていますが、今まで竹川理事のやりたい放題を黙認してきた法人で竹川理事の責任を問う話が出てきたことは、法人の健全化に向けての重要な一歩には違いありません。
 私たちは、竹川理事が職員を支配する手段として不適切ケアを利用したことを極めて悪質なものであると考えています。
 改めて私たちは、竹川氏の処分と、人権を侵害するハラスメントの再発防止を法人に求めています。

■何が「虐待」?

 団体交渉の後半は、私の自宅待機と、私がしたという「虐待」の話になりました。
 利用者に対する暴力のようなはっきりしたものは別ですが、何が虐待にあたるかそうでないかは自治体によって解釈が変わることがあります。今回の件もよその自治体なら虐待と認定されていないかも知れません。
 ただ小金井市がホームを虐待認定をしたというのは紛れもない事実で、それを元に懲戒処分されるのだとしたら仕方のないことだと、私たちも同意しています。
 ところがその肝心の虐待認定ですが、小金井市の文書を確認しても具体的にどういうことが虐待であったか書かれていません。
 自宅待機にするからには法人は何が虐待認定されたかを知っているはず。
 そう思って何が虐待認定されたのか、鈴木理事に質問してみました。

 ところが…
 鈴木理事にいくら質問しても、  どういうことが小金井市から虐待認定されたのか答えてくれません。
 何度か質問してようやくはっきりしたのは、どういうことが虐待認定されたのか鈴木理事も知らなかったということでした。

 実際には今回の「不適切ケア」はフロア全体が関与していたことでした。
 にもかかわらずこれが悪いだろうと臆測で断定して、私だけを自宅待機にしていたのです。

 団交の場では、私自身反省するべきことはある、ただ懲戒にかけられるのなら小金井市が虐待認定した事実に基づいて判断してほしい。それから(偽造された規定に基づく)前回の懲戒委員会は事実確認すらしていないというルール無視の審議だったので、もし今回懲戒委員会が開かれるのなら法人側代理人が参加するように求めています。

 同席した組合員から、それが重大な虐待だというのなら組織の問題であり、竹川、鈴木理事二人も責任をとらないといけない、二人はどう思っていますか、との質問がありました。
 二人の理事とも自分の責任について言及しています。

 終わってみれば3時間にわたるすさまじい団体交渉でした。
 私は今回の件を振り返って、改めてこう問いかけたいと思っています。

「虐待」って、職員を支配する道具なんですか?

 そんなことがあっていいはずがありません。
 私自身が虐待をしたというのなら私も責任をとりますので、その代わりすべての関係者を公平に扱ってほしいと思います。

 ■利用者の命と人権を守るために
    
   一度ならず二度もホームの正常化を求める職員を自宅待機にするという事態は、法人の判断がよいか悪いかは別にしても、ホーム職員の求心力を取り返しのつかないほど低下させる、と私は考えています。
 ホーム・法人にはこうしたケアを支える人材の流出が止まらないという介護体制の問題に加えて、
・法とルールに基づいているとはとても言えない組織の統治体制
・修道会のシスターが名目だけの園長になっているという経営者・責任者不在の管理・運営体制
・建物の設備が限界を迎えているというのにいまだ建て替えか大規模修繕か決まらず、その資金の目処もはっきりしない建物・設備の老朽化問題
・月数百万の赤字が続きながら、それを打開する具体的な計画のない財政問題
という何重苦とも言える大きな課題がありますが、法人単独で改善することは極めて困難と言わざるを得ません。
 私たちは利用者の安全を守るためには、法人自らが行政への支援を求めることが必要だと考えています。

 聖ヨハネ会が真に利用者の命と人権を守り、社会に開かれた法人になるためには、社会のまなざしが必要です。
   どうぞこれからも聖ヨハネ会と私たちの活動にご注目ください。


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